#7 夢の島
この人工島にある2つの空港のうちの1つに、市野家の自家用ジェットが着陸した。
以前は日本の軍隊の最前線拠点であったが、今では夏のバカンスを楽しむ客であふれていた。
俺たち家族も飛行機を降りて荷物を予約していたホテルへと送った。そして俺たちは先に夕食を食べる事になった。
家族揃ってカウンターに座りラーメンを食べる。
「うまいっ!やっぱりラーメンは醤油豚骨に限るなー!」
「パパさん、少しみっともないですよ。」
「はーい。」
隣でイチャイチャしている馬鹿夫婦を見ながら食べると、美味しいラーメンも不味くなるというものだ。
それと、ラーメンの中での最強は塩ラーメンだ、これは譲れない。
「やっぱりラーメンは塩味に限るよね、お兄ちゃん。」
「こればかりは同意する。やっぱしラーメンは美味しいな。」
俺たち兄妹はいつも塩ラーメンを食べている。俺も可憐もこれが大好きなのだ。
そして、俺たちはこの極上の一品を堪能した。
✳︎
夕食を食べ終えた俺たち家族は、この人工島の中の数あるホテルの中で、最高クラスのホテルに向かった。しかしここで、問題が発生した。
「なんで俺は可憐と同じ部屋なんだよ!自分達がイチャイチャしたいからって邪魔を押し付けるな!」
「なんだ?嫌なのか?可憐がお兄ちゃんと一緒のベッドがいいって言ったからその願いを叶えてあげたのだ。」
「パパありがとう〜大好き〜」
そう甘い言葉に踊らされて、どうやら親父はホテルを予約したみたいだ。しかも無駄に豪華な部屋を予約していやがる。
親父は親父で、愛娘に大好きと言われてデレデレしていた。
すると、可憐がいつものように抱きついてきた。計画が上手くいったらしく満足なようだ。
「よかったね、お兄ちゃん!今日は一緒にお風呂に入って、それから夜の運動を一緒にしようね♡」
「は?もう一部屋借りるに決まっているだろ?」
思春期の男女が同じホテルの、しかも同じベッドに寝るなど言語道断。
例え婚約している2人だとしてもこれは許されない事だと思う。
当然、部屋替えを求める。
「お客様、ホテルは満室でございます。」
「お前が答えてんじゃねーよ。」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。私がこのホテルの全部の部屋を予約しておいたから、もうどこも空いたないよ。」
「ただの迷惑な客じゃねーかよ!」
「そこはほら、私の友達とかその家族にプレゼントしたから大丈夫!」
周りをみると、可憐の友達らしき家族がたくさんいる。どうやら本当の話のようだ。
だが甘い、甘すぎる。
この程度で俺を止められると思うなよ?
まだ回避する手段はたくさんある。
例えば・・・・・・
「おい、結月!このホテル以外に泊まる事は許さないからな。」
「終わった・・・・・・」
俺の人生終わった・・・・・・
「さっ!行こっ!お兄ちゃん」
俺は可憐に引っ張られて、最上階へと向かった。
「可憐は本当に結月が好きなんだな。」
「実の兄妹なので結婚はできませんが、仲良く暮らしてほしいですね。」
「あぁ・・・・・・」
そう呟きながら2人は、愛する子供達を見送った。子供達が健やかに育つ事を願って・・・・・・
✳︎
「おぉ〜今度のは結構でかいな。」
2人で並んでドアを開けると、そこには高級感の溢れた広い空間が広がっていた。
無駄におしゃれかつ豪華な部屋で、無駄に大きなテレビや2人には広すぎるソファーなどが置いてある。
そして奥には、当たり前のようにダブルベッドが置かれている。
「ふふふ、今日は楽しみましょうね〜」
「はっ?馬鹿じゃねぇの?俺はソファーで寝るわ。」
「えぇ〜?せっかく可愛い妹を自由にできるんだよ?」
「興味ない、勝手にしろ。」
俺は全て無視する事にして、ソファーに寝っ転がった。
「じゃあさ〜お風呂入ろうよ〜」
「拒否する!」
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