#10 もう一人の厄災
午後に行われる、午後の授業を終えた俺は忌々しい生徒会を訪れていた。
普段ならばこんな面倒事の塊のような場所に行かないが、我が妹に「来てね、お兄ちゃん」と、可愛い声で言われたのでここは行くしかない。
行かなかった場合の事など、考えたくもない。と、言うわけでやって来たのだがそこには思わぬ人物がいた。
「こんにちは、市野君。元気そうね。」
「は、はい、桐生さんにおかれましてもお元気そうで・・・」
「それで?私に言うべき事があるんじゃないの?」
「言うべき事ですか・・・」
えっと・・・なんだろう。心当たりがありすぎる・・・
こいつに関わると面倒なので俺はここ1週間ずっと、用事があると言って、逃げ・・・戦略的撤退をしていた。
「その件につきましては、多大なるご迷惑をおかけして大変申し訳なく・・・」
「で?」
鋭い眼光が俺に突き刺さる。俺のHPがごりごり削られていくのを感じる。
我が妹を呼べばすぐさま助けに来てくれるだろう。だが、そのあとはどうする・・・
最悪の展開がいくつも想像できるぞ?
俺の脳内にあるコンピューターが導き出した答えは・・・
「お詫びのしるしとして、『何でも』言うことを聞かせていただきます!」
「へ~『何でも』ね~」
「はい・・・」
そう答えながら、俺はなんて事を言ってしまったんだと後悔する。
恐怖で思考回路がバグっていたのだろう。
訂正をしようと思ったが、時既に遅しであった。
「そう、ならば今から私の買い物に付き添いなさい?」
「へ?」
「聞こえなかったの?私の買い物に付き添いなさい、と言っているのよ。」
回答が予想の斜め上過ぎて、間抜けな声を出してしまった。
「は?何言ってんだよ。何で俺が・・・」
「今何でもするって言ったよね?さっ行きましょ。」
「断る、俺は今日ここで妹様を待たなきゃいけないんだ。」
「ならそれ、キャンセルするわ。」
「いや、だがな。俺の妹はだな・・・なんというか・・・めっちゃ怖いんだよ。そんなことしたら何をされるか・・・」
「いい加減にしてちょうだい。私が行くと言ったら行くの、あなたに拒否権はないわ。それと、どーしてもというなら私があんたの妹を止めてあげるわ。」
「ま、マジすか?ならぜひお願いします。」
俺は、妹の監視から逃げられるという提案に二つ返事で了承した。
これほどの好機滅多にないからだ。
そして俺は、桐生に連れられて近所のデパートに買い物に行くことになった。いや、いかされた。
*
・・・やっぱり『ゆーくん』は私の事を覚えていないのか。昔は、あんなに一緒に遊んだのに・・・
あの頭のネジが外れた生徒会長の事も覚えていないみたいだし・・・
でも大丈夫!まだ私にもチャンスはあるわ。
それに可憐ちゃんの能力は『加速』と『減速』、私との相性は最悪!
がんばれ!私!
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読んでいただきありがとうございます。
前作『序列1位の最強魔法師に明日はあるのか』もよろしくお願いします!
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