紫陽花に髪はわからない

風が強くて髪を押さえた

道行く人も強風が過ぎるたびに気にしてる

何度撫でても、また風が吹くから

諦めている人もいて

帽子を装備している人もいて

風が強く吹いていた


世界も揺れている

道ばたの花々が揺れている

開花を待っていた紫陽花が

鞠のような花房を上下に動かして

揺れている

枝は細く、なすがまま、揺れる

まるで動物が首を振っているみたい

意思のある生命みたい

激しく左右に揺れていた

とても重そう

切れば軽い花束なのに

風に吹かれる花は

とても、とても重そうで

ちょっと恨めしい

だって、紫陽花は手鞠のまま揺れるから

髪をいちいち整える人間の気持ちなど

わからないだろう


五月末、強風、曇り、湿気はまあまあ

花は咲き咲き

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