#6 沢城巳善・むそう

「急げ!大砲はどうしたんだ!?」

「砲手ごとッ、バラバラに!使えるものはありません!!」

「駄目です!城門突破されます!うわああああああっ!!」

「ぎゃあああああああ!!!」


人はこれを革命と呼ぶが、此方としてはどうにも退屈だった。余りにも、呆気無かったから。


「......もう少し、頑張ってくれると思ったんだがな。やり過ぎてしまったかな。にしたって貧弱が過ぎる。今の君達は、塵と鉄の味を思い知るので精一杯じゃあないか。これじゃあ虐殺だ。私が体験したいのはそうじゃあないんだよ......おや?」

「あッ、がはッ......」


これは凄い!生きている兵士がいるとは感心感心。是非今の生の思いを聞かなくてはね。


「君君!会えて嬉しいよ!ねぇ、今どんなこと考えているんだい?」

「ふざけん、な......一体、何が......お、前。何、何を......したんだ......」


「えぇ?私、また何かやってしまったかな?」


ーーーーーーーーーー


ここは王の謁見の間。そして今のは私の話だ。玉座に座する私の下に、3人の男女が佇んでいる。だが今は正直彼らで無くとも答えられる質問をしたい気分だった。


「逃亡した執行人の行方は?」

「今も捜索中。やっぱり王都から出たに違いないよ。騎士団には任せられない。僕が行く。それで一発でしょ?」


3人の内大人しそうな青年が答えた。気持ちは嬉しいが、また革命の時みたいにすぐ終わったらつまらないだろう。......失敬。私の名は沢城巳善。ここでは王をやっている。ここはいわゆる異世界と言う場所だ。いつしか我々はこの世界に飛ばされていたのだ。あの3人が何を思っているかは知らないが、少なくとも私はこの都合の良い世界で実験を行おうと思い、実行している。あのアダムスキーと言う執行人は、私を楽しませてくれるように思えた。


つづく

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