10 あなたは誰?
エマは部屋に戻ると猫の存在を忘れていて、驚いた。
「…………そうだった。あなたいたんだったわ」
「にゃー」
猫は、窓枠に座りエマを見ている。
───コンコン
「エマ様、お食事の前に着替えを手伝いに来ました」
「あぁー……今日は自分で着替えるから大丈夫よ。食事を持ってきてちょうだい」
エマはドアの方に振り向き、外にいるココに言った。
「かしこまりました」
エマは猫に向き直し、猫に話しかける。
「あ……お父様にあなたのこと言うのを忘れていたわ……もう明日でいいわね」
「にゃー」
「……着替えるからあなたも後ろを向いて下さるかしら?」
「……にゃー」
猫は後ろを向き、窓から外を見ている様子だ。
「あなた、前世で私が死ぬときに会った猫よね?」
エマは猫に話しかけながら着替え始めたが、猫は窓に映るエマをしっかりみていることにエマは全く気がついていない。
「名前は?」
「…………」
「何でこの世界にいるの?あなたも転生したの?」
「…………」
「何でその姿なの?」
「…………」
「……話せないの?私、生きている人の声って聞こえないのよ。無理に詮索されても嫌よね?」
「にゃー」
「…………そこは返事するのね」
───コンコン
「お食事をお持ちしました」
「どうぞ」
───ガチャ
「失礼します」
ココはテーブルに食事を並べていく。
「本日は、魚介と野菜のテリーヌ、カブのスープ、真鯛のポワレ、白桃のムースでございます」
「ありがとう」
「失礼します」
ん~美味しそうね!
エマは、ココが部屋を出ていくのを確認してから、猫に再び話しかける。
「あなたも食べる?」
「にゃー」
猫は首を縦に振った。
食事中、エマは猫をじっと観察していた。
この子話せないのか。男の人が猫の姿になっているのはわかるんだけど、話せないんじゃ他にわかることないかな……?
部屋に入れたけれど、猫なら問題ないかしら
食事が終わり、使用人が皿をさげている間、ココが湯欲みの準備をしていた。
「そうね……ココ!」
「はい?どうされましたか?」
「この子も綺麗にしたいのだけれど……」
猫は首を激しく左右に振った。
「そうですね。汚いですからね……って、この猫どうされたのですか?」
「ごめん、まだ言っていなかったわよね。街から着いてきたみたいだから飼うことにしたの。お父様には明日言うわ。それから、お父様がルームシェアを許可してくれたから明日からその支度をするわよ!」
「旦那様、許可されたんですか?!」
「そう。明日マートンさんに連絡するわ!」
「さようですか、良かったですね」
「ふふっ。楽しみだわ」
「では、こちらの猫は他の者に言って洗ってもらいますね」
猫は逃げようとしたが、ココに捕獲され連れていかれた。
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