スキル習得



とりあえず、暗黒龍に身体の拘束を解いてもらったわけだが、全身骨折と裂傷などの怪我は未だそのままになっている。

このまま放っておけば近いうちに出血多量で死んでしまうのも時間の問題だ。

この問題を解消するには回復魔法をかけるしかないのだが、俺はそれよりも先にとあるスキルの創造を目指す。


そのスキルが創造出来るのなら例え今後怪我や四肢の欠損などを起こしたとしても問題無くなるのだ。


「ステータス」


俺が自分のステータスを確認するための窓を呼ぶと、シュワンと軽快な音をたててやや横長の窓が現れる。

そこにはいくつかの項目が表示されており持ち主の声に反応して項目を選択出来る。


俺は早速【スキル】の項目を選択すると、いきなりファンファーレのような音がパンパカパーンと鳴り響きビクッとする。


「ぐぉぉぉっ!!」


ビクッとしたのがいけなかったのだろう。

俺の全身が悲鳴をあげ堪らず俺も痛みに悶絶する。

少し痛みが和らいだところで改めて窓を見る。


【おめでとう!あなたのスキルは生まれ変わりました!ささやかながら私ステイシアからお祝いのファンファーレをお贈りいたします!】


あんのポンコツがぁぁぁ!!

余計なギミック加えやがってぇぇぇ!!


今度会話するような機会があったらただじゃおかないと心に決め、俺は他にもいらんことが書かれた駄女神のコメントをガン無視し、【創造】を選択する。


すると案内が表示され、こう書かれていた。


「【スキル想像】と【スキル創造】の履歴がリンクされました。これにより【スキル想像】のスキルレベルに応じた創造可能なスキルが【スキル創造】に追加されます。」


【スキル想像】のスキルレベル?


あぁあれか。

この17年間、役立たずだった為に暇があればスキルの想像しまくってたら勝手に上がってたアレか。

スキルレベルとは各スキルに備え付けられているいわゆる熟練度のようなものだ。

このレベルが高ければ高いほど効果が上がるのだ。

例えば身体能力強化というパッシブスキルであれば、LV1とLV10では身体能力の上げ幅がかなり違う。

跳躍した時で比べるとLV1で跳躍した時には2メートル程だった跳躍力がLV10では10メートル程跳び上がるといった具合だ。


ともあれ、履歴がリンクされたということは、今まで俺が【想像】したスキルも【創造】することが出来るということだろう。

改めて【スキル創造】を選択し、目的のスキルを検索する。


あった…


迷わず【習得】を選択すると、こんな表示がされる。


「このスキルを習得するにはスキルポイントを20消費します。よろしいですか?」


そんなものよろしいに決まっている。


選択肢にある「はい」を選ぶと、「スキルを習得しました。スキルポイントを割り振って下さい」という説明がされる。


「最大まで割り振るには…50の要求か…残りのスキルポイントはボーナスがあったからまだ余裕だな。よし、これでOK…っと」


操作が完了するとまた案内が表示される。



『パッシブスキル【再生LV10】を習得しました』




『小僧…何だそれは…?お前の身体が…』


「っっっ!!!!」


暗黒龍が俺の身体の異変を見て何か聞いてきたようだが、俺としてはそれどころではなかった。

スキル【再生】の効果が現れたのだが、俺の身体の破壊された部位が痛覚を刺激しながら肉体の修復を開始する。



「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



考えが甘かった。


メッチャ痛ぇ!!


あまりの激痛に耐え切れなかった俺は、また意識を手放すのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る