#5 妹の付き添い
ブラコンに捕まってしまった俺は、姫様を案内する事になった。
ちなみに拒否権などあるわけがない。
俺は彼女に手を引かれて校舎を回る。
2、3回しか使った事のない食堂や入った事すらない図書館、そして自分の能力と体内魔力量がわかる、能力検査室。
ちなみに俺はここが嫌いだ、毎回学年最下位の魔力量10を見ていればこーなるのも当然だ。
俺は、正体不明の病気、というか体質のせいで魔力量が昔から1つも増えていない。ずっと10のままだ
何度も病院に行き、何度も検査を受けたがいつ見ても同じ値だった。
色々な所を周り終えた後、俺たちは最後の目的地ヘと足を運んだ。
「ここが神代学園のドームですか!広くて大きいですねお兄ちゃん!」
「あぁ、そうだな。」
"第1戦闘アリーナ"
この神代学園が保有する2つの訓練場のうちの1つで、ここで毎日『ランク戦』が行われている。ちなみに俺は参加した事がない。ある程度は勝てるかもしれないが最後にはどうせ負けるからだ。
「お兄ちゃん、私もやっていい?もちろんランダムマッチで・・・」
「・・・いいぞ。相手になるやつはいねーと思うがな。」
「はーい!」
元気よく返事をすると、受付へと走っていった。
相手がいなかったりすると、自動で生徒会が組み合わせを組んでくれるので、たいていその用法がよく用いられる。
ちなみに1つのアリーナにつき2試合までしか使えないので、20分経っても決着がつかない場合は審判(先生)の判定できまる。
その後、その結果が生徒手帳に記録され1ヶ月毎に更新される順位表に影響されるシステムとなっている。
反則級の強さを誇る我が妹がこんな学生レベルの試合で負ける訳がないというのが本音だった。
しばらく待つとついに妹の番が始まった。会場に出てきた可憐は観客(俺)に手を振りながら正面に立つ。
その表情は自信に満ち溢れていた。
「頑張れ、可憐ー!」
後で何か言われそうなので一応応援しておく。
「うん!観ててね〜お兄ちゃん〜」
すると、嬉しそうに手を振り返してきた。
周りから嫉妬の目で見られている気がしなくもないが、何も感じない。気のせいである。
カウントダウンがゼロになると、対戦相手である男が勢いよく前に飛び出した。手には鋭いナイフを持っている。
俺はあいつが誰なのか知らないが、いい動きだ。
「喰らえ!」
男は、2本のナイフを真上に投げた。そして急に起動を変えると可憐目掛けて落下した。
しかし、ナイフはそのまま地面に突き刺さる事なく空中で静止した。観客の多くが疑問の声をあげる。可憐の能力を知る俺はこれが彼女のものだと確信する。
するとそこにいたはずの可憐の姿が突然消える。
「あの野郎!どこいった!」
男は完全に見失い怒鳴り声をあげる。
と思ったら、次の瞬間男の目の前に可憐が現れた。突然現れた可憐に驚き男は右に飛んだ。そのまま体勢を整えようとしたのだろう。
しかし、男はもう一度地面に着地する事なく鈍い音をたてながら壁に激突した。
「しょ、勝者、1年Aクラス 市野 可憐!」
審判の先生が大きな声でそう宣言する。
「お、おい今何が起こったんだよ!」
「俺には全く見えなかったぞ!」
「最初の動きも訳分かんねー!こりゃ荒れるぞ!」
誰も何が起こったのか理解出来なかった。
能力は一般的に公表の義務はない。しかし、犯罪者の能力などは、公開される。
また、政府には例外なく能力の詳細を提出する事になっている。
そのため、先生ですら可憐の能力を知らないのだ。
可憐の能力は俺と違って2つもある。
それは『加速』と『減速』。
両方とも向きは変えられないが、捉えたものの速さをいじる事ができる。個数に上限はなく。物理攻撃主体の相手であれば間違いなく勝てる。
それだけでも恐ろしいが、さらに恐ろしい使い方がある。それは『マイナス加速』と『マイナス減速』も可能である点だ。
彼女曰く、『加速』と『マイナス減速』を掛け合わせる事によって更なる速さ生み出す事ができる。
弱点は、非物理的な攻撃と魔力量のみ、たが、可憐の魔力量は超人レベルなので実際のところ、可憐の弱点は非物理攻撃のみである。
そんな最強ぶっ壊れチートを誇る我が妹は残念ながらというか当然ながら、『危険人物リスト』に載せらてしまっている。
危険レベルは8.0
一般には公開されていないが、監視がついているらしい。
俺は兄として、彼女を守る。
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読んでいただきありがとうございます。
前作『序列1位の最強魔法師に明日はあるのか』もよろしくお願いします!
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