#10 父親の力
「×××(なんなんだお前は・・・・・・)」
「×××(化け物だ・・・)」
「×××(うわ〜〜!)」
平然と空中を歩く結都へ放たれた銃弾は直前で進行方向が変わった。いや、変えられた。
実体を持つ物質である限り、あらゆる物質は結都の作り出したこの歪んだ空間によって進行方向が変わるのだ。
屈折の上位互換のようなものだ。
「君たちレベルで僕にダメージを与えられはずがないだろ?」
結都は、まるで攻撃を嘲笑うかのように言い放った。実際、結都はまるでダメージを食らっていない。
「×××(もしかしてお前は・・・)」
「×××(日本の守護者・ホワイトルイン)」
「×××(なんでこんな所に・・・)」
「何を言っているかわからないけど、そろそろ終わりにしない?どうせ僕を前にした時の反応は一つだけなんだけどさ。」
攻撃部隊の1人が逃げようとするが、1歩目を踏み出す前にその男の動きが止まった。空間が固定され、あらゆる物質の動きが止まる。
結都を前にしては、逃げる事すら不可能なのだ。
「×××(おかしいぞ!昔読んだ資料では、あの化け物の能力は『バリア』と『飛行』って書いてあったはずだ!)」
「×××(能力を2つ以上持っているという事か?だがそんな事はあり得ないはずだ!)」
違和感に気づいた何人かが、伝わるはずもない声を上げる。
まるで、魔法のような結都の動きには疑問が残る。理論上不可能なはずだ。
「ふふふ、人類はその構造上、能力を2つまでしか持つ事はできない。でもおかしいと思わないかい?それなら魔力障壁や身体強化のような魔力を使った能力以外の行動はどうやって実行していると思う?」
「×××(何を言って・・・)」
「魔法使いは、存在するんだよ。」
次の瞬間、結都の目の前に形成された半径1mほどの魔法陣を形成されると、それが光り輝いた。
そして、敵部隊全員の足元に小さな魔法陣が形成されるとそれぞれの身体に凄まじい電流が走った。
「「「ああぁぁあぁあぁーーー」」」
全員が意識を失い、その場に正面から倒れ込む。
制圧が完了した事を確認すると、結都は水平線へと目を向けた。可能性があるとは聞いていたが、まさかこうなるとは思っていなかった。
そして先程、結都の構築した防御結界が戦艦によって破られた事を感じとった。あまり硬くない結界であったため破壊された事にはあまり驚いていないが、襲撃の方向には幸運と言わざるを得なかった。
「結月がこれを気に覚醒してくれると嬉しいんだがな。ま、そう思い通りにはいかないだろうな・・・・・・」
そんな事を言いつつも、期待してしまっていた。
✳︎
見てはいけない物を見てしまった気がする。
海の上でプカプカと浮いていた俺だが、少し遠くまで来すぎてしまい、陸へと戻ろうとしたその時、水平線の向こう側に何やら黒い塊のような物が見えた。
「・・・・・・おそらく気のせいだ。最近寝てなかったからな、疲れているのか?俺は。」
そんな事をぼやきながら、再び視線を戻す。するとやはり、水平線の向こう側に何個かの黒い塊が見える。
それらが、鯨のような生物であったならどれほど良いことだろうか。危機感が高まる。
「まだ国旗は見えないけど、間違いなくあそこの国なんだろうな・・・・・・」
少し前、噂で聞いた事があった。あの国が、日本の太平洋における重要拠点であるここを狙っているらしい。
確かに太平洋に進出するなら欲しいのかもしれないが、だからといって奪いとろうとするのは間違っている。いくら周囲の国々が戦争中だからといって、中立国である日本を巻き込まないで欲しい所だ。
そして次の瞬間、背後の人工島の方から爆発音が聞こえた。どこで何が爆発したのかはわからないが遠くに見えるあの戦艦たちと無関係なはずがない。
多くの人々が逃げ惑い、悲鳴をあげる。
「おいおい嘘だろ?撃って来たぞ・・・・・・」
結月がそう呟くと、敵の第1射が目の前にあったあったビルに命中した。
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