第407話 フライングバレルの奮戦
「畜生! 皇国軍の戦闘機の方が多いぞ!」
メイフラワー合衆国攻撃隊隊長シェーンノート少佐は、乱れる自身の編隊を見て嘆く。
敵機の襲撃を受けて混乱状態だった。
シェーンノート少佐自身、僚機と共に敵機に追いかけ回されている状況だ。
しかも最初の接触からして最悪だ。
突如、太陽の中から敵機が来襲して慌てて退避した。
少数なので、戦闘機隊が向かったら、新手がやって来て、更に攻撃を加える。
あれよあれよと敵機が集結し、数はほぼ互角になっている。
「畜生、分離させるんじゃなかった」
途中でメイフラワー合衆国飛行船部隊へ向かう皇国の攻撃隊を発見し、母艦を守る為に一部を反転させた。
数が多いので分離させても十分に皇国艦隊上空を制圧出来ると判断してのことだ。
そもそも、艦隊上空の防空は難しい。
全ての方位から敵機が来る事を想定して、まんべんなく航空機を配置する必要がある。
結果、多くの戦闘機を上空へ上げても、各方位に展開出来るのは少数の機体だけ。
五十機近い戦闘機を上げても、時計の針に合わせて一二等分したら、各方向へ向けられるのは四機しかいない。
そこへ百機近い攻撃隊を突入させれば容易に各個撃破出来るハズだった。
なのに敵は戦闘機が集まっている。
進撃途上で敵の攻撃隊と接触して連絡が入ったためだろう。
それでも、敵は的確に優位な位置取りをして絶好のタイミングで襲撃してきている。
数的優位も失われ、むしろ翻弄されたこともあって、不利な状況に陥っている。
だが、逃げるわけにはいかない。
「各機! できる限り敵機を翻弄し、引きつけろ! あと少しだ!」
味方がやってくるまで時間を稼がなくては。
上空制圧、来援する味方の為の露払いがシェーンノート少佐の任務だ。
なんとしても皇国軍の戦闘機を排除、無理なら自分たちに引きつけなくては。
幸い、敵の新型戦闘機、単葉の戦闘機はスピードはあるが、機動性に劣る。
二枚翼で揚力が大きい上、樽と呼ばれるほど胴体が短いため旋回しやすいフライングバレルは格闘戦では非常に強い。
敵機が襲撃を仕掛けてきても、躱すことが出来る。
それどころか回り込み背後を取ることだって出来る。
既に何機か、被弾させ撃破している。
ただ、敵機の速度が優速のため、追いつけずトドメを刺せない。
「苛立たしいな」
シェーンノート少佐は苛立ちながらも、空域での優位を保とうとした。
だが、それも敵わなかった。
「!」
突如、新たな敵機が襲撃してきた。
咄嗟に旋回して敵機から逃れる。
「畜生! 新手か! いや、違う」
次々現れるのは、味方の空中空母の方角だ。
「味方の空中空母を攻撃した連中が戻ってきたのか!」
シェーンノート少佐の予測は当たっていた。
攻撃を終了して身軽になった忠弥達が引き返してきて、空戦域に巻き込まれたのだ。
「だが! 我々に追いつけるかな!」
シェーンノート少佐は襲ってきた寿風を躱そうと旋回した。
だが、忠弥も旋回してシェーンノート少佐を追いかける。
「馬鹿め! 旋回戦で我々に敵うはずがな、いっ!」
後ろを振り返ったシェーンノート少佐は仰天した。
ピッタリと寿風が付いてきていた。
「馬鹿な!」
これまでの機体より旋回半径が小さい。シェーンノート少佐の外側を通っているが、距離は変わらず付いてきている。
「畜生め!」
左に右に旋回して逃げるシェーンノートに忠弥は食いつき続ける。
「ならこれでどうだ!」
シェーンノート少佐は機体を急降下させた。
寿風の方が効果性能が高いのは承知。だが、そこが狙い目だ。
予想通り寿風が接近してくる。
十分に寄ってきたところで、再び旋回した。
重くなった操縦桿を引き上げフットバーを踏み抜くつもりで左に蹴り、上昇左旋回。
間一髪のところで、忠弥から逃れた。
忠弥も追いかけようとするが、急降下で勢いの付いた機体が重く、上昇出来ず取り逃がした。
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