第4話 俺が神に託した日
「じゃあ最後に転生するにあたっての注意事項の確認。ならびに転生の特典についての説明を始めよう。」
「まだ続くんだ。」
「当たり前だろう。対邪神のために送った存在がすぐに死にましたじゃ目も当てられない。」
確かにそうだ。だけど、
「特典って何?」
俺は今一番の疑問をぶつける。
「ラノベとかでよくあるだろチートスキルとかユニークスキルとか。」
「ごめん。ラノベなんて華怜の勧めで読んだラブコメくらいだわ。」
「なんかすまない。」
なぜか申し訳なさそうに謝るオーディン。
いや別にいいし。何なら漫才じみたことはやってないでさっさと説明してほしい。
話の腰を折ったのは俺だけどさあ。
「特典というのは君に与える目とスキルについてだ。」
「目?」
スキルはまだ分かる。ただ、目となるとよく分からない。もしかしてゲームとかである魔眼?
「魔眼とはまた違うものだが説明が難しいので割愛する。君に与える目は
なるほど、クロッ〇アップみたいなものか。
「ただ、この眼に完全に依存するのは避けてほしい。」
「なんでだ?それだけ強いものならどんどん使うべきじゃないのか?」
「この眼は両方の目が存在して使用できるものだ。戦闘中に片目を失うことが無いとは言い切れない。そのために自力でも戦えるようにはしておけ。」
目を失うほどの激しい戦闘があるのか。かなり怖いな。
俺はとりあえず納得したように頷く。
「そして私が渡すスキル獄門術についてだが、これは極力使わず切り札として使ってくれ。使うにしても回復術師、再生術師、蘇生術師をそばに置いて使ってほしい。」
「なんでそんなに制限が付くんだ?いや、後半の言葉で察しはつくけど。」
俺はかなり不安になるも、おそらく知らなきゃいけないので質問する。
「獄門術を行使した場合様々な代償が付く。1から10のと等級に合わせて数字とともに代償は大きくなる。たとえ1といえど腕が壊死するレベルではあるだろうな。使うのならさっき言った術者のスキルで治すといい。」
「なんでそんなに危険かつ使い勝手の悪いものを渡すの?もうちょっとまからない?」
なんでこう。危ないスキルを渡してくるんだろうか。もっと聖剣なんちゃらとか渡してくれた方がいいのに。
こんな話を聞いてるうちに少しずつ俺は冷静さを欠いていく。
当たり前だ。自分の命がかかってる。なりふり構ってられない。
「それができるんだったらそうしてる。本来我々神が渡すスキルは人間には扱えないようなものばかりだ。それを行使する。身に余るスキルを使うことは本来死を意味するもの。人間に扱えるように何とかしたといえ獄門術も第10獄門を使ったら文字通り死ぬ。」
「でもそんなもの戦闘に不向きじゃないか。相手は倒せるけど自分も倒れる。相手が一人ならいいけど複数の時なんか、」
「それを含めて
自信を持って言うオーディンに少し気圧されるも少し冷静になって考える。
確かにジョーカーはゲームによって切り札にも悪魔にもなりうる。
その二面性を背負うことはきついが戦うには重要な戦力になる。
「だからと言ってどや顔でジョーカーは無いだろ。俺が理解できなかったらどうすんだよ。」
そんな俺の辛辣な言葉にもオーディンは笑いながら、
「確かにそうだが、事実お前は理解している。仮定の話は正直どうでもいい。まあそろそろこの話も長くなってきたな。小説3話分か。」
「何言ってんだ?」
「気にするな。こっちの話だ。
じゃあ、これから転生の作業に入る。
そして最後に転生者であることをあまり無作為に喋るなよ。信用できる人ならまだしも国にばれたら殺されるからな。」
「わかった。殺したやつが何言ってんだとは思うけど。殺されたくはねーや。」
「もう一つ、転生後誰でも良い。剣を教われ。自力はそれでカバーするんだ。」
こいつ最後の最後で大事なことを言いやがった。もうちょっと早く言ってほしい。
まあいいか。教えてくれただけマシか。
「わかった。
じゃあ俺もあんたにいいか?」
「なんだ?」
オーディンが頭にクエスチョンマークが浮かんでいるような顔をしているが構わずに。
「俺さあんなことがあって自分の状況に甘えて幼馴染に向き合わなかったことを凄い後悔してる。そんな俺にあんたはチャンスをくれた。このどうしようもない状況に。だからさ、あんたが言ってること、あんたが神だってこと、華怜に会えるってこと、西島に非が無いかもしれないこと、全部信じてあんたに託すよ。戦神オーディン。」
最大限の感謝とこれ以上ない笑顔をあいつに見せてやった。
するとオーディンは笑いながら、
「託されたなら仕方無い。最大限協力しよう。そして、呉島克己。君のその笑顔をもう一度見られることを願ってる。」
そう言うと少しずつ俺の意識が暗転する。
「言い忘れてたが君には4年の猶予を与える。要はあちらの世界で
そういう大事なことは言い忘れんなや。
だけど、そんなことを言い返すほどの気力は俺にもう残ってなかった。
「頑張れよ。」
最後にそんな言葉が聞こえた気がしたが、すぐに俺の意識は途切れた。
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