第2話「少女と魔術」

「おじいちゃん? 誰かいるの?」


少しオドオドしながら入ってくる金髪の少女


「ミリアか、よくきたのう、ふむ少し…立て込んでいてのう」

『ヨーファンスさん? その子は』


俺がしゃべると少女は驚きながらあたりを見回す


「えっ!! どこから声が!?」

「お前さん…いきなり声を掛けたら驚くじゃろう」

『あっ……』


確かに先程のヨーファンスさんと同じような反応になっているミリアと呼ばれた女の子


「わしの孫、ミリアティじゃ」

『へーこっちだよ、こっち―』

「こっち…? でも…そこには何もないですよ?」

『えっと…ま…そこに本がない?』

「へっ? うん…」

『それ、俺』

『えっ』


しばらく俺を見つめて、目をぱちぱちしていると次の瞬間。


「え~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!」


少女は強く驚く…まぁそりゃそうだよな…

ミリアティちゃんは状況を理解したのか、ヨーファンスさん御後ろに隠れて、怯えながら俺を見つめる。


まるで幽霊扱い…いや化け物扱いかな? はっはっは……泣きそう…


『怪しいものじゃないから大丈夫だよ!?』

「いや…本いきなりしゃべりかかってきたら誰でも怖いじゃろう」

「それもそうですね!!」


現実を再確認してさらにへこむ俺…こんなんばっかだな!!


「おじいちゃん…その魔導書…しゃべるの?」


うん?…魔導書?


「ああ、そうじゃ」

「こわくないの?」

「うん…まぁ害はないじゃろう」


俺は気になった単語出てきたので質問してみる。


『俺って魔導書なの?』

「ふむ…そこも説明せんといかんか…」


ヨーファンスさんは顎に手を添えて考える…その間にミリアティちゃんが話しかけてくる。


「あの…その…魔導書さん」

『魔導書さんって…俺の事?』

「はい…あの!! 魔導書さんで私も魔術が使えるようになりますか?」

「え…いやーどうだろう?」


むしろこの状況について質問したいことが多いんだけど…


「あの…さわってみてもいいですか」


先程まで怯えていたのに、わからないもの怖さよりも興味本位が勝ったのか、少し目を輝かせながら彼女は聞いてくる。

怖がらせてしまったみたいだし、ここで怖くないアピールしないといけないな


『いいよ』

「ほんと!? じゃあ」

「むっ? おいちょっとま…」


ヨーファンスさんが止めるがそれよりも彼女が俺を触る。

すると……


『え』

「きゃっ!!」

「なんじゃと!?」


突然の光で俺とミリアティちゃんの手が輝きだす、そして呪文のようなものが頭に浮かんできた。

俺は疑問を持つ前に勝手にその呪文を発していた。


【黒よ…運命の流転…定めの法則を…理を…真実を…換えよ】


そしてその呪文をしゃべると彼女の手の輝きより強くなる。


「え…どうして…?」

「そんな…馬鹿な…!! その呪文は…!!」


状況を理解できないのかミリアティちゃんは動けずにいた、ヨーファンスさんは俺の呪文を知っているみたいでそれにおどろいているようだ。


彼女の手の光はどんどん強くなっていき、やがて黒い光へと変わっていくと…

ミリアティの体を包み込んでいった。


「えっ?えっ!?」

「!! いかん!!」


ヨーファンスさんは慌ててたてかけててあった杖を取り出して、目閉じて集中をしていた。


【黒よ…運命の流転…定めの法則を…理を…真実を…換えよ】


ヨーファンスさんが先ほどの俺が言った同じ呪文を唱えると、ヨーファンスさんの手が光って同じ黒い光が発しだす。

そしてミリアティちゃんの手に触れる。

するとミリアティちゃんの黒い光は消えていって、その分ヨーファンスさん黒い光が強くなっていった。


「むっ…むぅぅぅぅぅ」


ヨーファンスさんは集中して、徐々に光は勢いがなくなっていった、そして落ち着いていくと光が完全消える。


「ふぅーーーー」


ヨーファンスさんは安堵の声を出す。


「おじい…ちゃん…わた…し」


次の瞬間、ミリアティが意識を失い倒れる


「ミリア!!」

『ミリアティちゃん!!』


ヨーファンスさんは慌ててミリアティちゃんを受け止める、そして手やおでこ等さわって確認をしていく


『だ、大丈夫なのか?』

「…おそらく魔力切れじゃ…ひとまずベッドに寝かせておけば大丈夫じゃろう…」


そういってヨーファンスさんは奥の部屋へとミリアティちゃんを運んでいく。


いったい…何が…訳の分からないことだらけだ…

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

奥の部屋から戻ってきた時に、俺とヨーファンスさんは話し合っていた。


『ヨーファンスさん…あの光は…?』

「…おそらくは…いや」

(あの呪文はおそらくこやつは……)


「……お前さんが気にすることはないじゃろう」

『いや…気になるだろ…』

「それよりもじゃ、お前さんの唱えたあの呪文どこで覚えた?」

『どこでって…頭の中で浮かんだことをそのまま…』

「やはりか…」


やはり…ってことはヨーファンスさんは何かわかっているのだろうか…だが完全な答えが出ていないのか考えている様子が見られる。


「なぁヨーファンスさん」

「なんじゃ」

『正直、わけわからないことだらけなんだ、何から考えていいかわからない、だから教えてくれよ。魔術の事やこの世界でのことを。』

「……」

『頼むよ、このままじゃあの子ことが心配で気になるし…さっきの俺の使った魔術はなんなんだ…教えてくれ』

「…そうじゃな…しかし何から話せばよいか…」

『この世界って何て名前なんだ? あと特徴も』

「この世界はファーリアと呼ばれている…特徴と言ったら…魔術主義の考えになるのかのう…」

『魔術主義?』

「魔術がないと生きていけない…まぁ少なからずとも、日々の生活は魔術で支えれておる、じゃから魔術を覚えようという世界じゃな」


なるほど確かに魔術主義だな…


「そしてお前さんの使った魔術じゃがな…」

『あれはいったいどんな魔術なんだ?』

「あれは一言で言うなれば”変える力”を持った魔術じゃ」

『変える…力?』


ピンと理解ができなかった、変える力? 何を?


「…魔術にはいくつもの区分がある…基礎魔術、4大魔術、創造魔術この三つ…そしてお前さんの使ったのはこの中で最上位となる創造魔術じゃ」

『最上位の…魔術!?』


「そう……そしてお前さんの使ったのは黒の魔術、別名……」



「運命を司る魔術じゃ」


___________

どうもです~九太郎です~


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