#7 妹参上!

「こんばんは、生徒会長さん。この部屋は豚小屋だと聞いたのですが、正解のようですね。」


「あなたは・・・」


「可憐!助けてくれ!こいつちょっとおかしい!」


俺は必死に我が妹に助けを求める。

可憐は待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべた。


「了解です!お兄ちゃん。この市野 可憐!全力で助け出して見せます!」


「こんにちは、可憐さん。申し訳ないのですが、ここは豚小屋ではないので、お引き取り下さい。それとも、痛い目にあいたいのですか?」


「市野家の人間であるこの私とやろうって言うんですか?いいですよ。ボコボコにして差し上げましょう。」


「昔の事をもう忘れてしまったのですか?毎回負けていたのはどこのどなたでしょうか。」


2人の間に火花が見えるのは俺の気の所為だろう。というか気の所為でありたい。

おれはつかさず間に割って入る、まるで昔の漫画ののように。


「やめて!俺の為に争わないで!」


「お兄ちゃんは少し黙っていてくれない?」

「市野君は少し黙っていて下さるかしら・・・」


結果ー敗北

昔の漫画のヒロイン達はどのような気持ちでこの殺し合いの中に割って入ったのだろうか。

それと、このような対応をされた時の対応をご教授いただきたい。

そんな事を考えていると、2人の距離は1歩ずつ近づいていき、そして・・・





「今からアリーナに行きましょう」

「了解した・・・」




2人とも校則はしっかりと守る。

俺はその点に少し安心した。







『さぁ、やってまいりました!赤コーナーは、入学初日にランダムマッチ15連勝を叩き出した超新星、市野 可憐!その能力はまるで謎!手元の資料によると、神代学園中等部では、1年生の頃からランキング1位の座を明け渡した事がありません!そしてさらに、言わずと知れたあの市野結都の娘だ!』


『青コーナーは、我らが生徒会長、西条 小百合!彼女の能力も詳細は分かっていませんが、圧倒的な反射神経と強力な能力を兼ね揃えたスーパー高校生です!突然始まったこの注目のカードには多くの観客が訪れております!』


実況の合図とともに2人が向かいあった。

実況は西条の桁違いのら反応速度は彼女自信の反射神経だと説明していたが、実際は彼女の能力である『予知』によるものだ。

能力を使えば相手の動きの未来図が残像見えるらしい。



ここで俺は1つ疑問を覚えた。




どうして俺は、その事を知っているのか・・・



自分の能力は下着の色よりも大事である。

そんな大事な情報をいつ知ったのか・・・どうして知ったのか・・・

考えてみたが、わからなかった。




始めの合図とともに2人の戦いが始まった。

可憐と西条は立ち止まったまま、余裕の笑みを浮かべる。お互い負けるわけがないと思っているのだろう。

最初に動いたのは、可憐だった。



「私とお兄ちゃんの邪魔するのやつは、誰であろうと排除する。」



私の狙いはあの豚の顔面。

狙いを完璧に捉え、『加速』を使って膝蹴りを放つ。

が、西条も負けておらず、魔力による純粋な身体強化と『予知』を使って次々と攻撃を躱す。


魔力には、大きく分けて2つの使い道がある。

1つ目は魔力を『異能力』という形に変換して、それを実行するという道。

2つ目は魔力を純粋なものとして使う道だ。

前者は出来ることが少ないが、後者には色々な選択肢がある。魔力によって身体を活発化させ、強化したり魔力で膜を作り障壁を作ったりと色々な事ができる。

魔力が多ければ多いほど有利なのはこれが理由だ。


ちなみに、2人とも魔力量10万を超えている。

また、魔力が10しかない俺には関係のない話である。



会場は女と女の本気のぶつかり合いにわいた。

そして勝者の賞品となっている俺は、両方負けてくれる事を密かに願っていた。


戦況は少しずつ可憐が有利になっていく。

未だに有効な攻撃手段の無い西条は防戦一方だった。


「さすが、可憐ちゃん強いわね・・・」


「あなたの方こそ!!!昔の私とは違うんですよ!『加速』・・・」


「『振動』・・・」


追い詰められた西条は、次なる一手を放つ。

彼女の『振動』は触れたあらゆるものに振動を与える能力。

地面を振動させて、砕き足元を不安定にする。

可憐が一瞬バランスを崩した瞬間に西条は攻撃を放ったのだが、それは可憐による罠で、『減速』と『マイナス加速』をモロに食らい動きを封じられた。



「私のお兄ちゃんから離れろ!!!」



というわけの分からないセリフとともに繰り出された可憐による右ストレートをくらい、西条は力尽きた。







________________________________________


妹ちゃんめっちゃ強いです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る