#11 何も起きないはずもなく・・・

やってきた・・・否、ついていかされたのは近所で有名なデパート。


平日の放課後ということであまり混んではおらず、俺は桐生の少し後ろをついて歩いた。


逃げ出すのは簡単だ。だが、捕まった後のことを考えてほしい。

おそらく良くて生き埋め、最悪斬首だろう。


この桐生葵衣という人間を簡単に説明すると、『孤高の姫』。

近寄ったら最後の理不尽なボスをイメージしてほしい。もちろん能力も魔力も強く、入学以来負けなし。現在第1位に君臨する三谷にも勝てるのではないかと噂される。


数多くの逸話が残っており、被害にあった人物は数知れず。また、生徒会長 西条早百合と仲がすごい悪いらしい。


そんなチート理不尽女に何故か俺は付きまとわれているわけで・・・

断れるはずもなく、こうして付き合わされている。


「あの〜桐生様、本日はどのようなご要件で・・・」


「何?その呼び方?」


冷たい言葉の弾丸が俺を撃ち抜く。

あらかじめ用意していたシールドなど無意味に、そして理不尽に。


「は、はい。では、どのようにお呼びすればよいのでしょうか・・・」


「普通に『葵衣』でかまわないわ。」


「いや、それはちょっと・・・」


「何?嫌なの?」


「滅相もございません。ご容赦を・・・」


とりあえず謝る。もうこれしかない!


「まぁいいわ。実は服を買おうと思っていたの、意見を言ってくれる?」


「そうですね。葵衣様にはこちらがお似合いかと・・・」


目の前に突き出された2つの服からできるだけ露出度の少ない左側を選択する。


「そう、ゆ~くんはこっちが好みなのね。これなら着られるわ。」


「ん?どうかしたか?」


「いえ、何でもないわ。次に行きましょう。」


「仰せのままに・・・」


そして俺は、その後2時間に渡って買い物に付き合わされるのだった・・・



それは、突然の出来事だった。

服選びが終わり、フードコートで向かい合って座っている時、突然下の方で凄まじい爆音が鳴り響いた。


突然の大きな音に人々はパニック状態に陥った。

何処かの配線がやられたのか、電気が消え、地面にひびが入った。


「何の音だ。」


「わからないわ。おそらく何かが爆発したんだと思う。私は上の階にいる人を助けてくる。市野君はさっさと逃げてちょうだい。」


「いや、俺もできる事をする!」


「気をつけてね。」


桐生は俺にそう告げると高速で移動を開始した。


「『重力操作グラビティ』!」


葵衣は、斥力を自由自在に操る能力を使って天井の落下を防いだ。

そして身体強化をし、まだ上の階にいる人を救うため走り出した。


「慌てず落ち着いて行動して下さい!」


俺も大声で避難を呼びかける。神代学園の生徒ということで、多くの都民がその指示に従った。

高位能力者はこういう時に指示を出す事が義務づけられている。


その時だった2度目爆発がおきたのは・・・


______________________________________


更新が遅れて大変申し訳ございません。

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