5 身勝手なお嬢様
セレーネは肩をすくめ、舌を出した。
「そうなんですよ……でも、不思議と恐くはないんですよね」
(当たり前よ!恐がらせるためにやったんじゃないもの)
セレーネさん………存在アピールがすごすぎる…さっきそばにいれるだけで良いっていっていなかったけ?
(だってー、やっぱり寂しいんだもん!せっかくこんなに近くにいるのに!……そうだ!お父様ね、私が意識ないことを表沙汰にしていないのよ。だから、ベンジーは私の状況を知らないはず。あなた教えられるでしょ?教えてちょうだい)
ええー!これ断ったら絶対めんどくさいいでしょ……嫌だな……
(聞いてるの?ねぇ!ねぇ!)
エマはしぶしぶこくりと頷いた。
ベンジャミンのキリが良いところまで、この時間は続き、その間、エマとジュード、ベンジャミンで会話しながらセレーネがベンジャミンとの馴れ初めや良いところを永遠と語っていた。
「今日はここまでにしましょうか。長時間お疲れ様でした」
「ベンジャミンさんこそ、お疲れ様です」
(ちょっと!早く言ってちょうだい!)
「……あの、ベンジャミンさん……セレーネ・シャノワーヌさんてご存じですよね?」
「え…………」
ベンジャミンは片付けている手を止め、エマを見た。
「……セレーネお嬢様のことですか?」
「ええ、すみません。恋人だったと聞いたもので……」
(だったじゃないわ!今もよ!!)
「………ご存じなんですね」
「私もおかしな話をするのですが……先程の、あそこの本が落ちたのって、そのセレーネさんがやったことなんですよ。ベンジャミンさんの周りで起きている奇妙な現象も……」
「……えっと、それは………どういうことでしょうか」
「セレーネさんですが、表沙汰にはしていないようですのでベンジャミンさんは知らないと思うのですが、先日階段から転げ落ちてから意識が戻っていないよです」
ガシャン
ベンジャミンは手に持っていた皿を落とした。
「……セレーネが?」
(ちょっと!そんな話し方だとベンジーが驚いちゃったじゃない!私が言うことをそのまま伝えてちょうだい)
「すみません、私の言い方が悪かったみたいです……今ここにセレーネさんがいるので、セレーネさんが話すことをそのまま伝えたいと思います」
「え………?」
エマはセレーネが話すことを一言一句間違わずそのままベンジャミンに伝えた。
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