第2話 部活始動

 5月。

 ようやく学校が再開したが、分散登校で、部活なんてできるもんじゃなかった。


 でも、同じクラスに同じ部活の子が2人いることは分かった。


 1人はジュニア時代から知ってる子。

 もう1人は見たことなかったが、電車で来ていることは知っていた。


 6月。

 分散登校が終わり、ようやく本格的に仮入部などが始まった。

 部活は男女とも顧問が一緒のため、同じ練習メニューをやる。

 女子の先輩は6人、男子の先輩は8人。

 同級生は女子は9人、男子は15人。

 女子の先輩には3年生もいたが、男子の先輩には2年生しかいなかった。


 仮入部といってもほとんど入ることが決まっている人たちしかいないため、すでに部則などを教えてもらっていた。体操の仕方からあいさつの仕方、先生への質問の仕方などいろいろ決め事があり、先輩の顔と名前も覚えないといけない。

 おまけに同級生の名前も覚えないとこれからが大変になる。


 頭がパンクしそうだ。


「ねえ、ひか。あいちゃん。先生への質問の仕方ってなんだっけ?」


「~すればよろしいですか?じゃなかった?」


 私は、同じ自転車登校の二人とそんな話をしながら帰る日が続いた。


 7月。

 仮入部から部活が始まって、1か月が経ち、やることもある程度覚えてきていた。

 でも、


「部活始まって1か月経つのに、まだこんなこと言わないといけない?」


「学校内であいさつされないって男子からクレーム来てるからちゃんとして」


 先輩たちは平気でダメ出しをしてくる。

 いつしか、先輩たちに言われたことをまとめて考えたりする1年集合が先輩たちの愚痴大会になっていた。


 ただ、厳しい部活なのに大会がないと雨の日はオフになる。

 午前授業だった日に、部活がオフになり、みんなで教室でお昼を食べ、写真を撮りまくる日もあった。


 部活がある日も、終わった後近くの自販機でジュースを買ってみんなで飲んでいた。

 それが、楽しみになっていた。


 こんなにも仲良く楽しくワイワイしていたから、私は全く予想していなかった。

 この楽しみがなくなってしまうなんて……。



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