第3話 飛んでる2人
「はぁはぁ。先輩間に合って·····はぁはぁ·····良かったですね!」
「誰のせいだと·····はぁはぁ·····思ってる!」
本当にぎりぎりというところだった。
多少のお金は持ってきていたので彼女に奢られる形にはならなかった。
「そういえば、先輩名前なんていうんでしたっけ?」
「かなでだ。」
「えー名前良いですね!名前で呼んでもいいですか?」
「嫌だ。」
「どうしてですか!!」
「人気者の笹倉に名前で呼ばれてたら変な勘違いされるだろ。」
「えー先輩けちですね!まぁ考えておいてください!!せっかくのサボり同盟なんですから!」
「俺は今日が初めてだ!」
そんなやり取りをしている合間に次の電車に乗り継ぎをしなくてはならない時間となった。
そして、さらに揺られること1時間半。ようやく最寄りの駅に着いた。
「うわぁーだいぶ田舎ですね!!」
「失礼だな!」
「じゃあ、先輩道案内お願いします!」
彼女は敬礼のポーズを取っていた。俺はパンフレットを受け取り歩き始めた。
「1人いくらなんだ?」
「8000円です!」
「嘘だろ!?そんな大金はねーぞ。」
「今日は私が出しますよ!元々先輩がいないと来れませんでしたし、誘ったのも私ですしね!」
「いやでも流石になぁー。」
「じゃあ、今度の放課後近くのカフェで奢って下さい!私のおすすめを紹介してあげますよ!」
俺は迷ったが、今回は彼女の好意に従うことにした。
「じゃあ、LINE交換しましょ!」
~~~~
30分後、目的地に到着した。
受付を済ませた俺達は橋の上連れてこられたのだが、これが結構な高さだった。
「じゃあ、先どちらにしますか?」
担当の人に聞かれて笹倉の顔を見たが、先に行ってくださいという顔をしていたので俺が先に行くことなった。
担当の方の注意事項を聞いたてからさっそく飛ぶところに案内された。
1度気持ちを整えたが、命綱などを付けていざジャンプするぞとそこに立つと、身体中に恐怖がバシバシ伝わってきた。
まさか、今日俺がバンジージャンプをするとは夢に思っていなかっただろう。
「先輩ー頑張ってください!」
遠くから声が聞こえてきた。そんなに声を張らなくても聞こえるよ。心の中でそう思ったが、吹っ切れた自分もいた。
後輩の前だ。少しくらいカッコつけないとな。ここでモジモジしてるのが一番カッコ悪いからな。
「それじゃあ、いきますよ!」
「はい!」
「3、2、1。バンジー」
その瞬間、俺は人生で初めて飛んだ。
最初の1秒は意外に大丈夫かと思ったが、そこからどんどん加速していきこのまま死ぬんじゃないかと思った。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」
自分でもこんな声が出ると思わなかった。
回収された俺はしばらく足が震えていた。
~~~~
終わってから笹倉とは会わなかったが、多分もう飛ぶための準備をしている頃だろう。
ジャンプの位置に笹倉が立ったのを見てさっきの彼女と同じことをした。
「頑張れよーー!」
10分後、俺よりも大きい叫び声が会場に鳴り響いていた。
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