エピローグ
某日某所
「こんにちは、総理」
「やぁ市野君、待っていたよ。」
日本における実質的なトップである総理大臣は笑顔で結月の父、市野結都と握手をした。対して結人の方はあまりよさそうな顔はしていなかった。結都の左隣には、車椅子の上で寝ている少年がいた。
言わずもがな結月である。
エレベーターで地下7階まで移動する。
ここには日本で最高レベルの機密が隠されていた。
指紋認証や音声認証などによる3重のセキュリティーを超えて、小さな部屋に入った。
中に入るのは総理、副総理、結都、結月の4人のみだ。
中には、車椅子を設置するための台座のようなものが置かれており、そこに結月を乗せた車椅子が乗っけられた。
「では、始めてくれ。」
総理が、低い声で告げる。わかりました、と副総理が答えて手元のスイッチを押した。
システムが起動し、部屋全体が黄色く光った。
黄色、それは半分ぐらいを表す。
つまり、補充をする必要があるということだ。
「お願いします、市野さん」
「了解しました。」
副総理に促されて、結都は前に出る。
愛する息子の額に手を当てると、『
「『夜明けの光』」
【固有能力『自立演算』は『秘密の言葉』を確認しました。】
【これより、主導権を固有能力『自立演算』が得ます。また、固有能力『エネルギー変換』の行使権を得ました。】
【アクセスID『市野結都』を認識しました。】
結月の体は目をカッと開いた。いつもの黒い瞳は黄色く輝き、結人の方を見つめていた。
「いつものを頼む。」
【了承、固有能力『自立演算』は固有能力『エネルギー変換』を行使し、エネルギーの補給を行います。】
✳︎
表向きには、日本のエネルギー源の90%は核融合によって生み出されたエネルギーという事になっている。
しかし実体は、地域への紹介や実験機を除いてそのほとんどが活動を停止している。
ではどこからエネルギーを得ているか、エネルギーの保存能力を得た現代の日本では、たった1人の人物が日本の全エネルギーの約80%を担っている。
その人物の名前は『市野結月』
表向きには最低ランクの評価しか与えられていない少年が、日本のエネルギー問題を解決していた。
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読んでいただきありがとうございます。
前作『序列1位の最強魔法師に明日はあるのか』もよろしくお願いします!
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