#5 潜入(受身)

お待たせしました。

メインの方を書き終えたのでこっちに移行します。

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色々とあって無事にあの監禁場から解放された俺は、早百合に色々と文句を言ったあと、自宅へ戻った。

家には珍しく誰もおらず、平和な時間が約束されていた。俺の家は無駄に金持ちだが、家はそれほど豪華ではない。普通の家よりは少し大きいかも知れないが、メイドや執事のような人たちはおらず、家事は基本的に両親が分担でやっている。

警備システムはどうなっているんだ、と疑問に思うかも知れないが、この家の中に盗まれて困る物はない。盗むとしてもせいぜいリンゴのマークが目印の携帯端末やPC程度だろう。

そもそも、うちの家に忍び込もうと考える馬鹿はいない。世間で無駄に有名かつ、無駄に強い父親に悪さをしようなど、アホとしか言いようがない。

結局、何が言いたいのかというとこんな時に俺の家に忍び込むやつなどアホとしか言いようがないのだ。


「んで?何をしているんだ?」


「結月くん?!」


ここは間違いなく俺の家の俺の部屋だ。だと言うのに、この女は何をしているのだろうか。監禁されたと思ったらこれだ、まったくいい加減にしてほしい。


「ここ、俺の部屋だよな。」


「え、えぇ。」


「そこ、俺のベッドだよな。」


「え、えぇ。」


「何やってんだよ。」


俺の部屋に入いると、ベッドの上で毛布に包まる桐生葵依を見つけた。いや、なんでいるんだよ。


「これはあれよ、可憐ちゃんからあなたが監禁されたって言われて心配で・・・・・・」


「だからってなんで俺の部屋で寝ているんだよ。」


「そ、それは・・・・・・」


「それは?なんだ?」


「あなたのベッドがあまりにも気持ち良くて・・・ついうっかり寝ちゃったのよ!何か文句ある?!」


「い、いや無いですまったく無いです。」


弱いな、俺・・・・・・と思ってしまうほど早く、反射的に俺は頭を下げてしまった。俺なんも悪いことしてなくね?

というかこいつは何でこんなにいばっているんだよ。口に出しては言えないけど・・・・・・


「それで?大丈夫だったの?誰にやられたの?」


「まぁ何とか・・・・・・親父が登場してそれで全部片付いた。やったのは生徒会長だよ。」


「結都さんね、それなら納得だわ。それとあの女、殺す。」


妙に場が凍り付き、葵依はとてつもない量の魔力をその身に纏わせた。ずいぶんとお怒りのようだった。

って、そんな事はどうでもいい。今優先すべき事は・・・・・・


「っんで?いつまでそこにいるんだよ。」


「うっ!!!」


葵依は、途端に顔を赤らめると、顔を背けた。どうやら、今更ながら羞恥心が出てきたらしい。なら最初から来んなよ。


「・・・・・・もう帰るわ。」


「さっさと帰れよ!」


「い、言われなくても帰るわよ!」


そう、少し強めの声で訴えると、ベッドから飛び起きた。

そして、窓を開けるとそこから飛び降りた。「ここ2階だぞ!」っと言おうとしたところで、彼女には重力を操る能力がある事に気づく。

まったく、能力なんてなければいいのに。


「気をつけて帰れよ。」


「い、言われなくてもわかっているわよ!」


そう、捨て台詞を残して帰っていった。



✳︎



「だめだ分からん・・・・・・」


課題が意味不明すぎて、思わずタッチペンを投げ捨てる。漢文などいう、何の役にも立たない外国語を学んで何になるのだろうか。

今すぐ義務教育から古文と一緒に排除すべきだと思う。


「お兄ちゃんただいま〜お兄ちゃんが大好きな可愛い妹が帰って来たよー」


すると、俺の部屋のドアが開き、可憐が俺の部屋へとやってきた。手には『長崎土産のカステラ』を持っている。今日そんな予定無かっただろ、っと言おうと思ったが、何故長崎に行く事になったのかを途中で察した。


「好きじゃねーよ、それと自分の事を可愛いって言うのはどうなのよ。」


「カステラを買って来たよ〜、一緒に食べよ〜。」


そう言いながら、俺のベッドへと腰を下ろした。相変わらず、自分に都合の悪い事は聞こえない耳を持っているようだ。

確かに今日も、色々あって疲れたから息抜きにいいかもと思って了承する。

すると・・・


「くんくんくんっ、女の匂い?」


・・・・・・どうやら俺にはまだめんどい事が続くらしい。


「これってどういう事?説明してよ?お兄ちゃん♪」



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古文漢文は義務教育に必要ないと言うのは、結月の考えであって、私、佐々木サイの考えではないです、ご了承下さい。

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