死神の温度

@koriame26

第1話

 鈍い痛みが徐々に冷えた体を支配していく。体中が痛い。口の周りがべとついて不快感があった。起き上がって床を見てみると吐しゃ物が吐き捨てられていた。吐き捨てられた不愉快はまた吐き気を誘う酸のにおいを放っていた。


 喚起をしよう、マイはそう思い痛むからだと鋭い痛みを走らせる腕を伸ばして窓を開けた。太陽に光に目が一瞬くらんで数回瞬きをして外を見ると雪が積もっていて太陽の光をキラキラと反射させていた。二階から下の花壇を見下ろすと綺麗に整えられた色彩の豊かな花々が咲いていた。色とりどりの花を見ているのが辛く部屋へ引き返し吐しゃ物を片付けた。白い床、白い壁、白いベッド、白い机。着ている服でさえ真っ白。傍から見れば凍えそうだがマイはこの部屋をとても気に入っていた。

 

 時刻は朝の7時50分、学生が登校する時間帯だ。久しぶりに外に出て買い物でもしようかなとマイは思い立つ。そうはいってもコンビニだけれどマイにとってはちゃんと買い物だった。いや買い物ではないか、サンダルで外に出て袋だけもってまだ雪が積もっている道を歩いてゆく。冷たい雪が足の感覚を徐々になくしていった。不安や劣等感によるストレスが少し軽くなった。痛みでコントロールするのは手っ取り早くていいなとマイは思う。コンビニについてチューハイと適当にお菓子を取ってきた。そしてまたマイの唯一の住処に帰ってきた。すっかり冷え切った指先で扉を開き、またなんでもない、意味の無い日々を思い浮かべた。

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