第二章

1 旅立ち

───三日後


エマとウィルとジュードは、探偵事務所に来ていた。


「今日は片付けもあるだろうし、終わったら街を案内してもらうと良い。仕事は明日から宜しく頼むよ」

「はい!こちらこそ宜しくお願いします」


三人は休みのロンに住居へ案内してもらった。

一階はキッチン、食堂、二階はロン、ポール、シーナの部屋、風呂場があり、三階が、エマとジュードの部屋があり、ミシェルも来たときは三階で寝ているようだ。各部屋にはベランダがついていて、洗濯物が干せるようになっている。食事は掃除は当番制。

ジュードとロン、屋敷から来てくれた使用人によって、エマとジュードの部屋に家具が運ばれていった。

エマは荷ほどきをし片付けていき、荷物の運搬が終わったら、使用人達は帰った。


「片付けも無事終わったみたいだし今日の夕食はミシェルちゃんが作ってくれるみたいだから、俺たちは街に行こうか!」


エマとジュードは、ロンに街を案内してもらうことになった。ウィルは知らぬ間にどこかへ行ってしまった。


「このパン屋、ここら辺で一番人気のパン屋だよ」

「へ~」

「わぁ~いい匂い」

「……さっき飯も当番制っていっただろ?三人とも料理がからっきしダメで、金使うけど二日に一回はここのパン買って朝食べてるよ。ミシェルちゃんが来るときは作ってもらってる」

「あぁ、それじゃあ結構金使うな~」

「そうなんだよ」

「……私作りましょうか?」

「「は?」」

「なによ」

「エマ様、料理したことありましたっけ?」

「いや?」

「え……ないのか?」

「はい……でも火の扱い方だけ教えてもらったらできるはずです」

「……大丈夫か、このお嬢様」

「……間違いなく明日俺達のお腹は大変なことになりますね」

「……失礼ね。食べてみなきゃわからないじゃない!」


今、私はお嬢様で料理はしないけれど、前世の両親は共働きで、家にいなかったから家事はほぼ私がやっていたのよね……喜んで食べてもらいたくて料理も頑張っていたし……食べてもらえなかったけど………


「……ま、一回作ってみたらいいんじゃないですか?一回作ったらエマ様も満足でしょう」

「ひどくね?」

「……ジュード、あなた失礼ね。作ったら一番に食べてもらうから」

「……そのままで食べれる果物でも買っときましょう」

「お、お、俺はちょっと楽しみだよ!こんな可愛いエマちゃんの手料理食べれるなんて!この先ないかもしれないし」


ロンは、あまりにジュードの言い方がひどかったので慌ててフォローした。


「まあ、いいわ。とにかく私が明日の朝御飯は作るので食材を買いましょう」


エマ達は、パン屋でパンを買ったり市場で野菜や果物などを買った。

若い女性に人気のあるというキャンディー店は、ロンにシーナが大好きだと教えてもらったので、エマは探偵事務所のみんなに買っていくことにした。

店を出て左右を見ると離れたところからこちらをみているお婆さんと目が合った。エマは軽く会釈をしてジュードとロンと家に戻ろうと歩きだした時、


(ちょっと、そこのお嬢さん、あなたよ、あなた、私のこと見えてるのでしょう?)


私?


エマは後ろを振り向くと、先程目が合ったお婆さんがエマの真後ろにいた。

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