EX.「アンタが羨ましいぜ」

ルメス:「おい見ろ、奈落の核だぜ。あれをぶっ壊せば列車も元に戻るはずだ」

キルシュ:「戻りましょうか。私たちができるのはここまでそうです」

ディレウス:「だな。ってことでさんざん苦労させてくれたな奈落どもよ!飛べなくなったじゃねえかどうしてくれんだ!?」


パーティーが奈落の核を壊す直前。

アレクサンドラは奈落の核は見えていないようでしたが……

イリーチナに聞こえないような場所に移動し。


アレクサンドラ:「……パーチア」とすこしバツが悪そうにパーチアを呼ぶ

パーチア:「あぁ、どうした?」

アレクサンドラ:「はるか昔、私はここで必死に戦い、イリーチナ様をお守りしようとしたが間に合わず、イリーチナ様も重傷を負ったのは話したな」

アレクサンドラ:「今回は間に合ったが、それでもあの時の光景は忘れられん」

パーチア:「確かに、これが間に合わなかったらどうなってたかなんて考えたくもねえな。それに歴史は変わってないかもしれない」

アレクサンドラ:「ああ。……今回は間に合った。それを見て、ふとパーチアが羨ましくなったんだ」

パーチア:「アタシが?そいつは嬉しいことで」


少し楽しそうに話すパーチアと違って、アレクサンドラはひどく落ち込んでいる様子です。


アレクサンドラ:「私は神官戦士でも槍使いだ。イリーチナ様に害する者はこの槍で一突きに、とひたすら訓練に励んだ」

アレクサンドラ:「だが、本当にイリーチナ様をお守りしたかったのなら、持つべきは槍じゃなくて盾だったんじゃないかと、思ったんだ」

パーチア:「ああ、そういうことか」

アレクサンドラ:「あの時パーチアが一緒にいてくれたら。いや、せめて私もパーチアのようにひたすら誰かを護るような守護者になっていれば、イリーチナ様をお救いできたのかもしれないと、後悔しているんだ」

アレクサンドラ:「過ぎたことを後悔してもどうにもならないのは分かっているがな……」


パーチア:それを聞いて、メイスを取り出し、アレクサンドラの前で左右に振る。まるでメイスはダメだ、と言わんばかりに。

パーチア:「奇遇だよな。アタシはアレクサンドラが羨ましいと思ってたんだぜ」

アレクサンドラ:「……私が?」と驚いた様子

パーチア:「だってさ、ディフェンスだけじゃ勝てねーだろ。しかもこんなのまであるし。本当に、魔神ってのは厄介だよ」と、緑色の粘液でべとべとになったラウンドシールドを見せる


ヌズマルの"緑血の呪い"やモヴキラの"生気を吸い取る"などの技は物理ダメージではなく、防護点で防げません。

パーチアにとっても痛いダメージだったようです。


パーチア:「魔神に限った話じゃねーけど、やっぱり勝つには攻撃っているんだよ、その点アタシは本当にダメでさ。キルシュとかディレウスに任せっきりな訳」

パーチア:「その点、アレクサンドラの槍捌き、アタシも欲しかったぜ」

アレクサンドラ:「そう……なのか……」

パーチア:「っていうかイリーチナは『アレクサンドラが盾使いだったらよかったのに』とかいう奴じゃねえのアタシでも分かるっつーの!」

アレクサンドラ:「そうか……そうだな……私は間違ってなかったんだな」すこしだけ声が涙声になる

パーチア:「なんだよ、泣いてるのか?らしくねえぞ、イリーチナには見られんなよ」

アレクサンドラ:「な、泣いてなんかない!ほら、仲間が待ってるぞ!」

パーチア:「はいはい、じゃあな、また会うこともあるだろうし!」


ディレウスがエストックで奈落の核を叩くと。

景色にヒビが入り、崩れ落ちていきます。


パーチア:崩れ落ちる景色の中、イリーチナとアレクサンドラをずっと見つめて

パーチア:「(ったく、世話の焼ける同胞だぜ。クヨクヨすんなよ、"サーシャ")」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る