#13 真の能力

【基準レベルを上回る人間による攻撃ヒューマンズアタックが観測されました。】

【固有能力『自立演算』は『自己防衛』を行います。】

【固有能力『自立演算』は固有能力『エネルギー変換』に能力の行使を要請します。】

【固有能力『エネルギー変換』が使用されました。また、身体の機能不全から一時的に固有能力の使用を許可します。】


「へ?」


死を悟った、最弱の能力しか持たない俺ではどうしよもないと思った。

だが、今目の前で起こっている現実はありえない事だった。

攻撃が、止まっている。


「おいおい、リーダー。何をしているんすか?さっさとバラしちゃいましょうよ。」


「そーですぜ、リーダー」


後方にいた2人は訳が分からないといった様子だ。だが、当事者である男も何が起こったのか理解できない。

自分の右肩より先が動かないのだ。


「おい!何をした!」


「えっと・・・あれ?痛みが消えてる・・・」


「答えろ!これはなんだ!」


「『エネルギー変換』?何それ・・・」


【マスターである市野 結月の固有能力です。契約により、一時的に能力の使用を許可します。】


「いや、固有能力と言われても使い方を知らないのだけど。」


【記憶の欠落により状況を把握出来ていないと推測します。よって、記憶の一時的な修復を推奨します。実行しますか?】


「記憶の修復?まぁよく分かんないけどお願い。」


【了解しました。固有能力『自立演算』がマスターから預かった2億5042万8711秒分の記憶を復元します。】


「復元?」


そう呟いた直後、脳に激痛が走った。どんどん埋め込まれていく、知っていたはずの記憶。

その中にはもちろん、忘れていた幼馴染の記憶もある。しかし、最も印象に残っている記憶は・・・

固有能力『エネルギー変換』を使って父と訓練をする様子。


魔力を物理的な運動に変換するだけの能力だと思っていた。

でも、違う。

そんな生易しいものじゃない。


全部、思い出した。





「『エネルギー変換』<電気→熱><運動→熱>」



俺の真の能力は、あらゆるエネルギーを変換する能力。

先程の攻撃が無効化されたのもこれの応用だ。

俺のもう1つの能力、『自立演算』に『エネルギー変換』の行使権を与える事で、人間レベル超えた動きを見せる。



脳から発せられる電気信号を熱へと変換することができる。


男は、全身の骨が折れたかのようにその場に崩れ落ちた。

もちろん心臓も動いていない。


「おいお前!兄貴になーーー」

「うるさい。」


音もエネルギーの1つとしてカウントされる。故に無力化する事ができる。


「さて、どうしようか・・・」


【報告します。先程の爆発で13名が気を失い、45名が怪我をしました。治療しますか?】


「チッ!じゃーねーな、許可する。」


【固有能力『エネルギー変換』熱エネルギーを生命エネルギーへと変換します。】


人々は、光の粒子に包まれると、生命エネルギーによって細胞が活性化し、傷口が塞がっていく。

やがて、目を覚ますと、起き上がった。


服はボロボロだが、外傷は一切ない。中の傷も全て治した。何なら、持っていた病気もついでに治したので良くなったまである。


【報告します。2つ上の階に桐山様がおります。先程の魔法で傷は治しましたが、気を失っているようです。電気ショックを実行しますか?】


「しなくていい、俺が向かう。」


【了解しました。では、崩れそうな箇所の補強及び鎮火を行います。】

【固有能力『エネルギー変換』熱エネルギーを結合エネルギーへと変換します。】


天井に空いた穴から上の階へと向かう。2つ壁を抜けると、地面に横たわる少女を見つける。


「全く、お前は昔から無理しやがって。」


「ん・・・?ゆーくん?」


「久しぶりだな、葵衣」


「ゆーくん!思い出してくれたの?」


「ああ、一時的にな。多分もう少しで忘れる。」


「そっか・・・・・・でも大丈夫、私がいつまでもゆーくんを守るから・・・」


「あぁ、ありがとな。」



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読んでいただきありがとうございます。


前作『序列1位の最強魔法師に明日はあるのか』もよろしくお願いします!

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