第5話 vsオルトロス2
「「グルルルル」」
どうやらただの捕食対象から暴れる獲物ぐらいには認識を改めたようだ、ただ大口開けて食う捕食者と知恵をめぐらせる狩人、どっちが手強い相手かなんて考える余地もない。
………狩人を騙す狐としては愚鈍な豚と侮られていた方が楽なのだが…………いやまぁ俺は豚でも狐でもなく竜なわけだがそんな事はどうでもいい。
確実に後者へと変わった
(………奴の厄介なところは首が二本ある事、だからまず右首の方にダメージを集中させて動けるのを一本だけにしてやる)
右首に意識を集中していたら、突如深く息を吸い込みだす
『我焼き払う黒炎の暴風!
それと同時に
なんとか間に合い柱の後ろに隠れてブレスをやり過ごす。
黒炎は消えていき基本的にブレスはどんな魔物にとっても奥の手、吐き終わった後は隙だらけになるのが普通、柱の影から相手の様子を覗き見る。
確かに右首は少し隙があったが、左首は撃ってなかったのか油断なく構えている。
(クッソ、あれじゃ極論、ブレスを交代で撃ち続けられるじゃねぇか!!!!?隙なんてねぇ!!!、うん?ブレス?そ、そうだ!!)
柱の後ろから出た俺は一直線に
接近戦だって相手の方が攻撃力、防御力、速さ、どれをとっても上だし、スキル性能も格が違う、確かに鬼門なのだが、近づかなければそもそも攻撃のチャンスすら掴めず嬲り殺される可能性が高い。
まさしく前門の虎、後門の狼、だか悪いことばかりでもない接近していればブレスのような大技は使えない、使おうとしたら出鼻をくじいて俺の勝機とできる。
………まぁ相手は鬼でも虎でも狼でもなく番犬なんだがそんな事はどうでもいい。
「グラァァァ!!」
近づく俺に右首はまだ動かないようで左首が吠えて極力近づけさせないよう前足を振り下ろしてくる。
俺は奴が肩を上げたあたりから息を吸い込み、振り下ろした前足を無視して小声で詠唱を進め、左首の顔目掛けて吐き出す。
『我焼き焦がす子竜の…………吐息!
俺が吐いた火の粉は的確に左首を燃やす、『
右首も軽く二次被害にあっていて眼球をやられかけ目蓋を閉じざる得ない相手は振り下ろしている前足の狙いがずれて俺の横の地面に突き刺さる。
これ幸いと相手の左前足を登り、比較的軽傷で復活しかけている右首の方に走る。
『我紡ぐ子竜の斧!
攻撃強化をかけ、右の頭目掛けてジャンプする、より高く飛翔するため
二重に『
右が落ちたためバランスが崩れそのまま倒れ込む
今まで掴んできた勝機を尽く邪魔してきた左首の体勢も崩し、いやそれどころか飼い犬の如き伏せをさせ、完全無欠の隙を作ることに成功した。
『我焼き焦がす子竜の吐息!
重力に逆らい上昇してたが、徐々に落下し始める瞬間に俺は顔だけ天井に向けて
『我紡ぐ子竜の斧!
「「ガルァ!!?」」
上空の異常に気づき、
俺自身の力で出せる限界速度を超えた疾風迅雷の速さで突っ込む…………いやただかっこつけて落ちてるだけども言う状態で鼻の先まで接近した瞬間、最大火力の拳を必殺を誓いながら叩きつける。
『我が………拳に………火種の………殴打ーー
加速してる最中だったので口がうまく回らず途切れながらの詠唱だったがギリギリ間に合う、三重の
だが無理やりな加速だったので狙いが甘くなり胴体の方へ向かってしまった。
(仕方ない!!このままぶち抜く!!!)
一条の流星と化した俺はそのまま
「「ガッーーーーー」」
断末魔の囁きをした後絶命する
貫通した後も威力が落ちずに地面に大激突、それでもなんとか着地に成功。
「俺の勝ちィィィィィィィィィィィィ!!!」
仰向けに倒れ込みながら勝利の雄叫びを上げる俺。
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