#2 王座に座る者
主人公の両親の名前を変えました。
理由はお察しの通りです、混同する。
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午後3時
学校が終わり放課後になると、生徒の内のほとんどが『第1アリーナ』へと向かった。この学校に慣れた生徒のほとんどは娯楽のために観戦を行う。
賭博などは一応校則で禁止されているが、中にはこっそりとやっている者もおり、その人気は増していた。
かく言う俺もその内の1人で、可憐が出場する時はオールインしていた。ただ最近は、可憐のオッズがほぼ等倍になってしまい、勝ってもそんなに変わらないので賭けていない。
まぁ両親からの小遣いが数百万円あるのでわざわざ端金を得ようとは思わない。
だから最近は、可憐の試合だけを遠くの方から眺めているだけだ。
「だーっくっそまた負けたー」
そう言いながら、光星は頭を抱える。
「馬鹿だろお前、一般人が俺の可憐に勝てるわけないだろ?」
ちなみにとなりに座る馬鹿は先程からずっと可憐じゃない方に賭けて大敗している。まったく、負けて悔しがるぐらいなら最初からやるなよな。
また、先程の優しい忠告は全て無視されている。
「だってさーもし可憐ちゃんが負けたら100倍だよ?俺のこの馬券が万馬券になるんだよ?」
「俺の妹は馬じゃねーわ。それに賭博は校則で禁止されているだろ?」
過去の事なんて忘れて、光星に突っ込む。
すると、予想の斜め上の回答が返ってきた。
「先生が主催しているからセーフだ。」
「おい教師!」
「ちなみに教頭だ、誰も逆らう事はできん、諦めるんだな。」
「余計にダメじゃねーか。」
そんなこんなで試合は始まる、今日3戦目の可憐は相変わらずの無敵ぶりを放っていた。今回の敵である3年生の男も先程から何もできていなかった。
動こうとしても、可憐の『減速』と『マイナス加速』によってあらゆる動作が遅くなっている。身体を動かすどころか、魔力を操る事も、思考する事も遅くなっている。
おそらく、能力を一切使わない状態でも可憐が圧倒するほどの実力を持っている。
危険レベル8.0というのは伊達じゃない。
既に日本の中で5本の指には入っていると思う。
そして、また1人、可憐のデコピンで弾き飛ばされ気を失った。
「いや〜強いな〜僕も叶わないな〜」
「当たり前だ、ただの高校生がうちの妹に勝てるわけないだろ?って・・・・・・
「やっ!久しぶり!この前のパーティー以来だね。」
身長は結月よりも少し低いぐらいで、さっぱりとして茶髪に、黒い目を持つ少年の名前は
この『神代異能学園』における現時点での頂点にしていいところお坊ちゃん。同級生で、もちろんAクラスだ。
こいつが言うパーティーっていうのは俺たちの入学式の時の事だ。
「おいちょっと待て結月!どうしてお前がうちのスーパースターと知り合いなんだよ。」
「僕と結月は結構仲いいんだよ。」
「昔からこいつとは何かと気が合うんだよ。ってそれよりなんでお前がいるんだよ!お前はこんなお遊戯なんか見ないだろ?いつも。」
「いや〜君が大変な目にあったって聞いてね〜すぐに会いに行きたかったんだけどさ、仕事が忙しくてさ〜でもこの様子を見ると元気そうだね〜」
三谷は、よく政府や『日本能力者統轄庁』に依頼されてテロ組織や犯罪組織を潰したりしている。
今回は海外に遠征していたらしい。
確かに久しぶりだ、ここのところこいつは、将来有望だ〜とか日本の新しい希望〜とか言われている。本人にとってはいい迷惑らしい。
「まぁ見ての通り元気だわ。」
「ははは、確かに君の妹ちゃんの監視網はすごいからね〜突破するのは僕でも難しいよ。」
この前の事件から、俺の身辺警護は強化されたらしい。
俺には全くわからないが、多分良くなったのだろう。ほんと、俺なんかの命を狙って何をしたいんだかわからない。
一体俺を殺す事にどれだけの価値があるっていうんだよ。
噂によると、賞金もかかっているらしい。
「お前ならできるだろ。お前の能力って無駄に強いじゃん。」
「まぁ僕は強いけど、それは学生の中ではっていう前提条件が付く。君のお父さんや妹さんにはもちろん敵わないし、僕より強い人はたくさんいる。無理でしょ。」
「まぁ俺以外の俺の家族はみんなチート持ちだからな、まぁくれぐれも試してみようとか考えるなよ。俺はまだ死にたくないからな。」
「うん、わかってるよ。と、ごめん、そろそろ行かなきゃ、じゃあね。」
「おう、じゃあな。」
「あ、それとユリちゃんが寂しがっていたよ、かまってあげて。」
「あ、あぁ善処するよ。」
携帯端末を確認した勉は、そう爆弾を設置して去って行った。
そして俺は、入れ替わりで帰って来た、ランダムマッチを終えた可憐にいつものように捕まるのだった。
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読んでいただきありがとうございます。
前作『序列1位の最強魔法師に明日はあるのか』もよろしくお願いします!
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