#3 おかしな組み合わせ


2年Eクラスの教室に入ると教室が妙に騒がしかった。

俺はそんな事には目もくれず、教室の一番後ろの窓側に座ろうとする。

が、それは夢は叶わなかった。

まぁそもそも俺の席はそこじゃないわけだ・・・



「こんにちは、市野君。春休みはいかがでしたか?」


俺を見つけ、生徒の輪から飛び出して来たのは金髪の美少女はこの神代学園の生徒会長 西条さいじょう 早百合さゆり

実力も学校ランキング3位に位置するトップクラスだ。

彼女の能力は2つ『振動』と『予知』。

詳しくは知らないが、超強力な能力だ。


「あ、どうも。まあぼちぼちかな・・・」


しかし、おかしい。

間違いなくAクラスであろう彼女がどうしてこんな所にいるのだろうか。


「そうですか・・・あ、あの!」

「それじゃあ俺はこれで・・・」


そう言って、そそくさと去った。

面倒ごとは避けるべし。俺は真っ先に席に座る。

向けられる視線などは全て無視、何も気付かない。


すると前の席に座る悪友が話しかけてきた。


「久しぶりだな、親友。春休みはど~だったか?」


こいつは板場いたば 光星こうせい

去年同じクラスかつ出席番号が前後だったのでよくつるんでいた。というよりこいつしかまともに話せる友人がいなかった。


生徒会長?知らないな、何の事だがわからない、気のせいじゃないのか?


「まぁぼちぼちかな。2年生になったって実感はないがまぁ今年も何とかなるだろう。というかいつ親友になったんだよ。」


「ははは、お前は相変わらずだな。他人に興味がない・・・このままだとやっていけないぞ?」


「俺はまともに生きれればいいんだよ。そんでもって適当に公務員にでもなるかな。」


「ははは!お前の学力じゃあ受かんね~よ。」


「うるせ~な。」


「ところで隣で何か話したそうにしている会長さんはいいのか?」


「何の事がかさっぱりわからないな。」


「あ、あの!市野君!私とお話を!」


「おい、あの”落ちこぼれ”生徒会長さんを泣かそうとしているぞ?」

「自分が名家の家だからって調子のってる!」

「ほんと”クズ”だな。」


気付かないふりをする。全く新学期からたまったもんじゃない。


「おい、親友!なんか泣きそうな顔をしているぞ。」


「は~仕方ないな。俺は見ての通り元気だ、そして春休みは何も無かった。それで?お前はどうして下のクラスにいるんだ?からかいに来たのか?」


「ち!違います!私もこのクラスに入る事になったんですよ。」


「どうして?お前の実力ならAクラスも余裕だろ?」


「授業の多いAクラスよりも少ないEクラスの方が楽しいかな〜って思ってね〜それに市野君にも会えるし・・・」



ここ神代学園では、クラスによって授業の長さが変わる。

AクラスになるとEクラスよりも4時間も長く授業があるらしい。その為、1部の生徒は自らクラスを下げる。



「俺と同じクラスになってどうするんだよ。」


「そ、それは・・・幼なじみだし・・・」


「記憶違いじゃないのか?」


「それに・・・」


「とにかく俺と関わらない方がいい。1級能力者様は同じレベルの人間とつるんだ方がいい。」


「わ、わかったよ・・・」


そうしょんぼりした顔で去っていった。


「よかったのか?あれで」


「あぁこれがお互いのためだ。俺はあいつとからな。それに・・・」


「『それに』なんだ?」


「いや、なんでもない。」



そしてチャイムと共に朝のHRが始まった。







人間の約70%は魔力を持っている。

どのような理由で人間が魔力を持ち、また、どのような理由で能力を持っているのか分かっていない。


また、理論上には魔力というものは存在しない。

だが、たしかにそこに現実のものとして存在している。


これが唯一にして絶対の真理。

理論と現実が矛盾している場合、間違っているのは理論の方である。

結論として、魔力というのは別次元の物として扱われている。

人間には観測できない暗黒物質ダークマターと解釈されている。


そして能力スキルというのはその暗黒物質を現実の、3次元のものとしてするための人間の手段、いや器官というのが正しいだろう。


魔力に接する事のできる人間はある時突然、まるで息を吸うが如く使えるようになる。

それが0歳なのか10歳は人それぞれだが、概ね15歳までには1つもしくは2つ発現する。


ちなみに俺は1つだ。





そして、俺は何故か7

そのため、幼なじみと宣言する『西条早百合』との記憶は一切無い。



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読んでいただきありがとうございます。


前作『序列1位の最強魔法師に明日はあるのか』もよろしくお願いします!

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