第421話 皇国合同攻撃隊

「応答信号あり! 震煉航空隊です」


「よし、護衛戦闘機隊発艦するぞ! 総航空機発動!」


 忠弥は号令を掛けると、飛行甲板で待機していた二八機の寿風が一斉にエンジンを始動した。

 各機にパイロットが行き整備員と交代する。

 忠弥も、自分の機体に乗りこみ発進準備を急ぐ。

 昴から出撃を控えるように言われているが、どうしても攻撃を見ておきたかった。


「僕が考えた作戦ですからね。見届けないと」


 忠弥が熱心に言うため、昴も仕方なく認めた。

 今回は忠弥が作った新兵器と考案した新戦術が使われる。

 止めても勝手に行きそうなので、昴も止めるのを諦め、出撃を許可した。


「良いぞ!」


 忠弥は準備が出来たことを合図する。

 マストの旗が降ろされ、発艦はじめの合図が送られる。

 整備員が車止めを外すと、忠弥はフットブレーキを解放し、発艦の為に移動。

 誘導員の指示に従い、エンジン出力を上げて滑走。

 発艦していった。


「電波誘導装置、異常なし」


 忠弥は取り付けられている誘導装置の指示に従い移動する。

 先行する天城が出している誘導電波に乗れば間違いなく合流出来るはずだ。

 天城は被弾し、航空機の運用能力が機能していないので、持ち前の通信能力を生かし、誘導電波を出す役目を与えられた。

 敵が接近してくる可能性もあるため危険だが、無事な両艦三隻のために、あえて危険な役目を果たす事にした。


「さて、近くにいるかな」


 忠弥は、機体の灯りを点灯させた。

 これで自分の位置を知らせることが出来る。

 暫くすると、赤、白、緑の灯りが見えた。


「いたぞ、震煉航空隊だ」


 アルヘンティーナ本土から発進した爆撃機震煉の編隊だ。

 総計二七機の震煉が今回の攻撃の主役だ。


「頼むぞ震煉」


 忠弥達は、その護衛だ。

 各艦二八機、合計八四機の寿風で護衛する。

 さすがに、アルヘンティーナから飛んでくるには、遠いので、艦載機部隊が合流することにした。

 これならパイロットの疲労も燃料の消費も少なく、余裕がもてる。

 最大の問題は合流だったが、天城の誘導電波のお陰で無事に合流出来た。

 あとは編隊を組んで、マホ環礁へ向かって飛んで行く。


「朝日か」


 機体右側、水平線上が明るくなってきた。

 何度も見ているが、空から見る朝日は素晴らし。

 高度が高く、周囲が見渡せる上、上下左右に雲が浮かび朝日を浴びて輝くのが綺麗なのだ。


「さて、向かうとするか」


「見えたぞ」


 目標のマホ環礁が見えた。

 環礁の中にいくつかの点が見える。

 敵の艦隊だ。


「よし、敵艦隊は在泊している。攻撃出来るぞ」


 外洋に出ていれば失敗の可能性も高かったが、予想通り環礁内にいる。

 ならば、新兵器を思いっきり使える。


「よし、突入だ」


『攻撃隊へ、此方天目』


 忠弥の無線機に通信が入った。

 早期警戒飛行船の天目だ。

 飛行船の積載量を生かして、電子装備とレーダーを装備した船だ。

 通常は電波情報収集を行っている。

 今回の戦いでも、投入したが、敵機との遭遇を恐れて後方に待機させていた。

 だが、敵航空戦力を撃退した事と、活動出来ない夜間に接近し、攻撃直前の敵の様子を把握するために気炎を承知で飛ばした。


『上空、三〇〇〇と一〇〇〇に敵機らしき反応。警戒せよ』


 その価値は十分にあった。

 レーダーのお陰で敵機の位置を把握することが出来た。


「ありがとう天目。お陰で奇襲されずに済んだ。これより、攻撃を開始する。そちらに敵機が向かうようなら退避せよ」


『了解、司令官。ご武運を祈ります』


「敵機を落として敵艦を沈めてくるよ。よし、全機攻撃開始だ」


 こうして忠弥率いる皇国の陸上及び水上航空部隊連合の攻撃隊百機以上はマホ環礁にいるメイフラワー合衆国艦隊を襲撃した。

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