#5 隠

「失礼。医者はいるかな」

「はいただいま......ってゲエエエエエッ!?先生〜〜!!急患ですーーー!!」


ドッガーは病院にやって来ていた。


ーーーーーーーーーー


「深い傷ですね。強盗にでも襲われましたか?」

「例の」

「......あぁ」


ドッガーに治癒魔法を掛けている医者は、他でも無くペンタグ。魔法の規制が緩くなってから頑張って覚えたのだ。


「どうでしたか?」

「逃してしまった。情けないことに」


ペンタグは安堵した。取り敢えず生きているようで良かった。あれから国中は大騒ぎなのだ。少なくとも既に王都には完全に包囲網が敷かれている。馬車が無ければ王都から脱出出来ずに終わりだったろう。


「......怖い、ですね。早く捕まって欲しいです」

「大丈夫。次はこうは行かせないよ。それに、アイツがこれからどれだけ強くなってもルロイさんやミゼン王には勝てない」

「彼はどこへ向かったかと思いますか?」

「何でそんなこと聞くの?」

「ああいや、家族がいるので、近くだったら注意させないとと思い......」


「......向こうの川を下っていった」


ーーーーーーーーーー


ペンタグはその日の夜、置き手紙だけを残して出ていった。目的地は語るまでも無い。


つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る