第37話 決着
なんとなくだが、マモンのスキルについて分かったことがある。
奴がいくつスキルを持っているかは分からないが、予知のスキルを持っている。
先ほどの「俺の目から逃れられない」という発言から、おそらく俺の様に特殊な目を持っている。
そして、その目の発動条件は、相手の目を見ることだ。
根拠は二つ。
一つ目は、奴が俺から不自然な程に、執拗に目を合わせていたこと。
二つ目は、最後に言った「なんで目を瞑るんだよ」という発言。
種が分かったなら、対処できる。
目を瞑るか背を向けるにしろ、気配を察知するなりして叩くしかないけどな。
そもそも、俺に気配察知なんてスキル無いんだけど…。もしかして詰んでる?
ちなみに、俺はまだ目を閉じているから、周りの状況が分からない。
「てめえ、いつまで目を閉じてやがる!さっさとかかって来いよ!」
そう言って、こちらに駆けて剣を振り下ろすマモンの姿がなんとなく見える。
俺は、余裕で剣を受け止めて、流す。
「な!?」
あれ?なんで俺受け流せたんだ?
俺って目を瞑ってるよな?いや、見えるってよりも感じるって感覚か?
なんて言うんだろう。至る所にゆらゆら揺れる物があって、なんとなくそれが人だっていうのが分かるっていうか…。
簡単に言うなら、闘技場にGPSのマークがある感じ?
一応自分にもそのマークがあるみたいだし。本当にGPSみたいだ。
自分でもよくわからん。
でも、使えるならいいか。
「死ねやあ!」
俺はそう言って斬りつけてくるマモンの剣を受け止めて鍔迫り合いに持ち込む。
「殺す以外は何でもありだけど、殺すのは駄目じゃないのか?」
「うるせえ!俺はいいんだよ!」
oh…。いっつあ自己中。
これはさすがに引くぜ。
「だっせえ…。しかも、つまんねえよ。」
「なんだと!?」
「これなら、あいつの方が良かったよ。」
俺はカイノルークとの戦いを思い出す。
自分がこれ以上悪行を重ねないうちに殺してくれと頼んできたやつ。
それに比べてなんだこいつは?
大それた決意もない。自分がしていることの重さを理解していない。そんな奴に負ける気はない。
「なめんじゃねえぞ!」
俺はGPSのマーク―――もとい、俺に見えている、俺の力を、全身にではなく、剣だけに集中させる。
うわっ!なんか滅茶苦茶重くなった。
俺は、すぐに剣への負荷を減らし、少しだけ力を腕に通す。
「うわっ!」
すると、あまりにも軽々しく後方に飛んでいく。
「なんとなく、これの使い方が分かってきたな。」
このGPSのマークは、人の力そのものだ。
それを変形、移動させることで普段以上の力を技に込めれる。
俺が、新しく見つけた力の形に感動していると、マモンが立ち上がる。
「クソっ…、俺が負けるわけ無いんだ。今なら奴は目を閉じてる。後ろから斬りつければ…。」
しかし、その動きを俺はいち早く察知する。
同時にやってみたいことが頭に浮かぶ。
やっべえ、めっちゃやりてえ。
俺は、力を左足に少し、残りの全てを右足に集中させる。
「くたばれえええ!」
そうこうしている内に、マモンは後ろに回り込んで斬りかかってくる。
そうだ、来い。この技は、自分から当てるんじゃない、相手からやられに来るんだ。
俺は、マモンが射程に入った瞬間、掛け声を放つ。
「ライ〇ーキック」
『Ri〇er Kick』
そんな電子音声が脳内で再生されるのを感じつつ、マモンに回し蹴りの要領で振り向き、思いっきりハイキックを放つ。
「がはっ…。」
俺の蹴りは、見事にマモンの左頬にクリーンヒットし、闘技場の壁にたたきつけられる。
審判が様子を確認すると、マモンは完全に気絶していた。
「マモン気絶!よって勝者、カツミ!」
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