春が死ぬ、梅雨知らず、奴隷と人間と

そこはバンガロー

湖から坂を上り

土の臭い

夕焼けがあたる立地

森深い故に声は届かず

熱気溢れる室内

方方から聞こえる声

怒号、罵倒、甘え声

絶叫、泣き声

ありとあらゆるものが溢れ

ありとあらゆるものが失われ

夕焼けは

ずっと見ていた

それを背に男性らは佇んでいた

室内の狂乱を

ただ聞いていた

上から下までの奴隷がいる

上から下までの人間がいる

イチとゼロ

その間の男たち

夏に向かう日差しは背中を焼いた


上司が少女を連れてきた

ソファに押し倒してナかせる

笑う彼に、無表情の男性たち

とうとう、子から

「たすけて」とか弱い声がした


男は歯を食いしばり

無力さを

伸ばされた手のだいだい

見ていた

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