第三章
1 二日間の休日
良く晴れた清々しい午後、エマとジュード、ウィルは二日間の休みをもらったのでエマの屋敷へ帰っていた。
エマの部屋には、エマとジュード、侍女のココがいた。ウィルは、ベッドで寝ている。
「ジュードが羨ましいです!ジュードだけずるい!!ジュード、楽しいって自慢ばかりですよ!」
「ふふっ、そんなに怒らないで。ココには特別にこれを買ってきたの」
エマはピンク、黄色、水色といろんな色のキャンディがたくさん入っている四角い瓶をココに渡した。
「わあ~!キャンディですか?きらきらしていて可愛いですね!ありがとうございます」
ココは瓶を窓に向けて持ち上げ、きらきら光るキャンディをみて目を輝かせて喜んでいる。
「まあ、俺はエマ様と買い物をしたりランチしたり料理してるけどな」
「……ジュード大人げないわね」
「その独占欲どうにかしなさいよ。エマ様が家を出るときだって旦那様に付いていくように言われて散々いいだろって言ってきたんですから」
「へぇ~」
エマとココはにやにやしながらジュードを見た。ジュードは、フンっと横を向いていたが耳が赤くなっている。
「にゃー」
猫の姿のウィルがソファーに座っているエマの手に頭をスリスリしてきた。エマは、ウィルを膝の上に乗せ撫でる。
「その猫、ウィルでしたっけ?甘えん坊ですね」
「ふふっ、そうみたいね」
「にゃー」
───コンコン
「エマ!!」
ノックはしたものの、バンッと元気良く扉を開け、エマの母、ルイーズが入ってきた。
「お母様!?」
ルイーズは驚くエマの横に座り勢い良くエマに抱きつこうとしてきたので、ウィルはエマの膝の上から床に飛び降りた。
「久しぶりね!あぁー私の可愛いエマ、そのお顔を見せてちょうだい!」
抱きついていたルイーズは、両手でエマの頬を挟んでエマの顔をじっとみる。
「ふふっ。元気そうで良かったわ。エマが帰ってくるのを待っていたのよ!急に働くと言って出ていったっきり帰ってこなくて寂しかったわ。だから今日帰ってくると聞いてね、画家を呼んでおいたの!」
ルイーズは少女のように笑っている。
「画家?」
「えぇ。明日戻るんでしょ?戻ったらまたいつ帰ってくるかわからないし……エマの肖像画がほしいなと思って!時間がないからすぐに始められるように準備してちょうだい!」
「え?明日帰るんだよ?」
「ふふっ、心配いらないわ。奮発したのよ!アルノーも賛同してくれたし、画家がね、色はあとでのせるって言っていたから問題ないわ!さ、ココ、準備頼むわね」
ルイーズは言うだけ言って部屋を出て行ってしまった。
「………奥様は相変わらず嵐のような人ですね」
「そうね……ココは知っていたの?」
「いえ………って、時間ないですよね?早く湯欲みしてドレスに着替えないと!!」
帰ってきてもゆっくり休む時間はなさそうね……
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