9 ルイーズへ相談1
朝食を食べ着飾ったエマは、ココに、ルイーズにあとで来てほしいと伝えるように頼んでから、昨日の応接室のソファーにウィルを抱えて座っていた。
「では、さっそく続きを描き始めていきますね」
「ええ、宜しくお願いします」
ベンジャミンは描き始め、セレーネは嬉しそうな顔をしてベンジャミンの横に立っている。
「昨日の夜、セレーネがいらしたんですよ。ベンジャミンさんが明日にでもお礼をと言ったようですが夜遅くに」
「昨日の夜にですか?……すみません、セレーネは思い立ったらすぐ行動してしまう性格なので……あの、セレーネと呼んでいらっしゃるんですか?」
「そうなんですよ、お友達になったんです!ふふ、明け方までセレーネと話したんですよ。お陰で寝不足です」
(ちょっと、私だけのせいじゃないからね)
「そうですか、友達に……それはよかった。セレーネはとても素直で可愛い子なんですが、はっきり言ってしまうため友達がいなかったんですよ。明け方までなんて、昨日はよっぽど楽しかったんでしょうね。セレーネに友達ができて私も嬉しいです。ありがとうございます」
───コンコン
「失礼するわね」
そこへルイーズが部屋に入ってきた。
「順調に進んでいるかしら?」
「はい、奥様。このままいけば昼前には終わりそうです」
「そう、良かったわ。それで、エマ。私に話って何かしら?」
ルイーズは邪魔にならないよう、エマ達と離れたソファーに座った。
「話す時間がなくてこちらに来てもらってごめんなさい。……お母様、イネス・シャノワーヌ様の娘、セレーネが意識をなくして寝たきりになっていることは知っていますか?」
「え………ええ。でも何でそのことをエマが知っているの?イネスはご主人が表沙汰にしてないからこっそり教えてくれたのよ。私、エマに伝えたかしら?」
「いえ……その、セレーネがいるんですよ、こちらに」
その時、昨日のように棚の上に置いてある本が床に落ちた。
「きゃっ、いきなり何?」
ルイーズは驚いて落ちた本を見た。
エマがセレーネをみるとドヤ顔をしてエマを見ていた。
「セレーネ、いきなりは驚くからやめてちょうだい」
「………セレーネさんがやったの?」
ルイーズは不可解な面持ちでエマを見る。
「……はい」
エマはゆっくり深く頷いた。
「そう、……ここにいるのね」
ルイーズはキョロキョロあたりを見た。
「私には見えないのね、残念だわ………でも、セレーネさん亡くなっていないわよね?エマは亡くなった方の霊がみえるのよね?なんでここにいるの?」
「……セレーネなんですが、ベンジャミンさんと恋仲で、セレーネのお父様に反対されたようで、家を出ようとした際に、階段から落ちて意識なくしたようなんです」
「まあ!恋仲だったのね!」
「……それで亡くなってはいないのですが魂だけが抜けた状態で、体は寝たきり、魂は自由にさ迷うことを幽体離脱というのですが、そのセレーネの魂が自由になったと喜んでベンジャミンさんにべったりくっついているんです」
(ちょっと、言い方!)
「……おもしろいお嬢さんね」
「だいぶ変わった方ですよね、ふふ」
(仲良くなったら急にひどくない?)
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