10 ルイーズへ相談2
「それでね、戻ってもセレーネとベンジャミンさんの仲を認めてくれるわけではなく、他の人と結婚させられるから、それならベンジャミンさんに姿は見えないけれどそばにいれる方が良いと言って戻りたくないって言っているんです。それで、姿が見える私にセレーネのお父様を説得してほしいと頼んできたんですよ……自分勝手な頼みですけど」
(だから言い方!)
「そう……ふふ、セレーネさんてなかなか大胆なことをするわね。イネスは穏やかな方なのに……それで?私に話したということは何か私にしてほしいことがあるってことね?」
「それを相談しようと思って……」
───コンコン
「失礼します」
ココが静かに部屋に入ってきて、ジュードに何かを渡し、部屋を出ていった。
エマはジュードを見たが、ジュードはどうぞ続けてくださいと、手で指し示したので話を続けることにした。
「そうね……エマはどうしたいの?」
「私は……お母様もセレーネのお母様のイネス様と仲良くなりたいと言っていたので、イネス様に話を聞いていただけたらと……」
「うーん……そうね、イネスも塞ぎ混んでいるようで心配だし……ふふ、私が話を聞いてくるわ。面白そうじゃない!」
(エマのお母様って面白いわね)
「……お母様がいて良かったです」
「ふふ、毎日退屈していたのよ。イネスには気分転換しにうちに来てもらいましょう。早速手紙を書いてくるわね」
ルイーズは立ち上がり、部屋を出ていった。
「……奥様って嵐のような方ですね」
デジャブだわ……
「呆気にとられて私からも頼むのを忘れていました……」
(お礼は早めに言った方がいいわよ)
デジャブね……
(ちょっと、エマ!ベンジーにあとでエマのお母様にお礼を言わなきゃだめよと伝えてちょうだい)
「……ベンジャミンさん、あとでお母様にお礼を言わなきゃだめよ、とセレーネが言っています」
「そうですね、すみません。はは、昨日セレーネに言ったことですね」
その後もエマはじっと座っているところをベンジャミンに描いてもらい、予定通り昼前にベンジャミンは描き終えた。
「座っていてもずっと動いていないと疲れるわね……」
エマは立ち上がり両腕を上へ伸ばし軽く伸びをし、ウィルも猫が前脚をぐっと伸ばしてお尻を高く突き上げ、背中を反らして伸びをした。
「エマ様、マートンさんから昨日の返事が届いています」
ジュードがココから受け取った手紙をエマに渡した。
エマはそれを受け取り封を開けて読み始めた。
休暇は楽しんでいるかな。
連絡をくれてありがとう。この件は、二人に任せることにするよ。そちらにいる方が都合が良いだろうから、この件が解決するまでしばらくいると良い。報告はしてね。もし、何か困ったことがあれば遠慮なくすぐに聞くと良い。頑張ってね、幸運を願う。
とそこに書かれていた。
「ジュード……マートンさんはこの件、私達に任せるって」
「そうですか……まあ、俺達と奥様がいれば大丈夫でしょう」
「解決するまでこっちにいていいって。こっちの方が解決しやすいだろうからって」
「それじゃあ、早く解決して戻りましょう」
(ちょっと、なに、この従者。なんか……生意気ね)
「ベンジャミンさん、せっかく急いで描いてもらったのになんかすみません」
「いえ、こちらこそすみませんが、宜しくお願いします」
こうして、エマ達は屋敷に残ることになった。
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