勇者パーティーを追放されたドラゴンテイマーは鋼鉄最強美少女をテイムして被追放者や濡れ衣を着せられたり不遇な目に合っている人達を助ける〜ドラゴンテイマーってそういう事じゃねぇ〜
天倉彼方
第1話 プロローグ
【星の黄昏】
はるか昔人々に襲いかかる災い、すなわち魔王が現れ配下の魔族達は暴れに暴れた、ただの人間が天地を揺るがす化け物達に敵うはずがないと諦めかけたその時、天使と神様が手を貸してくれる、人類と魔族、天使と悪魔、神と魔王が戦ったとされる戦争。
その戦いは苛烈を極め天地を裂き、星を殺す、自軍の全力全開の武力を持って相手を殲滅する、地獄絵図、初代魔王は実力至上主義の魔王軍で珍しい女性のため、【魔女王エヴァ】と呼ばれ恐れられていた。
彼女と幹部【七つの大罪】を筆頭とした魔王軍は暴れに暴れたもの、天使達に敗北、魔女王は処刑、幹部達の悪魔達は封印、魔女王は断頭台で頭をはねられる前にこう言い残した。
「人間共ひとつ忠告しといてあげるわ、神は別にあんたらの味方じゃない、私たちの方が優勢だからあんたら側についただけ、ただ天秤が傾いたから釣り合うようにしただけ、………………………だからあまり栄ない方が身のためよ、私を継ぐものが必ず現れてしまうからね」
その後、魔女王の首がはねられ魔王軍は実質瓦解した、神と天使はまた魔王軍による蹂躙が起きないよう人類に「スキル」と呼ばれる超人的な力を授け天へと帰る、しかしその後も魔王の後継者は必ず現れるが時同じくして勇者という存在が人類に生まれ始めた、この勇者という存在は人類とは思えないほどの力を持ち二代目からはこの勇者に敗北、神や天使が登場するまでもなく終戦、それが続く。
だが二代目の魔王が倒された理由はこの勇者の存在だけでなく、ドラゴンテイマーの存在も大きい。
【ドラゴンテイマー】
ビーストテイマーだけが辿り着ける究極の領域、あらゆる物を支配下に置け、竜の力すら手中に収めた者
曰く竜の力を自由自在に扱え上級職のなかでも最強、最上級職と言われるほどである。
というのも初代の勇者以外は魔王に勝つも勇者以外全滅な上相討ち、四肢のどこが欠損、植物状態、などと辛勝が多い、殆どのパーティーが聖女、剣聖、騎士王、などと猛者を連れていたがこの散々な結果、初代と殆ど戦力差はない…………そう、ドラゴンテイマーの有無以外は。
だがドラゴンテイマーになるためには最弱職ビーストテイマーの
なぜか?それは上がり切る前に大体が死んでしまうから、確かに育ちきれば最強、しかしそんな博打に人生をかけられるものが何処にいる?
魔王に挑戦するんでもなければ【戦士】、【騎士】、【魔術師】、【射手】、【斥候】etc………無難な職業はいくらでもいる、莫大な経験値を注ぎ込まなきゃなれないのにわざわざ最弱職を選ぶアホはそういない
もはや神話の中だけの職業、最弱職のビーストテイマー達が作り出したただの夢物語と揶揄られるほどだった。
この物語はある少年がドラゴンテイマーへの憧れを捨てきれず足掻くもパーティーメンバーに捨てられたところから始まる。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「獣臭いんだよ、役立たず」
「………悪い」
世界屈指の難関ダンジョン、【アルカトラズ】を攻略中の俺達、人類の希望を担う勇者パーティー「ブレイブハート」、と言っても前勇者が魔王と相討ってしまい、次魔王が出てきたときのために強い若者を勇者としておき今のうちにレベルを上げさせて民衆の安心させるための精神安定剤的な立ち位置なだけなのだがな。
黒髪黒目の中肉中背、鉄の防具を申し訳程度に着けていて腰には一応剣を釣っている軽装の青年、ハル・セルリアン。
つまりは俺にパーティーリーダーの筋肉質で高価なオリハルコン製の鎧に身を包み、俺の剣なら何十本重ねても一刀両断できそうな業物の剣を腰に釣っている青少年、アーロン・ダニエルはいつも通り難癖をつけてくる。
「ほんとにくさーい、生理的に無理だわぁ〜」
茶髪とブラウンの瞳、見た目はそこそこ可愛い、ローブに身を包んでいる魔法使いのチルダ・グランはアーロンと同じように馬鹿にしてくる。
「鼻が曲がる」
女騎士クレア・シルバーも似た様な文句を垂れ流す。
「……ちょっと三人とも言い過ぎですよ!!」
このパーティー唯一の良心、金髪碧眼の聖女、クリス・クロスは三人の根も葉もないイチャモンをやめさせようとする。
「はぁ??だって臭いじゃん」
「いつも毛玉に触ってるからなぁ〜体に匂いが染みついてんだろ」
「臭い物を臭いと言って何が悪い」
「ッッッこのーー」
「クロス様、もういい」
「で、ですが」
「いいんだ、俺がいつも動物と一緒ってのはほんとだからな」
こいつらが臭い臭い言うので体臭には色々気を使っているが罵詈雑言が止んだ試しがない、つまりは事実なんてどうでも良くてただ俺のことを貶したいだけなのだろうよ。
で、なんでこいつらに獣臭いと言われるのは俺がビーストテイマーだからだ。
ここまで俺が毛嫌いされている理由は色々ある。
一、平民だから
このパーティーは俺以外ほとんど貴族の出身だ、あいつらにとって目障り。
一、男だから
これは完全にアーロンがハーレムでいい気分だったのに俺が入ってきたから台無しなのが気にくわんのだろう、ちなみにクレアとチルダはアーロンの女だ、彼氏が嫌いな男を好む女がいるわけもない。
一、ビーストテイマーだから
最弱職ともっぱらの噂のビーストテイマーは毛嫌いされやすい、動物を使役し運搬や斥候、他にも細かいところでは役に立つが戦闘では完全にお荷物だからな、脳筋が多い冒険者達からすると戦闘で何にもしてねぇくせに金だけは一丁前にもらいやがって〜っとまぁそういう事である。
まとめるとだいたいこんなところ、俺だってこんなパーティー好きでいるんじゃない。
いつだったかはもう忘れてしまったがまだソロで自由気ままに旅をしていたとき、運悪く仲間と逸れてしまった聖女様を見つけた俺。
勇者パーティーの一員と言っても流石に後衛一人で魔物の群れを相手するのは難しく苦戦していた。
見捨てるのも気分が悪く、いっちょ助けてやるかと手を貸したらなんか必要以上に感謝しさらに過大評価までしだして勇者パーティーに勧誘されてしまうも一度は断る俺。
これで話が終わればよかったのだが、冒険者ギルドのギルドマスターやら国のお偉いさんに「聖女様の頼み事を断るなんて許されると思っているのか?」なんて言われたら俺に拒否権なんてあるわけがなく、現在に至るというわけだ。
女好きのアーロンは洗濯板の二人と違い豊かな胸と尻、非常に魅力あふれる体のクリスもゆくゆくは抱くつもりだったのにそのクリスに熱烈スカウトされてパーティー加入した男なんて好むはずがない。
…………だったとしてもこの扱いは火に油だと思うがな。
まぁぶっちゃけ彼女的には吊り橋効果で優秀な人材だと思ったからスカウトしただけで惚れた腫れたは無い、だって俺は小汚い平民Dランク冒険者、しかも最弱職のビーストテイマー、片や下手な貴族より偉い聖女様、月とスッポン猫に小判掃き溜めに鶴というやつだ。
何度もやめたくなったが、数少ないこのパーティーにいていい所の狩ってる敵の質が高く、ビーストテイマーの
「チッ、まぁいい、そろそろ休憩する、準備しろカス」
「………わかった」
三人は俺の背負ってる荷物から酒を持っていくと少し離れて飲み始める
「…………」
「……………ありがと、反論してくれて」
悔しそうな顔をしているクリスに一応礼を言っておく。
「………ですが結局……」
「………一人だけでも味方がいるってのは心の支えになってるんだぜ、けどまぁあんまりしつこく言うと今度はクリス様が危ないからさ、ほどほどにな」
「…………わかりました………」
俺はいつも通り聖女様に手伝いをしてもらいながら、テントと魔物除けの結界を張る、その後は適当に飯を作って朝までアーロン達の夜の営みを聞きながら見張り番だ。
いくら魔物除けの結界と言っても限度があるため、どっちにしても見張りは必要。
一応テントは二つある、クリスの分と三馬鹿トリオの分、最初は俺の分も持ってきていたが、どうせ徹夜で見張りするなら荷物が嵩張るだけ、なら持ってこないほうが楽だ。
「ふぁぁ〜」
欠伸を噛み殺しながらクソまずい携帯食料を眠気覚ましに食べている。
瞬間肩に手を乗せられ驚愕と共に後ろを振り向いたらほっぺを指で突っつかれた。
「へ?」
「ふふ、隙ありです」
花の様な笑顔を咲かせながら隣に座り込むクリス。
「…………眠れないのか?」
「………はい」
「………そうか」
「………私も一緒に見張りをしていいですか?」
「………好きにしろ」
話し込んでいると三馬鹿トリオのテントから桃色な声が漏れてくる。
聞こえていたのかクリスは顔を真っ赤に染めて湯気を吹き出している。
その初心な様子に少し意地悪な質問をしたくなった俺。
「クロス様ってああいう経験はないの?」
「へ??!?、ああああ、あ、ああいう経験とは?」
「いわゆる男女の営み」
「そ、その、あの、そそそそれは、その、な、無いです!!!!」
「くくくく、まぁあの反応からあまり得意な話題では無いとわかってましたけどね」
「な!!!?、ハルさんの意地悪……」
頬をリスみたいに膨らまして怒りを表す彼女。
「でもちょっぴり意外、綺麗だから一回くらいはあるかもと思ってたんだけどな」
「ふぇ!!?、き、綺麗なんてそんなお世辞……」
「お世辞抜きにクロス様は綺麗だよ」
「……………」
さっきまでの百面相は鳴りを潜め少し不機嫌そうな顔に嫌な予感を覚えた俺。
「え、えっと〜すいません失礼すぎましーー」
「名前!!!!」
「へ?」
「クロス様じゃなくてクリスって呼んで欲しい……です」
「あ、あー〜、そ、それはちょっーー」
「ッッッああー〜さっきのからかいは凄くすご〜く傷ついたなぁ〜」
チラ見してわざとらしく言ってくるクリス。
「………ハァッ、わかったよクリス」
「わ、わかればいいんです………ハル」
それっきりクリスも俺も黙り込み静寂に包まれる、実際はそれほど長くもなかっただろうが、やけに長く感じた、意外にもそれを破ったのはクリスだった。
「……ハル、ひとつ聞いてもよろしいですか?」
「内容による」
「………なぜビーストテイマーになったんですか?」
「………誰にも言うなよ」
「言いません」
「………ドラゴンテイマーになりたいから」
「へ???、ド、ドラゴンテイマーってあのドラゴンテイマーですか?、最上級職と言われ、勇者に引けを取らず、未だに初代勇者パーティーにいたテイマーしかなったことがないあの?」
「そうそれ」
「………富や名声を手に入れたいからですか?」
「んにゃ、ただ竜の背中に乗って旅したら気持ち良さそうじゃん」
「へ?」
「だって竜だぜ竜、見るだけでもテンション上がるのにそれに乗れるって最高じゃん、想像してみろよ、雲を突き抜けて重力を振り切って空の向こう側にある、あの月にまで行けたら、そのなんだ、めちゃくちゃ興奮しないか?」
「え?、で、でも、龍を馬車馬のように働かせるんじゃないんですか?」
「え?なんでそんなことさせるの?ドラゴンテイマーになったら冒険者引退して世界一周旅行する気だけど?、そりゃたまに金が足りない時はクエスト受けるだろうけど〜そこまで無理する必要はないぞ、そこそこ貯金もたまってるしな〜」
「……………」
彼女が黙り込んだのを不思議に思い様子を伺う瞬間、クリスは微笑する。
「フフフ、ドラゴンの背に乗るためにドラゴンテイマーを目指すなんて聞いた事がないですよ、子供ですかハルは?」
「う、うるさいな、いいだろ別に、そんなに笑うともしなっても乗せてやんないぞ」
「え〜それは困ります、謝りますから乗せてくださいよ〜」
「ま、まあ謝るなら乗せてやってもいいよ」
「やったー〜」
「俺がドラゴンテイマーにならなきゃどっちみち無理だけどな」
「きっとなれますよ〜私応援しますから頑張ってください」
「……聖女様が応援してくれんなら百人力だ」
そのまま朝まで二人は語り合った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名 前:ハル・セルリアン
職 業:ビーストテイマーLv999
M P: 156/ 300
筋 力: 200
防御力: 150
魔 力: 700
敏 捷; 800
抵抗力: 100
スキル
「ファイアーボール」、「ウォーターボール」、「ウインドブラスト」、「マッドショット」
「
1:
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます