第4話「お願い」

魔術が使えないと聞かされていたが…目の前には明らかに魔術を使っているミリアティちゃん


「ミリア…それは…一体…」


ヨーファンスさんも明らかに動揺しながら質問する。


「えっと…今起きて、どうして倒れたのか思い出したの…そういえばさっき魔術が使えたから…もう1回出来るかなって」

「使えたのか…」

「うん…」


自分したことが信じられないのか、手元にはk利を見つめる、ミリアティちゃん


「本当にできたの?」

「ん?…そうじゃな」

「……や」


彼女は体をフルフルと体を震わせる

『や?』

「やっったーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


勢いのある声で力の限り、彼女は喜ぶ。

飛び跳ねながら喜ぶ姿は年相応の子供だ。

そう思っているとすごい勢いでミリアティちゃんは俺に詰め寄る


「ありがとうございます!! 魔導書さん!!」

『俺?…俺は何も』

「ううん! 魔導書さんのおかげで魔法を使えるようになったの!!」


喜んでもらえるのは嬉しいが何もしてないからな…俺はどうしていいのかわからず反応に困る。


「ひょっとして、あなたはすごい魔導書なのでは!?」

『え…自分ではよくわからないけど…他とは違うかな?』


だってしゃべるし


「すごい…あの!! お願いがあります!!」

「は、はい、何?」


「私に魔術を教えてください!!」


『……………え』


突然のお願いに俺は固まった。


『い、いやいや!! 俺が教えられることなんて何もないよ!?』

「そんなことはない!! 私は魔術が使えるようになったよ!?」

『いや…でも…』

「お願いします!! 魔導書さん!!」


突然の事が休むことなく襲い掛かって、おれは混乱状態から解けずにいる、この子の勘違いなんだよな…と言うか! いろんなこと一気にありすぎ!!

もう本当に訳が分からないよ!!


「あの…本当に…ダメ?」

『う……』


うるんだ瞳でおねだりされて、俺は揺らぐ…色んな事が起こりすぎて、いっぱいいっぱいになっていた俺は


『わかったわかった!! 教えるから泣くのヤメテ!!』

「ほんと!! やったーーーーーーー!!」


先程の喜びよりも強い喜びを見せるミリアティちゃん、だが彼女は体がいきなり揺らいで不安定な動きになる。

ヨーファンスさんは横からミリアティちゃんを支える。


「まだ起きたばっかりで体調が戻っておらんじゃろう、今日は帰ってゆっくりと休みなさい」

「あ、はい…えへへわかりました!! おじいちゃん」

「じゃあわしは心配じゃから送ってくるぞ」

『あ、ああ分かったよ』


ヨーファンスさんは俺に向かって話すと途端に険しい怒りの表情をむけてくる…こわ!!!


「ミリアの笑顔を独り占めにしよって…ネタマシイ…」

『ひぃ!!』

「お前さんはわしの作った魔導書じゃろうに…」

『さ、さっきまでそんな性格じゃあなかったよな!? もっと理知的な性格だったじゃん!!』

「あとで覚悟しておけ…さて、送るぞミリア」


ヨーファンスさんは急に声音をかえってミリアティちゃんに振り返る。


「? うんわかった、魔導書さんまたね!」

『あああああ、待って!!ヨーファンス殿⁉冗談ダヨネ⁉ 嘘だと言ってよ!? ヨーファンス様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』


そのまま二人は去っていき、俺の叫びが響いていくのだった。


◇◆◇◆◇

皆さんお元気ですか?


俺は今…処刑台に上った気分になっています…答えは簡単です。

目の前に地獄の処刑人がいるからです。


『あ、あの~命だけは勘弁願えないでしょうか…』

「………」


一言もしゃべってくれないヨーファンスさん

俺の罪状は何なのだろう?

孫の独り占め罪になるのかな? ハハハハハ


『何卒許していただけないでしょうか!!』

「む……なんのことじゃ…」

『え…怒っていたんじゃ…』

「ああ…嫌、別のことを考えておってな」

『俺とミリアティちゃんとのことで嫉妬していたのでは…』

「それとこれとは話が別じゃ」

『別なんだな…』


それはそれで怖いっす…


「それよりも今はミリアの魔術の事じゃ」

『そうだ…どうして魔術が使えたんだ? 使えないはずじゃ…』


ヨーファンスさんは目をつむって考える、うなっていることから答えが出ていないんだろうか?


「…おそらくじゃがこれが魔術の影響なんじゃろうな」

『さっきのって…黒魔術の?』

「そうじゃ…運命が変わって魔術が使えるようになった…と考える」

『そんなに簡単に解決できる問題だったのか…?』

「他に説明できることがない…黒魔術を使えるものは多いわけではないからのう…」

『多くないって、何人くらい?』

「わしが知っている限りでは一人じゃの」

『少な!!』


それじゃあ研究がないから治せるなんて確証はなんてないよな…

…と考えているとあることを俺は思いだす。


『そうだ…あの子に魔術を教えるって…言っちゃったんだった…』

「そうじゃのう…どうするんじゃ」

『どうしよう……あのヨーファンス様』

「なんじゃ」

『魔術を教えてください!!』


俺は土下座をする勢いで頼む、体はないけど…

そして呆れた顔でこちらを見てくるヨーファンスさん…だろうとは思っていたよ!!


「お前さんな…まあいいわい」

『そこをなんと………いいのか!? ありがとう!!』


案外あっさりと承諾されて俺は驚く。


「ミリアには魔術を覚えていってほしいしの…それにお前さんが教えた方が上手くいきそうなのもあるしの…」


何が上手くいくのかわからなかったので、質問を俺がする前にヨーファンスさんが話す。


「……代わりに爺さんの独り言を聞いてくれんか」

『…?』

「ミリアは何があっても魔術をあきらめん子じゃ…周りの者や家族にうまくいってなくともな…希望をあきらめずに儂にすがってきていたんじゃ…儂もどうにかしたかった…いや…しなかったんじゃ…たとえ運命を変えることができても結果を変える事は出来ん…」


ヨーファンスさん……


「じゃからのう…もし変えられる機会があるなら…儂はあの子を助けてやりたい気持ちはある……だから助けてくれんかのう…」

『……ああ!! 俺もミリアティちゃんを助けたい!! 何でもしてあげたい!! だから…』


『よろしくお願いします!! 師匠!!』


俺も彼女を助けるために全力を尽くそう……そのための誓いのために

俺はヨーファンスさんに…いや師匠に教えをもらう!!


「ありがとうの」


師匠は憑き物が落ちたように安堵して、笑顔を見せる。


「さて…これからお前さんには頑張ってもらうためにもしっかり教えんとなぁ」

『ああ よろしく頼む!!』

「ああ…さっきの恨みもあるしのう…多少厳しくとも教えていかんとならんなぁ」

『………え』

なんかシリアスの展開が一気に変わった気がする。


「なんせこのわしの知識を総動員して、教え込むんじゃ…多少難しくとも覚えてもらわんとなぁ」

『……あ…わたくし…ちょっとおなかが痛く…』

「お前さん魔道書じゃろう…関係ないわい」

『ど、どうかお手柔らかにぃぃぃぃぃ!!』


こうして、じんs…魔導書生が幕を開けたのである…

幸先は…正直わかりませんが…


……何とか頑張っていけたらいいなぁ!!


___________

どうもです~九太郎です~


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