吐
昔から、生きていることに価値が見出せなかった。怒られても同じことを繰り返す自分を何度も何度も周りは許してくれているのに、私はちっとも普通にならない。手首に傷が無いのは、私が臆病だからだ。死にたいわけじゃないし痛いのも好きじゃない。痛みも苦しみもない死に方が手軽にできたら、私はきっととっくのとうに死んでいた。
なくてよかったと、今は思う。けれど、時々まだ考える。こうやって自分の体の弱さと頭やら口やらの回転の悪さを思い知ると、余計に。話すのが下手で、自分が言いたいことが頭の中で渋滞して、全く違う言葉が空回り飛んでくる。だからってそれを修正しようとすれば嘘つきになってしまうし、修正の過程でまたおかしなことを言うかもしれないから、そのまま受け取られてしまう他ない。頭が痛い咳が出ると言いたいはずなのに、それが事実なのに。後ろめたさに喉を詰められて、腹が痛いと宣う。けれどもそうじゃないと言うのも違う。結局ただの腹痛で仕事を休んだ怠け者になってしまった。
普通に生きているとは、到底言い難い。私は多分タチが悪い。大きな病気にはかからないから、なおさら。それはいい事なのだろうけど、小さな傷で騒ぎ立てる怠け者は、本当に。生きる価値がないと言って、差支えはないだろう。
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