5話

スミアは怪我こそしていましたが、命に別状はなさそうです。

兵士たちも軽い傷を何人か負ったものの、命を落としたものはいませんでした。


兵士:「同じく、軽傷であります、隊長!」

スミア:「助かったよ、ザイ、ありがとう。冒険者たちも救援に感謝する」

ザイ:「俺だけでは助けられなかった。礼を言わせてくれ」

キルシュ:「結果としては最高と言えるのではないでしょうか。よかったです」

ルメス:「苦労した甲斐はあったんじゃねえか?」

パーチア:「痛い目見たのはアタシだぞ」

ディレウス:「おい、見ろ。奥に何か見える」さらに遺跡の奥を指さす


ディレウスが指さした先には外郭域からの出口が出現し、また新しい景色が見えます。

それを見たアレクサンドラが身構えました。


アレクサンドラ:「……この場所はまさか」

ディレウス:「知ってんのか?」

アレクサンドラ:「ああ。予想が正しければ今度は私の番だな」

ルメス:「ってことは今度はあんたのクエストってわけかい」

パーチア:「乗り掛かった舟ってやつだ、やってやろうぜ」

キルシュ:「では、次はアレクサンドラさんの使命を果たしに行くとしましょうか」

アレクサンドラ:「今度は私が礼を言う番だな」


パーティーは外郭域をクリアし、400の経験点を獲得しました。

さらに中央域、"王都からの脱出"へと進みます。


中央域へと進むと、そこは地下通路でした。

壁には魔晶石で作られた照明が取り付けられています。

非常用に見えますが通路は広く、リルドラケンでも特にペナルティを受けずに行動できそうです。


アレクサンドラ:「やはり。私はこの場所を知っている。かつて私の仕えていたシャルィーキン公爵様の屋敷から王都へ続く地下通路だ。」

キルシュ:天井を見ながら考えつつ「屋敷や城門前からではなく、地下通路からですか……」

ルメス:「そういやスタート位置にしちゃ変だよな?」


パーティーが少しだけ歩くと、そこにはかなり深い傷を負った兵士が倒れていました。

兵士はアレクサンドラを見つけると、最後の力を振り絞って語り掛けます。


兵士:「ア、アレクサンドラ様……!姫様が……魔神に……!」

ルメス:「魔神だって?王様と姫様が襲われてるってことかよ?」

アレクサンドラ:「大丈夫だ、安心しろ。……姫様というのはおそらく公爵令嬢イリーチナ様だ。かつて、私はこの通路を使ってイリーチナ様を護衛していたんだ」

パーチア:「ってことはこれはアレクサンドラの追体験ってことかよ」

アレクサンドラ:「おそらくは。この後私は地下通路の先の部屋で魔神に追いつかれ、必死にイリーチナ様をお守りしたが……」

アレクサンドラ:「一瞬の隙を突かれ、イリーチナ様は重傷を負った」悔しそうに唇を噛みしめる

ディレウス:「つまり、俺たちに姫様の護衛を手伝ってくれということだな?」

パーチア:「なーに、アタシに一瞬でも隙ができると思うか?任せろよ、イリーチナって奴を護衛するのにちょうど適任の奴がいるだろ?」とアレクサンドラに拳を当てる

ルメス:「パーチアは適任すぎるわ」

アレクサンドラ:「……そうだな。力を貸してくれ」

キルシュ:「できるだけのことはやってみましょう。魔神を素早く処理することならお任せください」


やがて、通路を進むと曲がり角に突き当たります。

ただの曲がり角ではなく、正面の壁にはディダンとシーンのレリーフが並んでいました。


キルシュ:「ここにディダンとシーンのレリーフ? ここは聖堂にもなっていたんですか?」

アレクサンドラ:「いや、私の記憶にはない」

アレクサンドラ:「だが、かつて公爵閣下は"困ったときは夜道に紛れると良い"と口癖のように言っていたな。もしかしたら地下通路に何かあったのかもしれない」

ディレウス:「確かにな。隠し通路かなにか、怪しそうだぜ」


ここで見識判定を行います。

目標値は13。

セージを持つキルシュが判定を行い、ちょうど13で成功します。


キルシュ:「シーンは夜をつかさどる神ですね。つまりディダンのレリーフはフェイクでシーンの方に……」とシーンのレリーフをいろいろ触って調べ始める。


すると、キルシュはシーンのレリーフがちょうど外れることに気が付きました。

レリーフを外すと、そこには取っ手がありました。

隠し扉です!


キルシュ:「外れました。隠し通路です!」

キルシュ:「公爵閣下というのは、とても頭の回る方のようですね」と頷く

ルメス:「紛らわしいともいうんだぜ」


そういった時、魔神が曲がり角の奥からのっそり出てきました。

獲物を探しているようです。

隠し扉を見つけなければ戦って突っ切らなければならなかったでしょう。


パーチア:「おい、嫌な予感がするぜ。魔神がこっちに近づいてきてる」

ディレウス:「あとイリーチナって姫様を護衛するのに1回戦うことは確定しているんだ、ここで消耗はしたくねえな。入るぞ!って重いなこれ!」と扉をゆっくり開ける

キルシュ:「魔神に破られる心配はないってことですよ」


追っ手の魔神に追い付かれる前にパーティーは隠し通路に入ります。

扉の内側には閂が備え付けられており、それをかけると、扉越しにガンガンと扉を叩く音が聞こえますが、壊れそうな気配は一向にありません。


ディレウス:「広い隠し通路だな。それでもちょっと屈まないといけねえけど」

ルメス:「種族バリアフリーに配慮してんじゃねえかこの隠し通路」

キルシュ:「グラスランナーとリルドラケンの2人が言うと説得力が違いますね」

アレクサンドラ:「まあ、護衛騎士の中にはリルドラケンもいたからな」


隠し通路を進むと、扉の前にたどり着きます。扉の前では剣戟や複数人の悲鳴が聞こえています。

ある1人の少女らしき悲鳴にアレクサンドラが反応しました。


アレクサンドラ「さっきの悲鳴はイリーチナ様だ!急ぐぞ!」

パーチア:「おう!悪さしてるクソデーモンはどこだ!?」と扉を乱暴に蹴り開ける


扉を開けると、赤髪の少女と数人の護衛兵が魔神たちに追い詰められています。

戦況はかなり劣勢で、赤髪の少女を取り囲むように守るだけでいっぱいいっぱいの様子。


兵士「アレクサンドラ様!?と、そこの方々も……とにかく助けてくれ!」

アレクサンドラ「今助ける!彼らは1分と持ちそうにない。その前に決着をつけてくれ!」

キルシュ:「1分。さて、どうでしょうか」


この戦闘は6ラウンド以内に決着を付けなければなりません。

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