12 ジュリーの訪問

エマ達が探偵事務所に戻ると、シーナとポールが戻っていてミシェルがお茶を淹れていた。


「マートンさん!これが遺言書です。それから……こっちはメアリーさんがピーターとジュリー宛に書いた手紙も……」

「二人に手紙を……そうか」

「それからバート・ウィズリーの息子、ダンですが、バートさんが遺言書を託された件について証言してくれると言ってくれました。メアリーさんが亡くなってから二年も預かったままで申し訳ないと言っていました」

「そうか、よかった……ポールは、五番地の宝石店に行って、5/21の夕方4時頃にピーターと女が何を買っていったのか調べてきてくれ」

「はい!」

「ロンはまだきっと時間かかりますよね」

「そうだな……シーナは合流できるか?」

「はい!」

「それじゃあ、ウィルを連れていって下さい。ロンさんと合流するのに役立つと思います」

「にゃー」

「そうね、ありがとう。じゃあ、ウィル一緒に行ってくれる?」

「にゃー」


シーナに抱き抱えられたウィルは顔がちょうどシーナの胸に当たり、顔をぐりぐりしている。


………ウィルったら、鼻の下伸びているじゃない……全く、エロ親父ね


その後、エマはマートンから明日の指示をもらい、初日の仕事を終え家へ帰った。



◇◇◇


翌日、エマは朝食を作り、先に食べウィルとジュードと探偵事務所へ出勤した。


掃除を終えたエマとジュードはソファーに座っている。


「ジュード、あなた家で私の従者として働いているより本当に生き生きしているわね」

「そうですねー……気を悪くしないでほしいんですが……エマ様の従者として一生仕えると思っていますし、それはいいんですけど、やっぱり違う職種って新鮮で違った楽しさがありますよね」

「………何となくわかるわ」

「にゃー」

「ウィルもわかるの?」

「にゃー」

「ふふっ。そうね……」


エマは膝の上に寝ているウィルの頭を撫でた。すると、突然ウィルが座りピンっと背筋を伸ばし入り口をみた。


(あら、少し早かったかしら?)


メアリーが入り口に現れた。


「あ、メアリーさんいらっしゃい」


(おはよう)


ジュードはマートンを呼びに行った。


「どうぞおかけえください」


(ありがとう)


「メアリーさん、いらっしゃい。えーと……」

「こちらに座っていらっしゃいます」

「ああ、ありがとう。……失礼」


マートンは奥から出てきてソファーに座った。


「早速ですが、昨日遺言書をダン・ウィズリーから受けとりました。それと一緒にメアリーさんが書かれたピーターさん、ジュリーさんへの手紙も」


(そうかい、よかった)


「それで……今日エマとジュードにジュリーさんのところへ行って、メアリーさんの筆跡のわかるものを預かってきてもらう予定です。そのときに……この手紙も渡しても宜しいでしょうか?」


(ああ、頼むよ)


「渡しても問題ないようです」


と、そこへ


───カランカラン



「いらっしゃいませ。あ……ジュリーさん」

「……朝早くにすみません。今日店を休もうと思いこちらに伺いました……主人が万が一来ても困るので……」


荷物を抱えたジュリーが入ってきた。

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