第28話 そういえば・・・②

「何だ。ここは?」

「何だろうね、兄さん」

 僕が兄さんに聞くとエルザさん「飯屋じゃないか?」と答えてくれ、足で耳を掻いていた。

 僕たちの目の前には白い洋風の建造物が立ちはだかっていた。それも森の中にたった一つ。違和感しかない。

「ここにご自由にお入りくださいって書いてあるぞ」

「本当だ」

 兄さんが教えてくれた場所には立て看板で書かれていた。

「もしかしたら、宿かもしれないな。泊まれるなら泊って行こう」

 兄さんがそう言う。

「まぁ、飯が食えるなら何でもいいかな」とエルザさんが軽口を叩く。僕も兄さんのエルザさんの言葉には賛成だった。もう、外は夕日が沈みかけてもうすぐ夜になりかけていた。このまま前に進むと野宿することになるし、下手したら森で迷子になってしまう可能性も出てくる。だったら、このまま一晩ここで休ませてもらって、朝に再度出発した方がと僕も思った。でも、こんなところにポツンと建物が立っているのも怪しく感じる。

 兄さんとエルザさんはそそくさと建物に入って行く。

「ちょっと、少しは疑いなよ。二人とも」

 僕は追いかけると兄さんがこう言う。

「まぁ、虎穴に入らずんば虎子を得ずって言うだろ。早く飯を食いたい」

「何かあったら私が如何にかするからいいよ。ふぁぁ~」

 二人の頭の中では、恐怖より、食欲と眠気が勝っていた。僕も二人の姿を見ると「まぁ、この二人なら何とかしてくれるかな」と感じてしまう。

「ちょ、ちょっと。置いてかないでよ」

 僕たち、三人は建物に入ることにした。建物に入ると外見もさることながら凄く綺麗な作りの内装だった。白を基調とした壁に床は赤い絨毯が敷かれていて、どこかのお城かと思えるような細かな造形の石造も置いてあった。

「中に入っても凄いね。兄さん」

「あぁ、そうだな」

 兄さんは僕の言葉に同意しつつも、室内を物色している。エルザさんはその場で走り回って喜んでいた。人の家にしては大きいから恐らくホテルかなと思っていると僕はある一つの事が気になっていた。

「でもおかしいね。僕たち以外ここには誰もいないよ」

 そう誰もいないのだ。僕たちが室内に入る音も出しているから、普通の人なら出てきそうなものなのに人っ子一人出てこない。

「フロントはあるけどな」

 兄さんの指さす方向にフロントにありそうなテーブルが置かれていた。僕は気になってそのテーブルに向かう。そのテーブルの上には一枚の書類が置いてあるのが見えた。

【ようこそ、驚愕館へいらっしゃいました。それではお疲れとは思いますがまずはこちらで宿泊の手続きをお願いします。その書類はテーブル横のポストへ入れて下さい】

 この言葉の下には宿泊手続きの書類がついていた。僕たちはその書類に名前を書いて、指示されたテーブル横に置いてあるポストにその書類を入れた。

 そして、僕たちはポストにつけてあった地図の場所があなたの部屋は「209」号室ですとなっていたのでその部屋に向かう事にした。

 僕たちの部屋は地図で2階になっていたので中央の階段を上がり、部屋を番号を見ながら自分たちの部屋番号「209」号室を手分けして探す。

「あった」

 僕が最初に部屋を見つけ、声を上げた。その声を聞いていた兄さんとエルザさんが僕の方にやってきた。

「ここか・・・」

「あったね、お部屋」

 兄さんは部屋のドアを眺めていた。でも部屋の中には入ろうとはしなかった。

「おい、エルザ」

「なぁに?」

「お前が先に入って、部屋の中を確認しろ」

「うん」

 エルザさんは尻尾を振って、部屋に突入した。兄さんもこの部屋にエルザさんを突入させるなんて、鬼畜だよ。兄さんもここに入るのは直ぐに入ったくせに部屋に入るのは用心深いとか兄さんの考えがよく分からない。

「中は何もないぞ、ご主人」

 エルザさんの部屋の安全確認をすると兄さんに声をかけてきた。兄さんもエルザさんの声に反応し、「入ろう」と僕に声をかけて部屋に入る。

 部屋は廊下と同じ感じで白い壁にベットが二つ並んでいた。でも室内は広く、テーブルにはお茶が用意されていた。


 私はタイピングを止め、ノートパソコンのモニターを確認した。まぁ、そんなに動きが無い文になったけど、こっからならどんな形にでも持っていけるでしょと思い安心する。ホントはもっと兄さんと弟の兄弟愛を書きたかったけど、私は今回の小説であまり出しゃばらないようにしてみた。

「何か、今回の東雲はBL成分が無くて大人しいな」

 高瀬先輩は私の書いた文に対して感想を述べてきた。今回はみんなで書く遊びみたいなものだから、楽しむことを優先して書いた。

「そりゃ、みんなで書いてるから後の人の事も考えないと」

「それはそうなんだけど・・・・こう何か、物足りないなと思ってなぁ」

 高瀬先輩の意見は最もだけど、偶には適当に書いとかないと疲れるんですよ。

「じゅあ、次。私ね」

 凛花さんが私の膝に乗っかってきて、キーボードを打ち始めようとしていた。

「何してるんですかっ」

「えぇ、いいじゃん。この方が私気合が入るの」

 私がびっくりしていると、芳賀君が「やめて下さい」と私をジェンガをする感じで引き抜いた。

「ちぇっ、ざーんねん。さ、書くかなぁ」

 凛花さんは残念がっていたが、ノートパソコンのキーボードを叩き始めた。

 

 僕たちはテーブルに置いてあったお茶を飲んで寛いでいた。お茶のお茶請けにはお菓子が用意されていて、そのお菓子は赤の包装と青の包装で分けられていた。

「これ、食べるね」

 僕は赤の包装のお菓子を開け、食べる事にした。

「じゃあ、俺も赤を食べるかな」

 兄さんも僕と同じで赤の包装を開け食べ始める。エルザさんも何も考えずに赤の包装のお菓子を貪っていた。

 だが食べた瞬間、脳天を突き抜ける痛みが走り、体が熱くなる。

「あ、あ・つ・い。・・・・痛い」

 僕はその場で転げまわる。体の痛みで身もだえた。そして僕はその場に倒れ、気を失う。

「おい・・大丈夫か?おいってば」

 僕の耳元でエルザさんが叫んでいるのが聞こえる。僕はエルザさんの心配の声が頭の奥で聞こえ、目を覚ます。妙に頭がさえていた。

「あっ、起きた」

 僕は目を覚ます。心配していたエルザさんが僕に抱き付いていた。

「どうしたんですか?」

「馬鹿、お前。鏡見てみろ」

 エルザさんは僕に鏡を見てこいと言ってきた。言われた通りに洗面台の鏡に見に行った。

「⁉」

 僕は鏡を見た自分の姿に衝撃を受ける。鏡に映っていたのは女の子になっていた僕そのものだった。胸はそんなに膨れていない。

「そうだ、兄さんはどこ?」

 僕と一緒に兄さんも一緒に食べていたことを思い出した。僕は部屋中を探したけど、兄さんの姿は見えなかった。エルザさんに兄さんがどこに行ったか聞いてみたけど、僕が倒れた後、部屋を出て行ったと言っていた。

ドアがガチャッと開く音がしたのが聞こえたので僕は入口まで走っていく。

「兄さん、どこ行ってた・の・・・・」

 僕は兄さんの姿を見て、言葉が尻つぼみになる。僕の目の前にいたのは兄さんの姿が女の人になっていた。兄さんはもともと顔が女の子顔だったけどより女の子ぽくなっていた。

「ホントに兄さんなの?」

「あぁ、そうだ。そんな事よりなんだお前のその恰好は」

「あいつからご主人の匂いがするから多分あれがご主人だぞ」

 エルザさんは匂いで兄さんだと確信していた。僕も口調や見た目でそうではないかと思っていたけど・・・

「兄さんこそ、女の子になってるよ」

「あー、そうだな」

 兄さんは僕に淡々と答えた。

「もっと、焦ってよ、兄さん」

「何だか、このお菓子を食べたら心がもやもやしてきたぞ、ご主人」

 エルザさんの目は段々うつろになって、兄さんと僕に襲い掛かろうとしていた。

「ごっしゅじー---ん」

 

「ちょっとぉー--、凛花さん」

「何?今、筆が乗ってきたのに。いいとこなんだけど」

 私は凛花さんのタイピングする手を止めた。擬人化の多目的ナイフとG36アサルトライフルの復讐話がいつの間にか百合展開の雲行きになってきていた。

「何で兄弟で復讐に向かう話が兄弟と一匹が百合の話に発展するんですかっ」

「えー-。だって、私百合展開好きだし。それに、建物入ったら事件無いとつまんないじゃん。起承転結で言えば転、何もない話なんてつまんないよ」

「うっ・・・・」

 私は次に出そうとした言葉を飲み込む。痛いところを付かれ、凛花さんの言葉が私の胸に刺さる。

「百合は至高。愛おしく、儚いものなのよ。さぁ、私と百合な関係になりましょう。東雲さん」

「どうしてそうなる」

 凛花さんは熱弁し、私はすかさずツッコむ。

「調子のいい事言って、さりげなく東雲さんとの関係を深めようとしないで下さい」

 芳賀君が私に近づいて来ようとした凛花さんとの間に入る。

「BLは最高です。あなたの文は邪道です」

「邪道で結構。私は私が好きな事だけやれればいいの」

「僕に代わって下さい。東雲さんの思っていた文章を僕が書きます」

 芳賀君は凛花さんを無理やりどかし、キーボードを叩く。

 私の考えてた文章って芳賀君に解るの?と思いながら、ノートパソコンをのぞき込む。


 僕は咄嗟にエルザさんの飛び込みを間一髪で避け、床に転がる。しかし、体が女の子なので男性の下半身の所にあるはずのものが無いのは居心地が悪く感じた。

「弟よ。エルザにこれを食わせろ」

 兄さんは僕に青の袋のお菓子を投げつけた。僕はそれをキャッチするとエルザさんの口に放りこむ。

「恐らく、これを食えば男に戻れるぞ」

「えっ!そうなの。兄さん」

「俺は戻ったぞ」

 いつの間にか兄さんは先ほどの女性の体ではなくいつもの男の体の兄さんに戻っていた。確かにいつもの兄さんだった。僕もすぐに青のお菓子を自分の口に入れる。エルザさんもお菓子を口にして、その場で気絶。僕もエルザさんに続いてその場で意識を失った。

「大丈夫か、弟よ」

 僕はまた、意識の向こうから兄さんの声で呼び戻される。僕が目を開けると、兄さん目の前に現れた。僕は兄さんの腕に抱かれて、目を覚ます。

「ありがとう、兄さん」

「起きたの?ご主人」

 エルザさんが顔を覗かせる。僕は驚き、「エルザさんですか?」と質問してしまう。

「そうだよ。私だよ」

 そう答えたエルザさんは獣人の女の子ではなく、男性の獣人に変わっていた。顔だちが凛々しくなってイケメンになっていた。あの、青いお菓子でこうなったの?でも声だけは前の女性の獣人の声で僕は少し戸惑う。

「本当にエルザさんなんだ」

「うん」

 エルザさんは尻尾振って喜んでいた。いつものエルザさんだ。男だけど。

「ドアの下の隙間に何かあるぞ」

 いつの間にか兄さんは入口のドアの前にいた。兄さんがドアの隙間の物を拾い上げて、僕たちに見せてきた。

「何、これ?兄さん」

「手紙だ。さっきまでは無かった」

「何か、この手紙匂いがきついよ」

 僕の質問に淡々と答える兄さん。そこへ来たエルザさんが手紙に近づいていないのに匂いに指摘した。けど僕と兄さんはその匂いには解らなかった。エルザさんが獣人だから嗅覚が凄いのだろう。

 その手紙にはこう書かれていた。

【お食事がもうじきできます。その前にお風呂に入ってはいかがでしょうか?お風呂は薔薇風呂となっております。ぜひお楽しみください】

「どうするの?兄さん」

「風呂に行って来いと言ってるなら、行ってくるか」

「いやいやいや。さっきのお菓子の件といい、おかしいよ。もっと疑おうよ、兄さん」 

 兄さんは部屋を出て行こうとする。僕は兄さんを必死に説得するけど、効果は無いようだ。僕は兄さんを引き留めようと服を引っ張る。

「まぁ、この姿気に入っちゃったし。みんなでお風呂入りに行こうよ」

「あぁ、行くか」

 エルザさんの同意もあって、僕の説得に聞く耳を持ってくれない。

「ちょっ。ちょっと、二人とも」

 兄さんとエルザさんは二人でお風呂のある方向にさっさと歩いていく。僕は二人の後ろを追いかけていく。

 

 僕たちは大浴場の男湯に到着した。

 男湯の脱衣場に入ると自分たちの部屋や廊下、ロビーとは違い洋風ではなく、和風な感じの作りになっていた。脱衣場は木材で作られた内装になっており木の匂いが香る。僕は服を脱ぎながら「良い香りだなぁ」と呟く。

「そうだな、心が落ち着く」

「早く。お風呂、おっふろ~♪」

 兄さんとエルザさんも一様に服を脱いでいた。エルザさんは鼻歌交じりで嬉しそうに脱いでいる。兄さんはいつものごとく何を考えているか分からい。ここで一つの疑問が生まれる。エルザさんって獣人だよね?お風呂に入るっていう習慣あるのかな?と僕は疑問が浮かび聞いてみる事にした。

「エルザさん、お風呂に入るの?」

「入るよ。入らない獣人もいるけどね」

「そうなんだ」

「さぁ、行くか」

 兄さんが僕たちに号令をかけお風呂の方に歩く。僕たちは野宿が多くていつも川も水浴びばっかりだったからちょっと楽しみ。しかし、ドアの前で兄さんが立ち止まる。

「ドアの前になんか書いてあるぞ」

 ドアの前には・・・

【浴場に入る前に必ず、体の垢を落としてから入って下さい】

 と書かれていた。兄さんは「まぁ、ここの風呂の流儀なんだろ。従うか」と言うとドアを開ける。

「うわぁ。凄い」

 ドアを開けた瞬間、薔薇の花が散りばめられた浴槽が目の前に広がり綺麗だった。薔薇の香りの鼻腔をくすぐった。

「さぁ、入るぞーー--」

「待て」

 エルザさんは勢いで浴槽に入ろうとしていたが兄さんに首根っこを掴まる。

「まずは体を綺麗にしてからだ」

 兄さんはそう言うとそのまま、エルザさんを連れて洗い場に向かっていった。僕もその姿を見るとそれについていく。

 僕たちは洗い場に横一列に座り、頭からお湯を被る。久しぶりのお湯だ、気持ちいい。とりあえず、僕は体を洗い、今までの旅の垢を洗い落とす。兄さんは黙々と頭を洗っているし、エルザさんは泡を立ててきゃっきゃと喜んでいた。楽しそうだ。

 僕は体を洗い、鏡で自分の姿を確認するとそこにまた文字が書いてあることに気付く。

「何、これ?」

 僕はその文字を黙読する。

【体を洗いましたか?それでは浴槽に30分ほど浸かってください。30分浸かったら洗い場でこのボディオイルを体に満遍なく塗って下さい】

「兄さん変なこと書いてあるよ」

 兄さんは頭を洗い流し、僕の言った文字を確認していた。

「やけに注文が多いな。風呂入るだけなのにこんなにするものか?」

 流石の兄さんも不安な言葉を漏らしてたが、エルザさんがその不安をかき消す。

「さっ、入るぞー--、ご主人」

 兄さんが「おい、待て・・」と言おうとした矢先にエルザさんが兄さんを持ち上げ、浴槽に投げ込んだ。

 ザバ――――ン

 という音に合わせて、浴槽に浮いていた薔薇が宙に舞う。とても綺麗った。じゃなくて・・・

「ちょっとエルザさん何してるんですかっ」

「風呂入るのにそんなまどろっこしいこと考えるのは無し。ただ入る。それ風呂の礼儀ってもんでしょ」

「そんな無茶苦茶な」

「あなたもよ」

 エルザさんは僕も持ち上げ、浴槽に放り投げる。

 ザバ――――ン

「ぷは」

 僕は風呂の中から顔を出すとエルザさんが風呂に飛び込む姿が目の前を横切る。

「ひゃっほーい♡」

 エルザさんの言葉と同時に浴槽の中に白波が立つ。テンション高すぎだよエルザさん。

 そして、僕たち三人は浴槽の中に浸かり、薔薇の香りを堪能しながらゆっくりしていた。お湯の温度も熱すぎず丁度いい湯加減だった。兄さんも「ここはもう、天国かもしれないな」と湯船につかりながら漏らしていた。兄さん言う通りで確かに気持ちいい。エルザさんも顔を赤くして、気持ちよさそうに入っている。

「いいわぁ~、これ」

 エルザさんの言葉におじさんかよとツッコミを入れたくなる。でも、元は女の子だったと思い出す。どうやって戻るんだろうと僕が思っているとエルザさんが様子がおかしくなっていることにようやく気付く。

「あれれ~~~。何か、気持ち良くなってきちゃった」

 エルザさんが僕に絡みだし抱きついてきた。

「ちょっと、止めて下さいよ」

 エルザさんが僕の股間をまさぐってくる。

「兄さん、止めてよ」

 僕は兄さんに助けを求める。でも兄さんはじゃれてやれと言わんばかりの顔でこちらを向いてきた。そんな無茶苦茶な、ひどいよ。僕はエルザさんの抱きつきに必死にガードする。しかし、エルザさんは元は獣人の女性で今は男性だけど元々の力が半端ないから抑えるのが大変。

「ちょっど・エ・ル・ザ・さ・ん・・・や・め・て」

 僕の声が震える。抑える力がもう持たない。

「さて、30分位たったし、そろそろ出るかな」

「ひどいよ」

 兄さんは浴槽から出ようした時だった。兄さんは何かに気付く。それは風呂桶に書いてある文字。

「なんか書いてあるぞ」

 またもそこにはこう書かれていた。

【お風呂を出ましたら、この紐を引っ張って下さい】

 その文字の書かれた風呂桶の上にはどこから出ているんだろうと言わんばかりの紐がぶら下がっているのが僕にも見えた。

「引っ張ってみるか」

「怪しいし、危ないよ」

 兄さんは僕の注意も聞く耳持たずにその紐を引っ張る。兄さんがその紐を引っ張ると大浴場内にどこからともなく鈴の音が鳴り響く。

 カランカランカラン

 流石にエルザさんもその音が気になり、僕を押し倒そうとするのを止め、止まる。その音が鳴り響いた後、突然建物が揺れ出した。

「地震か?」

「もう、今度は何」

 と言った瞬間。突然、建物の天井が外れ、僕はその光景の驚く。それは僕たちより大きな女性が二人僕たちの目の前に現れた。一人は眼鏡の黒髪女子、もう一人は栗色をしたパーマがかった女の人だった。

『あら美味しそうな男の子だ事』

『そうですわね。お姉さま。今晩のおかずはこの子たちで決まりですわね』

 そして僕たち三人はここで・・・



「ちょっと、待ってよ。芳賀君」

「何ですか?急に」

 私は芳賀君のタイピングを無理やり止める。私は芳賀君に問い詰めた。

「これって、最後どうするつもりだったの?」

「えっ、最後は大きい女性に食べられて終了ですよ」

 芳賀君は私に笑顔で言ってくる。その笑顔怖いよ。ここまでくるとすがすがしい位に復讐劇わ無かったことになり、もうどうでもいい展開になってた。もう、銃剣乱舞好きさんに怒られそう。

「BL的に食べるんじゃなくて、物理的に食べるんかい。怖いよ、軽く最後ホラーじゃん。何か、話的に男の子にしたんだから最後は男の子たちでイチャイチャして俺たちの戦いはこれからだくらいで終わるかと思ったら・・・」

「それだと普通じゃないですか」

「普通でいいのよっ!あくまでみんなで楽しんでやってるんだから」

 私はまさかの芳賀君のオチに抗議する。高瀬部長は「まぁまぁ」と私を落ち着かせ、凛花さんも私を落ち着かせるフリをしながらどさくさにまぎれ体をまさぐってきた。

「ちょっと、そこ触らないで下さい。凛花さん」

「ダメ~」

 私の抵抗の言葉に変なスイッチが入ったのだろう。凛花さんのまさぐりは過激になる。凛花さんの手は制服の中まで侵攻してきていた。

「おい、それは校則違反だぞ」 

 志藤生徒会長が凛花さん行動を止めに入る。高瀬部長は凛花さんが入ってきた事で急に私から離れた。

「違う。そういう問題じゃないです」

 私は叫ぶ。校則違反じゃなくて人道的にダメですよね。その横ではまだPCをタイピングしようとしていた芳賀君がいた。ちょっと、仮にも彼氏なら助けなさいよ。

「助けてよ、芳賀君」

「今日はこの小説を終われせることが僕の使命です」

 きりっとした顔芳賀君は私を見てきた。違う、そうじゃない。

「おいっ。もう、そこにこだわらなくていいよ。はいっ!後、これでリレー小説はお終い。凛花さんも私に触らない」

 私は強制的にこのリレー小説を終わらせる。私はその場でPCの電源を強制終了。これで小説のデータは保存してないから見られること無い。人を食べちゃう展開何て

私の中で完全にアウト。キャラが可哀そすぎる。

 それと私は凛花さんから魔の手から何とか逃げ切ることができ、私の体は事なきを得た。凛花さんには「待て‼」と言うと私に手を出さなかった。犬ですか?と私は思っていたが、このままだと、私の貞操が危なかったからまぁヨシとしよう。

 芳賀君は芳賀君で私がPCを強制終了したことを残念がる。芳賀君はその場で足を付き、むせび泣いていた。芳賀君、そこまで落ち込むことなの。

「せっかくのデータが・・・良いの出来ると思ったのに・・・」

「だから、遊・び。次の自分の作品で頑張ればいいよ」

 私は、芳賀君を励ます。まさか、こんなことで落ち込むなんて、芳賀君が分からない。

 高瀬部長は楽しそうに私たちの行動を見ている。しかし、その高瀬部長を志藤生徒会長が「あなたの部員の指導がなって無いわ」と叱っている。でも、そんな志藤生徒会長の顔も実に楽しそうだった。

 しかし、みんなでリレー小説を書いていただけなのに、こんなに楽しい時間も久しぶりに感じる。

 只、小説を書いているだけだと息がつまってしまうからこういう気分転換も必要なのかなと私は思う一日であった。

 

 





 

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