第7話 最下層の囚人



「………なるほど………貴方はドラゴンテイマーのハル・セルリアンって言うんだ…………」





「そうそう、よろしくなぁ〜イヴ・エクス・マキナ!、なんか昇格プロモーションしたら竜になっててさぁ〜意味わかんねだろ〜って、コラ!!!なんで縛ったままなんだよ!!せめて火を消せ!!!あつーー、熱い熱い!!」




お互いの自己紹介が終わるも俺の火炙りの刑………正確に表現するならば下ごしらえは未だ現在進行形。




熱さに余裕も保てなくなり、怒鳴り散らしながら解放を要求する。





「…………それが人にものを頼む態度なの?……」






「解いてください女王様」




悪魔は無表情で問いかけてくる、俺は速攻で服従する。







「………まぁ、どっちにしてもメインデッシュの肉を食べる前のオードブルの肉として貴方も食べるんだけどね…………」




「ふざんけんな!!どっちも肉じゃん!!、どっちもメインじゃん!!!全然フルコースじゃないじゃん!!!」




「…………フルミート………ふふふ………」




「やかましいわ!!全然うまくねぇんだよォォォォ!!!!」



無表情ながらも微笑を溢す、俺はしょうもないギャグにツッコミを入れてやる。





「……………座布団追加します…………」




何処からか出したボロ座布団を薪として火に投下、いきよいよく燃え上がり火力が上がる。






「あ、すいません、マジうまかったです!!、座布団一億万枚くらいあげたいです!!!」




「…………いやぁ本当のことだけど………そこまで言われると困るなぁ……」




「あ!!、あっちの死んでるからあっちから食べたほうがいいんじゃね!!どんどん不味くなるよ!!!」




「…………確かに………小ぶりだけど貴方をデザートの肉にしたほうがいいか…………」




口八丁で俺から意識を逸らす、やっと解放された俺。



「……………美味そう…………」




デカイ肉に対して涎を垂らす少女。



(………焼いてるうちにいろいろ話を聞いてみるか)




「で、あんたは誰なんだ?」




「………うん?………名前は教えたでしょ………?」




「いやだから何処で生まれたとか何でここにいるとかいろいろ説明不足だろうが、それとも何か、お前自分の名前しかわからないのか?」




「………………うん…………そうだよ………」





「は?」




「………………私は自分の名前しか自分のことはわからない………気付いたらここにいて………今日までずっとここで生きてきたよ………」





「え?、な、なんだよそりゃ、お、お前ここにずっといたいのか?」




「………外には出たいよ………でもすごく強いお爺ちゃん犬が見張ってて出れないの……出たかったら儂を倒していけって………」




「は?、なんだよ犬?、犬が喋んのか?珍しい犬もいるもんだなぁ〜、しかしこんなところに一生いるなんてもったいねぇな、そうだ!!そんなもん俺が倒してやるよ!!!」






「………ほんと………………?」




「ああ!俺はこの世で最強の種族、竜種だぜ!犬コロ相手に遅れをとってたまるかよ!!!その双頭地獄番犬オルトロスも小指一本(と全身)だけで勝ったんだぜ!!」




「……………すごい……それなら勝てるかも……」






「よし!、何処にいるんだそいつは」





「……………あの扉の向こう…………」




俺は即その扉を開けて啖呵を切る。



「おいおいおい!!何処の誰だかしらねぇが、こんな小さな女の子を監禁しやがって!!この、ぉぉーー」




怒鳴り散らしながら相手を確認するとそこには双頭地獄番犬オルトロスも俺より二回りぐらい大きかったがこれその比じゃない、もはやちょっとした家レベルの巨体、そして二本あるだけでも厄介の頭が九つある九頭龍犬狼ヒュドロス、その昔、初代魔王軍最恐戦闘部隊「七つの大罪」の一員に数えられていた正真正銘の化け物。



どうやら寝てるらしく、俺に気づいていないようだ。



「……………」



なるべく静かに扉を閉め、イヴの元に戻る。




「……………もう倒したの………すごい」




「いや、その、なんかイメージと違って首が九つあるんだけど、それであってる?」






「……………そうだよ、それであってるよ……」




「名前とか知ってるか?」




「……………確か………七大罪……暴食の罪………ベルゼブブ・ヒュドロニーって言ってたよ………」




「…………そうか……ごめん一人じゃ無理だから手伝って!!!!!」







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