第2話 プロローグ2
一緒に見張りすると言いつつ最終的には俺の膝でぐっすりのクリス。
「ムニャムニャ、そこはダメですよハル〜」
寝る前に俺と話したことが原因か夢の中にハルなる者がいるらしい、いったいどんな夢を見ているか気になるな。
アーロンがテントから出てきた、俺の方を見るやこれでもかと視線に殺気を込めて凝視してくる。
「おい、何やってる、早くテント片付けて飯作れカス」
「…………わかった、おいクリス起きてくれ」
軽めにクリスの肩を揺らし、寝ぼけまぶたながらも起きるクリス。
「ふにゃ?あ、あれ私、いつの間に寝て……」
「クリス、とりあえず俺の膝から退いてくれないか?」
「へ??、あ、す、すすみません!!!!」
「後、涎出てるぞ」
俺の膝から飛び退いたクリスの涎をハンカチで拭き取ってやる。
「あ、ありがとうございます」
「お安い御用さ」
「いつまでもイチャイチャしてんじゃねえよこのカス、早くしろ!!」
そんなやり取りに対してアーロンは舌打ちをした後唾を地面に吐き捨て離れていく。
「………」
「そんな気にするなってクリス、あんなもん日常茶飯事だからさ」
そんなこんなで朝飯を作った後、珍しくアーロンに呼び出された俺、崖の前に立つ彼。
「なんか頼みごとでもあるのか?アーロン?」
「お前さぁ、クリスとヤったの?」
「はぁ??、そんなわけないだろ、今朝のはただ話し込んでクリスが寝こけただけだ」
呆れた、俺はそんなことのためにわざわざこんな所に呼び出されたのか。
「用事はそれだけなら戻っていいか?荷物整理したいからさ」
「フフフ、そうかそうかよかった、いや要件はそれだけじゃない、実はこのネズミを使って崖の下を偵察してくれないか?、宝箱が見えた気がしたからよ」
「………わかったよ、我は契る仮面の主人『
この詠唱はスキルを使うときに自然に頭に浮かぶ、まぁただ言えば良いだけでなく上手く魔力を練り込まなければいけない、それでもほとんどの人間は訓練すれば大体できるようになるし、同レベル帯のスキルは似たり寄ったりの難易度なので上級者スキル一個使えたら大体他のも練習すればできるようになる、まぁ練習するまでもなくそれまでの経験を応用して一発でできてしまう奴もいる………俺だって教えてもらったスキルを一回でできることは度々あるしな。
俺はネズミと仮契約し感覚を共有、出来るだけネズミと距離を離さないため崖の近くに座る、下に降りても降りても底が見えない。
「おい、宝箱なんて本当にあったのか?箱どころか地面すら見えないんだが……」
「はは、そりゃそうだ嘘なんだからな」
「は?」
「じゃあなカス、お荷物のお前はクビだ」
「どういう意味ーー」
ネズミと繋がっていたので本体の方は警戒が薄くなるのがこのスキルの弱点だ。
一瞬、何が起こっているのか分からず
衝撃でスキルが解除され俺はアーロンに後ろから突き飛ばされたのだと遅れて理解する。
俺はとっさに崖の淵を掴む。
「な、何しやがる!!は、早く上げてーー」
「何つかまってんだよ!早く落ちやがれ!!」
「ッッッッッ!、あ、チルダ、クレア、いいところに来た、早く助けて………」
アーロンに手を踏みつけられていたら、いつのまにかクレアとチルダがいた。
これ幸いと助けを求めるが………
「往生際が悪いわね、とっとと落ちなさいよ」
「そうだ、早く落ちろ」
「なっーーー??!」
わたる世間は鬼ばかり、どうやらこの二人も俺を助けるつもりはないみたいだ。
それでも必死に助けを求める俺。
「お、俺たち仲間だよな、アーロン?」
「バァーーーカ、テメェみたいなゴミ屑いらねぇよ!!」
「控えめに言ってお荷物、いや荷物に失礼かな、ハルセルリアンていう名の生ゴミじゃんあんた」
「あそこまで私たちに迷惑をかけて死ぬ時まで煩わせるな」
「お、俺は、パーティーで出来ることを必死にやってーーー」
「はぁ??、お前雑用やってただけじゃねぇか、必死にもクソも誰にでもできることやってただけがの奴がほざいてんじゃねぇよ!!!」
「お、おまえら、俺のことそんな風にーー」
「あぁ!!!、ごちゃごちゃうるせぇ黙って死ね!」
「あっーーー」
アーロンに掴んでいる岩ごと蹴り飛ばされ、自然落下していく俺。
目の前に広がるのは底が見えない大穴、星のない夜空のような漆黒、まるでそれは可視化された絶望。
その絶望へと身を投げ出し何も見えない暗闇の中、方向感覚を失った俺はどっちが上か下かもわからない
「うわぁぁぁぁぁぁーーー!!」
無駄、無意味、無価値な咆哮あげながら手足を振り回すも何の揚力を生ず落ちていく。
腐っても勇者、流石にそこまではしないだろうと甘く考えていた俺は愚者としか言いようがない。
手と一緒に振り回してた剣が偶然近くを飛んでいたモンスターの命を刈り取り頭にレベルアップのファンファーレが響く。
………普段だったら喜びに震えるが、今となっては何の意味もない。
皮肉にもその音が俺の必死な悪足掻きをやめさせるきっかけになった
生きることを諦めた俺の頭の中にこんなものが浮かび上がる。
【ビーストテイマーの
…………神様はなんて意地が悪いんだ、俺が喉から手が出るほど欲しい物を死ぬ直前に渡すなど趣味が悪いとかそういう次元の話じゃない。
…………一応、夢は叶えておくか。
俺は投げやりにYESと答える。
その瞬間意識をなくした。
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あれ?………生きてる?
「生きててよかったぁ〜」
安堵ともに立ち上がる、うん?いつもより視線が低い………まるで自分の膝下から腰辺りに頭があるみたいな気分だ。
不思議に思って手を見下ろしてみると普段の男にしては細い腕はなく、鋭い爪と硬い鱗に包まれた腕、足も似たようなことになっており、背中には小さいながらも羽が生えていて、頭には二本の角が生えていた。
自分の冒険鞄から急いで鏡を出すとそこには完全な子供ドラゴンがいた、装備がなんか小さくなっており自分で言うのもなんだが可愛らしい。
自身に起きてる不思議現象に首を傾げる、気を失う前は確かに………
「あ、ま、まさか、ステータス!!!?」
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名 前:ハル・セルリアン
職 業:ドラゴンテイマーLv1
体 力:800/1200
M P:700/700
筋 力:1000
防御力:1000
魔 力:800
敏 捷;900
抵抗力:600
スキル
「ファイアーボール」
「ウォーターボール」
「ウインドブラスト」
「マッドショット」
「
「
「
「
「
「
NEW「装備自動調整」
最大コスト500/500
1:
2:
3:
4:
5:
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「いやいやいやいや、ドラゴンテイマーってそういう事じゃないだろ」
どうやら
…………自分で言ってて意味不明だわ。
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