第7話 歌う少年たち
え……?
わたし、さっきちゃんとパン持ってたのに。パンとそれを入れていた袋も見あらない。もしかして落としちゃった?きょろきょろと周りを探してみるが見当たらない。今から買いに行ってもきっともう売り切れている。
しまった?!そういえばあの袋にパンと一緒に牛乳とくまさんシリーズのグミ(復刻パッケージで少しレアモノだったのに!)も入れっぱなしにしていたんだ。それもなくなっている。
え?
さっきから疑問符と感嘆符が連発してばっかりで頭が状況をあまりうまく処理できていない。
ふふ〜ん♪
焦る私をよそに、のんきに流行りの曲を鼻歌を歌いながら男子生徒たちが教室に戻ってきた。みんな片手に購買のものと思われるビニール袋をさげている。そのうちの一人とふと目があったような気がした。確か「
私の視線に気がついたのか喜久地くんはすっと目をそらした。まるでなにか隠し事ををしているかのような違和感があったけど。
ぐ〜。おなかの虫が「早くご飯を食べろ」と急かしてくる。そうは言われても私のお昼ごはんはたまご蒸しパン1個だけ。まぁ、無いよりはマシだけど。そう言えば無くなった物たちのお金……。なんだかスリにあったようなき気分だ。そう思い財布を覗いてみると、……え?「穂ブレッド」と牛乳とお菓子分のお金が入っている!?でも、手元にはたまご蒸しパンはあるんだけど。
どうゆうこと?
お金がてもとにあるってことは、私は
頭の中がもうごちゃごちゃでもう訳がわからなくなってきたよ。
ごつん。さっきの男子たちの誰かが私の机にぶつかった。「ごめん。」と誰かに言われた気がしたけど、もうこのよくわからない現象のことをあれこれ考えていたので誰の声だったのかはわからない。
――♪キーン、コーン、カーンコーン、♪――
昼休み終了の予鈴がなってやっと私は
ふと机の上を見ると、くまさんのグミ(パッケージはちがうけど)とふたつ折りになった紙が置いてあった。そこには男の子っぽい字で――放課後時間ある?話したいことがある――とだけ書いてあった。ノートの切れ端をメモ用紙代わりにしたその紙には肝心の差出人の名前とどこで待ていればいいかは書いてないんだけど。
なにこれ。
新手のいじめか何かなの?っていうか話したいことって?紙を眺めていると――ことがある――の後ろに――教室で待ってて――と手書きの文字が書き足された。なるほど。
どうやらこの紙の差出人は能力者らしい。でも、そんな事できる能力ってなんだろう?というかこんな能力持ってる人ってこのクラスにいたっけ?そして私が読み終えたのを確認したかのように今度はその紙が無くなっていた。
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