3 歓迎会2

テーブルを囲んで座り、食事を始めた。ウィルは床で皿に盛られた皆と同じ料理を食べている。


「このお肉美味しいですね」

「ありがとうございます」

「これ、ミシェルの得意料理のうちのひとつなんだ」

「そうなんですね。あ、そうだ。ミシェル、あとでキッチンの使い方教えてくださる?」

「え……エマさん、料理なさるんですか?」

「そう、明日から作ろうと思って」


皆の手が止まり、マートン、シーナ、ポール、ウィルはパッとエマのことを見た。


「えーっと……お嬢様ジョーク?」


ポールが伺うようにエマに聞く。


「ふふっ。そんな冗談ないわ」


エマの顔は笑っているように見えるが目は笑っていない。


「……そうだな、何事も挑戦だ。ミシェル、あとでエマに教えると良い」


マートンはミシェルににっと笑いかけ、再び食べ始めた。

「マートンさんは食べないからそんな呑気なことが言えるんだ」とポールがブツブツ言っているのをエマはじーっと見ている。それを見てロンが慌てて、思い出したかのように話題を変えた。


「そ、そうそう!さっき街で霊に会ったんですよ!ね?ジュード?」

「え?俺?……ああ、そうですね。エマ様に声かけてきたんですよ」

「ほう。なんて言っていたんだい?」

「……目が合ったんです。そしたら私のこと見えるんでしょ?って話しかけられたんです。自分のことを見れる人に会ったのは初めてだって……頼みたいことがあるって言われました」

「頼みたいこと……か」

「はい……でも、初めてのことでしたので、マートンさんにも聞いてもらった方が良いと思い、明日探偵事務所に来てもらうことになりました」

「ふむ……そうだね、私も聞きたいな」

「いったい何を頼みたいんですかね?」

「亡くなった人が頼みたいことって何かしら」

「まあ、明日になればわかるさ」


それからエマに今までどんな霊に合ったのか、それぞれの趣味の話をしたり、お酒に酔ったシーナがジュードを口説こうとしたりと楽しい時間を23時頃まで過ごし、その日はお開きとなった。


風呂に入り部屋に戻ってきたエマはベッドへダイブした。


「あぁー楽しかった。こんなに他人と話したのなんて初めて。ふふっ。シーナさん、酔うと楽しかったわ。この世界に生まれてよかった……」


エマはドア横にかけてある時計をみるとちょうど針は0時をさしている。


「ウィル、あなたソファーで寝てちょうだいね」


エマが寝返りをうち、ウィルのいる壁側を向いた。


「ソファーで寝るなんて嫌だね。小さいが二人寝れるだろ」


そこには人間の姿をしたウィルと思われる男がエマを見ながら肩肘をついて寝ていた。





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