世界の秩序

#0 プロローグ

お待たせしました!


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失われた記憶


「だいぶマシになったな、結月」


「父さん、おかえりなさい。」


父の声が聞こえたため、鍛錬を止めた結月は後ろを振り返った。

仕事から帰ってきた父を笑顔で迎える。


「おじさん、ゆーくんはすんごいだよ!こーびゅーって動いてずばっと能力が飛び出してくるの!」


「おお、葵衣ちゃんか。そうだろそうだろ、うちの結月はすごいだろ!」


「おじさんのじゃなくて、私のだよ!」


「はっはっはっ!『私の』か、これなら孫の顔は早く見れそうだな。」



市野家が所有するトレーニングルームで、5歳となった結月は、ひたすら鍛錬を重ねていた。その見学に、葵衣もよく遊びに来ていた。


『エネルギー変換』と『自立演算』のコンビネーションは、考えられる最高レベルで、本当の意味で最強という称号も見えて来た。

しかし、結月は心が弱く、他人を傷つけるといった行為が全くできなかった。

ポテンシャルは最高でも、心が弱くてはどうにもならない。

激化する戦争に日本が巻き込まれないようにするためにも、それに対抗しうるだけの戦力を持つことが推奨された。

故に、こうして結月は、毎日鍛錬を重ねていた。大きな期待に、押し潰されそうになりながらも着実にその一歩を踏み出していた。



「お前には特別な才能がある。無限に等しい攻撃パターン、無尽蔵のエネルギー、どこをとってもお前は世界レベルだ。」


「はい・・・・・・」


「しかし、強すぎる力は自身の破滅を招く。だからお前は、その余りある力をどう使うかを考えるのだ。大丈夫だ、安心しろお前は俺の自慢の息子だ、将来はきっといい男になる。」


「はい!」


そう言って、結都は笑顔で息子である結月の頭を優しくなでた。結月も嬉しそうに微笑む。そこには本当に親子の絆があった。

我が子を愛し、我が子に愛されていた。



✳︎



「これはどういう事かね、市野君」

「これは君の責任だ、申し開きはあるのかと聞いているのだ。」

「5分弱の復活か・・・もしもの事があったらどう責任をとるつもりだったのだ!」

「まずは謝罪が先じゃないのか?」



デパートで起こった騒動から3日後、当事者の父である市野結都は『日本能力者統轄庁』に呼ばれていた。

暗殺者を取り逃した事に対する謝罪でも痛いのかなと考えて来たら、内容はその逆だった。

ご丁寧に顔を隠した上層部の間抜け共は、円形に並んだ机の外側から罵声を浴び続けていた。

その中央に立っていた結都は、まるでこちらが失態を犯したかのように怒鳴る上層部の声を静かに聞いていた。

そしてその中には、あわよくば出世してやろうとか、市野家の力を削ぎたいという思いが透け透けであった。

息子が殺されかけたというのに、心配の声はひとつもない。


「ではみなさん、私の息子が暗殺未遂を受けた件について、どう責任を取っていただくのですか?」


「何がいいたい!」

「馬鹿にするのも大概にしろ!」

「其奴は殺しても死なないだろ!」


最後のセリフは、本当の事であった。

理論上、エネルギーが無くなる事はない。音や光、熱のエネルギーをゼロにすることなど不可能だし、たとえ真空でも結月にかかる圧力から『エネルギー変換』を使う事ができる。

長距離から狙撃しても『自立演算』で事前に防がれるか、着弾した直後に再生が始まる。

例え脳を吹き飛ばす事に成功しても、結月の記憶を保管している『自立演算』が生きているので復活は可能だ。


要するに、殺す手段一つもないという事だ。

これが、上層部が焦る理由であった。いつ裏切られるかわからない、常にその恐怖と隣合わせに生きてきていたのだ。

自業自得と言えばその通りだが、頭を下げるというのはプライドが許さなかった。


「過程はどうであれ、結月の存在が合衆国や共和国に知られてしまった可能性があります。その件についてどう対処するのですかと聞いているのです。」


「それは後から考える。」

「いっそのこと爆弾を合衆国に売ってしまえばいいのではないか?」

「馬鹿か、そんな事をしたら我が国が危ないわ。」

「だがこれもいい機会なのではないか?」

「だがしかし・・・・・・」


議論は一向に進まない。

保身すぎる結果、何の成果も得られていないというわけだ。

だがその中に、結人の癇に障るワードがあった。


「どのような方針を立てようが、それは貴方方の勝手です。ですが、私が何のために貴方方に頭を下げているのか、お忘れ無きように。」



そう言い残し、結人は立ち去った。



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皆さん呪術廻戦見ましたか?私は、初日に行きました、めっちゃ面白かったです。


え?何で今そんな話かって?

映画館行ってこい

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