#12 暴走

下の階から凄まじい爆音とともにデパート全体が揺れた。連続した爆発に何か作為的な物を感じる。


「皆さん!一気に下におりたいので隣の人と手を繋いで集まって下さい!」



デパートを訪れた人を1箇所に集める。原因は分からないが、今は退避が優先だ。

200人程集めると、全員を一気に浮かせる。


「ぐっ!」


想像以上に辛い。1人あたり50kgとして200人でおよそ10トン、自動車数台分だ。

市民たちは既に上空、今更離すわけにはいかない。

なるべく遠くに、爆発に巻き込まれない位置に。

そう思いながら、運ぶ。


「もう少し・・・お願い、頑張って・・・」


やっとの事で市民達を下に降ろし終えた時、最後の取っ掛りが外れギリギリを保っていた天井が崩壊した。





2度目の爆発とともに地面が盛り上がる。

捕まっていた手すりが外れ爆風によって吹き飛ばされ、天井に叩きつけられた。


「ガバッ!!!」


何本かは分からないが骨が折れる。

口が切れ、血を感じる。


「はぁはぁはぁ・・・」


まずは落ち着き、呼吸を整える。

腕は使えそうか・・・いや無理だ、左手しか動かない。

足は・・・こっちもダメか・・・

続いてポケットを探る、だが端末はどこかへ消えていた。

・・・・・・詰みか


首を使って辺りを見回すが誰もいない。おそらく下の階か西条のいる上の階に逃げただろう。

ここで待っていれば西条が助けてくれるか・・・

自力脱出を諦めて、仰向けになる。仰向けの方が空気の通りが良くなると聞いたからだ。


だが、人生は思い通りにはならない。

コツコツという靴の音とともに誰かが近づいてくる。


「こんにちは〜結月く〜ん元気ですか?〜」


「だ、れ、だ・・・」


「僕ゥ〜?暗殺者的なァ〜?どうだったかい?この楽しい楽しいアトラクションはさァ〜」


趣味の悪い黒いコート羽織った3人の男が立っていた。それぞれ身長は同じぐらいてどこか楽しそうに笑っている。

1番先頭のリーダーと思われる男が口を開いた。


「あるお偉いさんにお願いされてさァ〜君を殺すだけで10億円貰えるんだってさ〜可哀想だねェ〜まァ恨むなら君のお父さんを恨んでね〜祟られたくないから〜」


「おい、さっさとズラかろうぜ。これだけ派手にやったんだ。電波は結界で遮断しているとはいえサツの連中もそろそろ気づく。さすがにサツとから逃げるのは面倒だ。」


「そうだな・・・」


後ろに控えていた男の言葉に頷く。

懐からナイフを取り出すとこちらに向けた。


「俺を、殺したら、父さんが黙っていないぞ・・・」


萎れた声で訴える。先程の怪我で身体が思うように動かない。我ながらかっこ悪いセリフだ。


「そんなの知ったこっちゃないさ。だいたい今日はお前の大好きなお父さんは海外にいるだろゥ?」


「っ!!!」


「じゃあな、後で祈っておいてやるぜ。」


その言葉と同時に手に持ったナイフを振り下ろした。

思わず目をつぶる。

・・・・・・死ぬってどんな感じなのかな。


だが、現実は予想とは違う方向へ進む。

真っ直ぐ首に向かって振り下ろされたナイフは、結月の首の5cmほど手前で止まった。



【基準レベルを上回る人間による攻撃ヒューマンズアタックが観測されました。】

【固有能力『自立演算』は『自己防衛』を行います。】

【固有能力『自立演算』は固有能力『エネルギー変換』に能力の行使を要請します。】

【固有能力『エネルギー変換』が使用されました。また、身体の機能不全から一時的に固有能力の使用を許可します。】


「へ?」



_________________________


へ?

更新が遅い?

気のせいですよ。

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