贄の手を取る序曲(オーヴァーチュア)
急な発砲に、信者の一人が
対する
「…………
ガガガガガガガ!!
「ギャアアアアア!!」
見た目は普通の自動式拳銃だが、その性能はマシンガンに近い。相当の
マガジン1つ分を打ち切り、
単純に、速さ・威力・正確さ……全てにおいて
(おそらく、奴は最初はちゃんとカモフラージュに引っ掛かった。そして愚直に全員葬ってきたのだろう。今頃別動隊は、あの水たまりに……)
信者の手が僅かに汗ばむ。鋼のごとき不動の心は教えの下で磨き抜かれたはずだった。しかし理性は圧倒的な戦力差を理解してしまっている。もう助からないが、祈りをささげる暇はない。なら合理的に考えなければ……その思考の下、信者が
「……っ、
信者が言い終わる前に、その口が
ガガガガガガガ……
人肉越しの機関銃の弾は幾分スピードを落としており、
ふいに、銃撃をやめて
「……所詮
「フン、同胞の血で私を
「広義の同類に言われたくはない」
目線をそらさずに、
連射力を犠牲にして威力を重視したその弾丸は、
「子供騙しも大概にしろ……
「――――――――!!!」
その様子に、金切り声が笑いを零す。それなりの音量の高音に僅かに口元を歪めるも、
『
「わかっている」
今度こそ一撃を当てるため、
カキン、という装填音と共に、紅い拳銃が炎を
手首近くまで
変形してちょうど逆手持ちの双剣のようになった得物を構え、あと数歩で攻撃範囲に到達する
「……さあ食事だ、
咆哮と共に、爪が大振りで振り下ろされる。その爪と爪の間を赤い刃がすり抜け、
ぐらり、と白磁の巨体が背中から倒れる。
「……そのまま喰われろ」
2本の燃える刃が花園を
そのまま広間を後にしようとした
『待て待て待て。お前なんか忘れてないか?物事覚える気あんのか?まだ終わっちゃいねえんだよ、最後に種が残っているだろうが!』
金切り声に怒鳴られてようやく、
ブラウンヘアーをボブに切りそろえているが、毛先はあまり手入れをしていないのかところどころ跳ねている。多少はおしゃれを意識してギャザーが入っているが、シンプルなチュニックに動きやすいスラックス、足元は低めのパンプスを履いている。……つまるところ、どこにでもいるごく普通の女性であった。
しげしげと眺めた後、
「…………」
『さあ、どうする?種にはなっちまってるなあ?』
「……捕獲する」
『そうそうさっさと……あ?今テメーなんつった?』
不満げな金切声をよそに、
「捕獲する。種になった以上、奴らにとってもこの女は資材だ」
『ほう……資材、ねえ?』
「幹部を撃破したことで降臨先の補充があちらも必要になる。待ち構えるのが効率がいいと判断した。これは契約違反ではない」
契約。その言葉を持ち出されて、金切り声は言葉を続けない。無言を肯定と判断して、
『……へえ?そんな判断するようになったのかよ
急に妙な提案をしてきた
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