第42話 復活
「じゃあ、私頑張ってくる。」
「おう。絶対死ぬんじゃないぞエレナ。」
「分かってる。私よりもウェンディの方が危ないんだけどね。」
「それもそうだな。ウェンディも死ぬんじゃねえぞ。」
「ついでみたいな言い方はやめてくださいまし!発破をかけるのならきちんとやってくださいまし。」
なんかウェンディがキレた。
「絶対死ぬなよ。まだ教えてないことが沢山あるんだから。」
「分かってますわ。それに私にはまだやるべきことが残ってますわ。」
「シルは……、救護の方頼むぞ。」
「なんか私だけアウェー感が…。まあいいや。私はエレナやウェンディみたいに死と隣り合わせってわけでもないしね。」
「そういうカツミは大丈夫なんですの?」
ふっ、案ずるなよウェンディ。
「大丈夫だ。二番隊という名の実質補欠だ。やることない。」
選考担当曰く、速すぎて敵の注意を引けない恐れがあると言われた。
その通り過ぎて返す言葉が浮かばなかった。
というわけで俺は偵察兵及び衛生兵のお手伝いだ。
「なんですって!?カツミが補欠!?誰ですのその選考をしたのは!」
「ウェンディ、そう熱くなるな。強いからといって起用を間違えたら負ける可能性も十二分にあるんだ。
今回俺が外された理由は、学生なのもあるが一番は速すぎる事らしい。」
「カツミがそういうのなら言う事はありませんわ。」
ちなみに、アルザミア学園の生徒以外にも他学園の人たちが何人か来ている。
どいつもこいつも腕に自信がありますよって感じの奴ばかりだ。
そんな感じできょろきょろ周りを見渡していると、一人の男子生徒と肩がぶつかってしまった。
「痛っつ…、ごめん大丈夫?」
「えっと、ごめん僕の不注意で…。怪我は……ひっ!?」
なんだ?俺の顔を見たら急に怯え始めたぞ?
というか、その男の持ってる武器って?
ライフルじゃん。
そんなことはどうでもいいので、取り敢えず怯えて転んでしまった彼に手を伸ばす。
「大丈夫?ほら、掴まって。」
「ひっ!?ごめんなさい許してくださいあの時の僕はおかしかったんです。」
「え?な、なんのこと?」
「本当にあんなことはしたくなかったんです反省もしてるし後悔もしてますだから殺さないでください…。」
凄い勢いで捲し立てているが、俺には言ってることの意味が分からない。
「えっと…、何言ってるか分からないし、まず初対面だよ。君を殺す理由が無いよ。」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……………………………」
「あ、いたいた。ハルド何してるの……………え?ハルド?」
俺が男――――もといハルドの対応に困っていると彼の知り合いと思われる少女が現れる。
しかし、運の悪いことに今の構図は完全に俺が悪者だ。
「あなた、何をしてるんですか!ハルドが何をしたっていうの!」
「いや、何もしてないし、何もされてないんだけど…。」
「そんなわけないじゃない!何もしてないのに人がこんなに怯えるわけがないでしょう!」
「いや、そうだけど、知らない物は知らないよ。」
分かってはいたが凄い剣幕だな。
「ルナ、やめるんだ。その人を怒らしちゃいけないよ。」
「でも、ハルドがこんなに怯えてるのに…。」
「ルナ!」
「っ…。ハルド…。」
「お願いだ…。君に死んでほしくないんだ…。」
この展開にはさすがについていけないな…。
「えっと…、話は逸れたけど俺はお前を殺さないよ。理由がないし。」
「本当ですか?」
「本当だからさっさと自分の担当に行けよ。」
「ありがとうございます…。」
そう言うと、ハルドは本討伐隊の魔術師団の方に駆けて行った。
まあ、あいつの武器が本当にライフルなら魔術師と似たような動きになるのか。
正直、あいつの言動に気になることは山ほどあったが、今はそれどころじゃないので俺も持ち場に戻る。
「あ、克己だ。どこ行ってたの?」
「周りを少し見て回ってた。牛鬼がどのくらい強いか分からないし、正直俺は聖剣をマモンが使う時点で信用してないから兵力が心配だからね。」
「見て何か変わるの?」
「いや…特に…。」
「じゃあ、克己もこっちに来て。もうすぐ牛鬼が動き始めるらしいから。」
「分かった…。」
シルの発言にちょっとダメージを受けてしまった…。
そういうわけで、俺たちは牛鬼が休眠しているのがうかがえる城の砦に来た。
ここからでもはっきりと見える
お、騎士団と魔術師団、そして攪乱兵団も構え始めた。
そして、大きな地鳴りを上げて牛鬼が現代に復活した。
復活の瞬間、牛鬼から白い煙が噴き出して、俺たちの視界を遮る。
煙が無くなって、俺たちの目の前に現れたのは
「クラ〇ス要塞…。」「デスト〇イヤー…。」
そう、まるで某帝国の地球攻撃兵団の拠点となる紛らわしい名前の旗艦のようだ。
ん?今、シルはなんて言った?
たしか、デス何とかって…。
「「あ!?」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます