第6話 考え無しの脳死竜は火炙りの刑にされる

『ドラゴンテイマーのLv 15に上がりました、ステータス、各種獲得スキルを確認をお勧めします』



頭の中にファンファーレと共に流れる言葉を無視して叫ぶ。




「拳骨、貫通、大勝利ィィィィィィィィ!!!!ワハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」




自分でも何を言ってるのかわからない、テンション上がりすぎてハイになっている。





「ハァッ、うんうん、………………イッテェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!」





自身の勝利に気を良くしていると、だんだん右拳がとんでもない激痛を伝達してきた。





よく考えるとさっきとてつもない速度で地面に激突したのだ、痛く無いわけがない。





無意識に無視していたが、認識してしまえばもうダメだ、意識の外に追い出すことなどできはしない。





「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いーーーーーー!!!」


地面を無様に転げ回り、恥ずかしげもなく喚き散らす。



そんな風に叫んでいると、不穏な音ともに地面に亀裂が走り出す。




「え?、あ、ま、まずいかも」



嫌な予感を覚えるも時すでに遅い、地面は派手な音ともに割れ、その中心地にいる俺も落下していく。



「あっーーー、なんか今日俺落ちてばっかりィィィィ!!!これが本当の転落人生なんちて!!!」




叫びながら落下していく俺、前世は鳥だったのかもしれない。



そんなアホな考えを浮かべながら落ちていく。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





うん?なんかあったかいというか………熱い?



「ってなんじゃこりゃァァァァァ!!!!?」



落下の衝撃で意識をなくしていた俺が目を覚ますと鉄の棒に括り付けられて宙吊り、下には焚き火が炊いてあり炙られている。



焚き火の前に、赤髪……いや桜色の髪?、腰まで伸びていて、癖毛ひとつない美しい髪を持つ少女がいた。




年は14〜15だと思われる少女、顔は少し髪に隠れているが将来美人になると確信できる。






背は低い小柄だ、しかしスタイルは歳の割に肉付きが良い、わかりやすく言えば胸と尻がクリス並み、いやそれ以上かもしれない、滅茶苦茶色っぽい。



肌も人間とは思えず、きめ細やかでさらに病気を疑うほど白い。



美しい少女だが目は淀んでいて無表情、機械的な無機質さを感じさせる



ボロ雑巾を縫い合わせたような粗雑な服を着ていている。



そんな彼女は鼻歌を歌いながらこんなことを呟く。



「フン、フフン♪………肉なんて久しぶり…………本当美味しかった…………早く焼けないかな……」



美少女は確かに目の保養になる天使、しかし今は眼球どころか俺の全身をこんがり焼こうとする悪魔だ。




肉がなんとかとか言ってるから俺を食べる気満々なのは明白。



「お、おい!!これ解いてくれ!!」



「………肉汁がまたいいんだよね………」




なんとかやめさせようとするも聞こえていないのか、意図的に無視しているのか、とりあえず黙って焼かれることなど出来はしない。



「お、おい!!!話し聞けって!!!」



「…………待ちきれないな………早く焼けないかな……」




「あーーー、この人で梨ィィィィ!!!!」



「…………フン、フフン、フン〜♪」




脳内によくわからん梨の化け物が素早く体を動かす姿を幻視する。



人間焦るとわけわからん幻覚を見るようだ。


…………今の俺竜だけど。



そんな事を考える諦め状態の俺は顔を横に振る。



………状況打開するために必要なものを見つけたかもしれない………





「あ!!!!!あそこに双頭地獄番犬オルトロスの死体がある!!!スゲェデケェ!!!!あの大きさを俺一人で食べられるのか!!ヤッタァァァァァァ!!」




「え?………どこどこどこどこ?……あ、あった………ダメダメダメ…………肉は全部私の………物………!………うん?………あれこの声は…………私の幻聴なのに………私が気づいてない事まで喋り出した…………?」






「誰が幻聴だコラ!!とりあえずこれ解いて!!!」






「え?………竜が喋ってる………最古ノ龍エンシェントドラゴンでもなければ無理って本に書いてあったのに………なんで……子竜ベビードラゴンが喋ってるの?」




「俺は人間だ!!!!人間でたくさんだ!!!」





「…………意味わからない………」

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