#8 不穏な空気

「おい、作戦準備の方 はどうなっている!」


「順調です!」


結月達が泊まる人工島に忍び込んだ500人のテログループのリーダーは、怒鳴り声をあげた。

人工島内の雑居ビルを占拠した彼らは持ち込んだ装備などを組み立てると、簡単な基地を作り始める。


彼らの目的は、この島の破壊であった。

戦争の無い平和な世界を求め、永世中立を宣言した日本てあったが、最低限の防衛力は当然整備されている。

もちろん、彼らに手を貸した本国もこの500人で落とせるとは思っていない、だがいつでも攻撃できるように複数の艦隊を付近に忍ばせておくのだった。


円形に作られたこの人工島の地図を眺めながら作戦を再確認する。


「我々の目標は大きくわけて3つ。1つ目は風神空港、ここは民間の空港だから簡単に落ちるだろう。2つ目は雷神空港、こっちは日本軍の簡易基地がある軍港だ。多少は苦戦すると思うがまぁこちらも問題ない。そして3つ目、おそらく1番手こずるのはここ、この島の全てのシステムを集中管理している管理塔がある所だ。」


そう言って、リーダーの男は島の東側を指した。湾のような入り組んだ先にそびえ立つタワーには通信を始めとする多数の重要な機材があるため、当然守りは堅くなっている。

そしてここは、この島を管理している場所でもあった。


「ここには日本軍の能力者が多数いると思われるが、ここからあの忌々しい摩天楼に援軍を要請されたら状況が一気に不利になる。よって最優先でここを占拠するのだ。」


「「「了解!」」」



✳︎



一方の結月はというと、呑気に観光をしていた。さすがは観光地という事もあり、遊園地やプールなどがたくさんあり、それらを満喫していた。


「はぁ〜こうしていると嫌な事を忘れられるな〜」


浮き輪の上に乗りながら、海の上をぷかぷかと浮かぶ。周囲には多くの観光客がおり、その雑音がなければどんなに良いことか、と思いながら、浮遊していた。


ちなみに、可憐は両親に連れられてここの管理塔へと顔を出しに行った。

今日は別に任務ではなく観光に来ているが、それでも顔を見せに行くのが礼儀らしい。可憐はその付き添いだ、やっぱり『危険人物リスト』に載せられる人にはしがらみが多いんだなと改めて思う。

母さんに関しても、どうしても譲れない会議があるらしく、現在ホテルでリモート会談を行っている。

よって俺は・・・


「自由だーーー!」


いきなり大声を出したため、何人かに変な目で見られたが気にせずに叫ぶ。


久しぶりの休日だ、ここは思う存分、楽しむべきだろう。


「とは言ってもな・・・・・・やる事がないんだよな・・・・・・」


そして気づく、ぼっちで海というのがいかにつまらないか。

普段はブラコン妹やヤンデレ生徒会長などのわけわからない連中に絡まれているから感じないが、こうして1人になると少し寂しく思ってしまう。


「案外、あいつらに支えられていた部分もあるのかな・・・・・・」


そんな事を考えながら・・・


「いや、ないわ。あのバカどものせいで散々な目にあったのを忘れるな、俺。」


やっぱり1人の方が気楽でいいなと、思うのであった。



✳︎



同時刻、500人のテロリストたちは、それぞれ行動を開始しようとしていた。

一般人に紛れ込み色々な2つの空港を占拠する部隊、アサルトライフルや手榴弾を装備して管理塔を占拠する部隊の3つに分かれてそれぞれ準備を始めていた。


そして、それと同時に沖合で待機していた部隊の一部がこの人工島へと侵攻を開始した。


「やれ。」


リーダーの合図で仕掛けられたプラスチック爆弾が爆発し、2つの空港と管理塔は大混乱に陥った。




____________________________



どうでもいい話


この人工島の大きさを、半径5kmにしたのですが、実はめっちゃでかいです。

だいたい東京ディズ◯ーリゾート40個分ぐらいです。


盛り土したのかな。

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