第四章

1 同僚と乾杯

セレーネがエマの屋敷から去った翌日、エマとウィル、ジュードの三人はシェアハウスに戻ってきて、シェアハウスの三人と酒を酌み交わしていた。


「お疲れ、エマ、ジュード!」

「「お疲れ」」

「数日も帰らせてもらって……ありがとうございます」

「いいのよ、無事に終わって良かったわ」

「報告からだとかなりわがままそうな貴族のお嬢様って感じだったな」


ロンの言葉にジュードが反応した。


「そうなんですよ、ものすごくわがままでエマ様と仲良くなっていました」

「ジュード、あなた今回なにもしていなかったわよ」


エマは呆れた顔でジュードを見る。


「いえ、ベンジャミンさんと女性について語っていましたよ」

「……何よ、それ」


ロンは笑いながらジュードの肩に腕を回し、反対の手で持ってい酒の入ったコップをジュードの持っているコップにコツンと当てた。


「あとで俺とも女について語ろうぜ」

「語るほど経験ないじゃない」

「うるせーな。シーナが知らないだけで俺だっていろいろあんだよ」

「ふふ……マートンさんには明日話をするのですが、実はセレーネが去るときに、知り合った女性の幽霊にね、探偵事務所を紹介したらしいの」

「客を紹介してくれるなんて良いお嬢様ね」

「ただ……その女性ですが、殺されたようなんです」

「……え、殺されたって」

「詳しくは知らないんですけど……」

「でも殺されたってことは俺たち探偵じゃなくて自警団だろ」

「ばっかね、自警団が霊の話聞けるわけなじゃない。殺されたっていってここにいるってことはきっと未解決か自殺、事故で処理されたのね」

「まあ、なんにせよ、その女の霊が来てからだな」

「そうね」


エマはスッと立ち上がり、ワインとグラスを持って部屋へ戻ろうとした。


「エマ様、酒持ってどこ行くんですか?」

「明日も早いし、部屋で少し飲んでから寝るわね。お先に。おやすみなさい」

「「おやすみ~」」


エマが部屋に戻ったのはPM10:00を過ぎた頃。

ソファーにはウィルが座っていた。


「ウィル……あなた本当に人の姿に戻る時間が早くなって来ているわね」

「あぁ、エマ。そうだな、早くなってきたな」

「はい、これ。ウィルも飲みたいんじゃないかと思って持ってきたの」

「助かる!飲みたかったんだよ、ありがとう」


ウィルはエマからワインを受け取りグラスに注いで一口飲んだ。


「エマは飲まないのか?」

「私はさっきまで下で飲んでだから」

「ふーん……一人でもなんだし、エマも飲みなよ」


ウィルはグラスをエマに渡した。


「……じゃあ、いただくわ」


ウィルはにかっと笑い、ワインボトルを持ち、エマに乾杯と言ってボトルのまま飲んだ。


「ふふ、あなたと飲むの、初めてね」


酒が入りほんのり顔を赤くしたエマの笑った顔を見て、ウィルはまだ酔ってもいないのに顔を赤く染めていく。


その後1時間ほど二人は雑談しながら楽しく飲んだ。

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