4 幽体離脱したお嬢様
こわっ!!!!!
目笑ってないんですけど?
(でね、私は一人娘だったしお父様は古い考えの人だからね、自由恋愛が主流になってきたこの時代でね、だからね……私達の関係は内緒だったの。でもね、私がベンジーに抱きついているところをお父様に見られたの!そしたら、お父様は怒り狂ってベンジーのパトロンをやめるって言って屋敷に出入り禁止、金輪際私と会うことを禁じたのよ!本当に考えが古いのよ……すぐに私の縁談をすすめようとしたから、私と言い合いになって勢いで家を出ようと足早に階段を下りたら、私もおっちょこちょいね、スカートを踏んでしまってそのまま階段から転げ落ちちゃった。目が覚めて起きたら、ベッドには寝ている私が……私のことは誰も見えていないし、声も聞こえていないみたい……自由に動けるみたいだったから、ベンジーのところへすぐに行ったわ!死んだわけではないみたいだけれど、戻ったってどうせベンジーと結婚させてもらえないしね。ベンジーに気づいてもらえないのは寂しいけれどそばにいられるならこのままでもいいかなって……へへ)
うわ~、恋は盲目とはこのことを言うのね……って、これは幽体離脱ってやつよね?
(でも、良かったわ!父がパトロンをやめてからベンジーは全くといっていいほど仕事がなかったから……腕は良いのに……本当にすごいんだから!!お父様は時代遅れよ、今時あの考えなんてあれは一種の病気ね)
これ、一方的にずっと聞いていなきゃいけないの?キツイな……
「あの、ベンジャミンさん……動かなければ話しても良いですか?」
「あ……大丈夫ですよ。すみません……本当に久しぶりの仕事だったので会話をするのを忘れていました。可愛いお嬢様を描くのも久しぶりだったので………」
バサッ
その時、急に棚の上に置いてあった本が床に落ちた。
「………びっくりした」
(もう!ベンジー!!可愛いって一言は余計よ!私に比べたらこんなちんちくりん全然可愛くないわよ!)
……こわい、恐すぎるよ……それに失礼すぎる!今世の私は少しカールがかった、ふわふわのアクアブルー色の髪にネイビーのぱっちりした目で自分で言っちゃうけど、ものすごく美少女よ?
「……………」
ジュードは本を棚に戻した。
「ここでも起こるのか………」
「………え?」
ベンジャミンは、手を動かしたまま話し出した。
「おかしな話なのですが………最近、誰もいないのに、今のように物が落ちたり、視線を感じたり……窓も開いていないのに本がパラパラとめくれたり……」
「それは………おかしいというか……奇妙な話ですね」
エマとウィルは、棚の横にいるセレーネを目を細め、じーっと見た。
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